本田 光世 院長、本田 俊一朗 副院長の独自取材記事
本田医院
(京都市上京区/二条駅)
最終更新日:2025/07/02

1996年の開業以来、がんの早期発見に努め、精度の高い検査と診療に注力する「本田医院」。高血圧症、糖尿病など生活習慣病の治療にも取り組む同院が大切にしているのは、患者と医師の信頼関係だ。本田光世院長は消化器外科を専門に、外科に関する幅広い疾患に対応し、超音波検査と内視鏡検査で病気の早期発見、早期治療に尽力するベテランドクター。2023年には日本泌尿器科学会泌尿器科専門医である息子の本田俊一朗副院長が着任。さらに幅広い領域に対応する医院へと進化した。広い視野で医療界全体に思いをはせる本田院長、わかりやすい言葉と丁寧な対応が印象的な俊一朗副院長に、注力する診療、検査の重要性、これからの医療についても話を聞いた。
(取材日2025年5月21日)
幅広い外科診療の経験を生かした質の高い医療を追究
院長のご経歴と医院の概要をお聞きします。

【光世院長】私は開業まで、京都第二赤十字病院外科と京都府立医科大学附属病院の第一外科に勤務し、京都府立医科大学附属病院にICU(集中治療室)が立ち上がった時の担当医も務めました。その後大学を離れ、当院を開業したのが1996年です。大学では専門領域だけを診ますが、風邪や高血圧など「できるだけたくさんの患者さんを幅広く診たい」という医師としての信念を貫くためには、開業医が良いだろうと考えたからです。私の専門は消化器外科ですが、勤務医時代から内視鏡検査、超音波検査、画像診断にも力を入れてきたことから、開業後は内視鏡検査と超音波検査を中心に胃がん、大腸がん、膵臓がん、肝臓がんなど消化器がんの早期発見に努めています。地域の方々の悪性腫瘍を早く見つけて、しかるべき病院へ紹介するというスタンスでこれまで続けてきました。
副院長のご経歴も伺います。
【俊一朗副院長】大学卒業後、さまざまな科で卒後臨床研修を行う中、もともと外科系の手術が好きだったこともあり、手術ができる診療科を見ていました。その中でも泌尿器科は、自分でがんの診断をつけて、自らの手で手術をし、抗がん剤治療を行うこともできます。そこに魅力を感じ、泌尿器科を専門に選びました。前職の京都府立医科大学の関連病院では、泌尿器科の検査から治療、手術まで携わりました。外科手術を続けたい思いもありましたが、当院の診療に泌尿器科の専門性をつけ加えることで患者さんに還元できると考え、副院長に着任することを決めました。
どのような患者さんが来られていますか?

【光世院長】胃がん、大腸がん、膵臓がん、肝臓がんなどの消化器がんの検査を希望される方が多いですね。内視鏡検査や超音波検査など、精度の高い検査を行ってがんの早期発見に努めています。もちろん、高血圧、糖尿病などの生活習慣病や風邪などの一般内科の患者さんもよく来られています。当院で対応できる疾患はすべて診て、必要に応じて専門の先生や病院へ紹介します。外科ですからケガも診ますし、腹痛で受診した患者さんが、実は婦人科の疾患ということもあり得ます。超音波検査、内視鏡検査に加えて、数年前に副院長が着任したことから膀胱鏡を導入し、膀胱がんや腎臓がん、前立腺がんなど、泌尿器科領域まで診療の幅が広がりました。
診療のベースは患者の話をよく聞き信頼関係を築くこと
診療方針について教えてください。

