膀胱がんの早期発見に有用
クリニックで受ける膀胱鏡検査
大津宮ほそだクリニック
(大津市/近江神宮前駅)
最終更新日:2025/10/14


- 保険診療
近年は胃や大腸の内視鏡検査を受ける人が増え、胃がんや大腸がんの早期発見・治療に役立つようになっている。しかし、膀胱の内視鏡検査である膀胱鏡検査については知らない人のほうが多いだろう。「大津宮ほそだクリニック」の細田光洋院長は、そんな膀胱鏡検査をクリニックで実施している日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。不必要な治療・検査をしないように努めている細田院長だが、原因不明の血尿がある場合には「ぜひ受けてほしい検査だ」と力を込める。ほかの内視鏡検査同様、どうしても心身への負担が気になり、なかなか積極的に受けたいとはいかない検査だが、膀胱がんの早期発見に重要な検査なのだそうだ。そこで今回は、細田院長に膀胱鏡検査の概要や検査の流れについて解説してもらった。
(取材日2025年9月29日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q膀胱鏡は、どのような検査や治療に用いられるのですか?
-
A
膀胱鏡は、尿道からカメラを挿入して膀胱や尿道の内部を直接観察する検査で、血尿や排尿時の痛み、頻尿などの原因を詳しく調べる際に行われます。膀胱炎や膀胱結石、膀胱がんの有無を実際に見ながら確認できるほか、必要に応じて異常部位の組織を採取して病理検査を行うこともできます。また、前立腺肥大症や過活動膀胱など、排尿に関わる疾患の評価にも役立ち、症状に応じた適切な治療方針を決めるための重要な検査です。年齢や性別に関係なく実施され、病気の早期発見・早期治療に役立ち、特に膀胱がんは膀胱鏡検査が診断する上で重要な役割を果たします。検査時間は5〜10分と短く、日帰りで受けられる検査です。
- Qどのような症状のときに受ければ良いのでしょうか。
-
A
膀胱鏡検査は、主に尿に血が混じる「血尿」が出た場合に行います。特に明らかな原因が見当たらず、血尿の原因がわからない場合にお勧めすることが多いです。ただしデリケートな部位の検査ですので、患者さんの心身への負担を考慮し、当院ではいきなり膀胱鏡検査を行うことはありません。血尿を指摘されて受診された際は、まず検尿やエコー、エックス線検査などの基本検査を行い、それでも原因が確認できない場合に膀胱鏡検査をご提案しています。「恥ずかしいから受けたくない」と悩まれる場合には、検査についての詳しい説明を行うとともに、大きな病院を紹介するなど、患者さんと相談して「検査を受けやすい環境」を探すようにしています。
- Q膀胱鏡検査は、痛いのではないかと心配です。
-
A
膀胱鏡検査は尿道からカメラを挿入するため、どうしても不快感や軽い痛みを感じることがあります。特に男性の場合は女性より尿道が長いため、強い違和感を訴える方が多いですね。一方女性の場合は、検査中も枕元のモニターを見ながらお話しできたりと、比較的負担は軽いようですね。とはいえ、負担がまったくないというわけではありませんから、当院では検査環境を整え、丁寧な声かけで緊張や不安を和らげながら検査を進めます。また、検査中の痛みや違和感が強い場合は無理に進めず、状態を確認しながら対応しますのでご安心ください。事前に検査の流れをしっかりご説明し、疑問や不安にもお答えすることで負担軽減にも努めています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診
-
まずは問診票に記入。同院ではタブレット型端末が採用されており、入力もスムーズで簡単だ。その後、看護師が自覚症状や既往歴、生活習慣などについて詳しく話を聞く。血尿や排尿時の痛み、頻尿などの症状の程度や経過について確認されるので、わかる範囲で答えよう。常用している薬がある場合は、お薬手帳などを持参しておくとよいだろう。
- 2基本検査
-
尿検査やエコー、エックス線検査などの基本的な検査を行い、膀胱鏡検査が必要かどうかを確認。基本検査の目的は、膀胱炎や結石、そのほかの疾患の可能性を把握すること。基本検査で得られた情報は、膀胱鏡検査を行う場合、安全かつ効率的に行うための重要な判断材料となる。
- 3基本検査の結果説明と膀胱鏡検査の説明
-
基本検査の結果をもとに、膀胱鏡検査の必要性や検査内容について詳しく説明。同院では患者が納得してから次のステップに進めるように、疑問や不安にはその場で丁寧に答えている。また、診察室を出た後に気になることがあればスタッフに声をかけてほしいとのこと。膀胱鏡検査を受ける決意ができたら、検査日を予約。より施設が整った病院での検査を希望する場合には、紹介もしているそうだ。
- 4膀胱鏡検査
-
予約時間に間に合うようにクリニックを受診し、受付を済ませる。看護師の説明を受けた後、下着を脱いで専用の検査着に着替え、検査用のベッドに横になる。血圧や体調に問題がなければ、尿道口から軟性膀胱鏡を挿入。挿入の際には大きく深呼吸をして体の力を抜くと、痛みや不快感が和らぐとのこと。検査時間は5〜10分程度。枕元にモニターがあるため、検査中にリアルタイムの映像を見ながら説明を受けることもできる。
- 5膀胱鏡検査の結果説明
-
検査が終わった後は、撮影画像を見ながら膀胱や尿道の状態について説明を受ける。異常があった場合は、治療の方法や今後の対応について相談し、適切な医療機関に紹介しているそうだ。症状が軽い場合や異常がなかった場合も、今後の注意点や生活上のアドバイスをしっかりと聞いておこう。検査後は多めに水分を取り、排尿回数を増やすことで尿路感染症や膀胱炎の予防になるとのこと。