【光世院長】私が医師になった時から変わらない自分の哲学、信念は「患者さんの話をよく聞くこと」です。検査はもちろん大切ですが、その前に患者さんとの信頼関係を築く。その人の人生観や歴史を含めて聞くと、そこには必ず病気を改善するヒントがあります。最近は電子カルテの普及によって、患者さんから「先生が顔も見てくれない」「視線も合わせてくれない」などという話を聞きますが、それは医療機関や医師への不信感にもつながります。話を聞く、患者さんに触れる、そこに病気の糸口を見つけるということですね。
【俊一朗副院長】患者さんによって求めるものは異なりますから、やはり患者さんの話をよく聞き、できるだけそこをくみ取ることを心がけています。父と同じく、患者さんとの信頼関係を築けるような診療を大事にしていますね。
お互いに対する思いについてお聞かせください。
【光世院長】すでに2年ほど一緒に仕事をしていますが、私から伝えたいことはしっかり伝わっていると思いますし、私よりも患者さんに時間をかけて丁寧に診察していると感じることもあるほどです。診療の根底にある基本的なものは同じですね。異なる分野を診てもらうことができるので、私も非常に助かっています。これまで、泌尿器科領域の患者さんは病院に紹介せざるを得ませんでしたが、今は当院で完結することができますし、生活習慣病も診てもらっています。
【俊一朗副院長】勤務医は専門に特化したことを求められますが、開業医は本当にいろいろなことを診なくてはいけません。院長はこれまでに数多くの病気を診てきていますから、この2年間で、開業医として求められるもの、アプローチの仕方を学ばせてもらっています。
医師としてのやりがいについてもお聞かせください。

【俊一朗副院長】そうですね。つらそうにされていた方の、治療終了までの過程を診ることができるというのは、医師としての喜びでもありますし、大きなやりがいです。患者さんがうれしいと思う瞬間に立ち会うと、この仕事をしていて良かったと思います。
【光世院長】私にとって医師という仕事は天職です。それは、患者さんがそういう思いを私に植えつけてくれたからでしょうね。仕事のやりがいを自分自身で見つける前に、患者さんが与えてくれた。だからこそ天職だと思っています。
予防に勝る医療なしの考えのもと、健診の啓発に努める
地域にとってどのような医院でありたいですか?

【光世院長】これから日本の医療は、その存在意義が議論されていく時代になるでしょう。大規模病院であっても統合され、現在のように「一県一医大」が厳しくなることもあり得ます。だからこそ、私たち開業医は、幅広く患者さんのニーズに応えていかなくてはなりません。風邪から始まり、早期にがんを発見して治療へ結びつけることはもちろん、健康診断をできるだけ広め、たくさんの患者さんの期待に応えられるようになれればと考えています。当院で行う健診は、病院と同等レベルです。乳がん検診にも対応しているほか、超音波による乳腺や甲状腺、頸部の病気も詳しく診ています。早く病気を拾い上げることは患者さんの利益になりますから、少なくとも超音波検査と胃の内視鏡検査は受けていただきたいと思います。「予防に勝る医療なし」ですね。
今後の展望についてお聞かせください。
【俊一朗副院長】院長は控えめに話していましたが、健診にはかなり長く取り組んでおり、本当にたくさんの検査を通して、患者さんの健康維持や病気の早期発見・早期治療に努めてきました。専門領域に捉われず幅広い検診に対応しており、乳腺や甲状腺の病気を発見できれば、早期治療につなげられます。元気に見えても、検査をしたら病気が見つかるということはとても多いので、検査はぜひ定期的に受けていただきたいですし、当院も引き続き健診やがん検診は力を入れて取り組んでいきたいです。また、検査以外にワクチンの希望も多いので、できる限り対応していきたいと考えています。あと最近は、訪問診療の要望も増えています。看護師が車いすを持って行って患者さんを当院までお連れしたり、僕が自転車で近くまで往診したり、できる範囲は限られますが、近隣の方々のニーズに応えていきたいと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【光世院長】なんでも相談できるかかりつけ医を持ってください。その先生にすべて診てもらうも良し、しかるべき医療機関へ紹介していただくもいいでしょう。そのような医療の機能分担の窓口となり、下支えとなっているのが私たち開業医です。受け皿としていつでも協力しますので、ぜひそういうかかりつけ医を見つけて、いろいろなことを相談されてください。
【俊一朗副院長】頻尿や切迫感、尿漏れ、夜間に何度も起きてしまう、血尿や健診で何らか指摘されたときなど、排尿や泌尿器に関わる悩みはなかなか相談できないという人が多いと思います。病院に行くことを躊躇してしまうケースも多いと思いますが、泌尿器科では、いろいろなアドバイスができます。治療を受けることで満足いく結果につながるかもしれませんし、ただ悩みを話すだけで気持ちが楽になるということもありますから、恥ずかしがらずなんでもご相談ください。