田渕 大策 院長の独自取材記事
田渕眼科
(桑名市/桑名駅)
最終更新日:2026/08/07
桑名駅から徒歩1分の場所にある「田渕眼科」。ガラス張りの外観が印象的な建物は、1階に11台分の駐車スペースがあり、番号札を取ってエレベーターで2階の受付・診療スペースへ向かう動線になっている。バリアフリーの院内は「緑の中で待つ」をテーマに、シンボルカラーのグリーンと木の質感を生かした天井や壁面で、自然の中にいるような空間を演出。桑名の祭りを描いた絵画や患者の作品も展示され、地域とのつながりが感じられる。2021年11月に院長に就任した田渕大策先生は、先代から受け継いだ医療への真摯な姿勢を大切にしながら、患者一人ひとりに寄り添う診療を続けている。白内障の日帰り手術や往診、24時間電話対応など、地域の目の健康を支えるための取り組みと、その根底にある思いについて話を聞いた。
(取材日2026年7月9日)
白内障の日帰り手術など、ニーズに応える診療を展開
クリニックの変遷と先生のご経歴について教えてください。

当院は1992年に父である田渕保夫前院長が開院し、区画整理に伴って2019年に現在の場所へ移転しました。私は2018年に副院長として着任し、2021年11月に院長に就任しています。現在は名誉院長となった父の思いを受け継ぎながら、日々の診療と手術、往診を担当しています。2人体制から私一人での診療に変わりましたが、これまでどおりなるべく患者さんのご要望にお応えできるよう努めています。実は、私は一度医師の道を離れ、建築を学んだり、運送業に携わったりした経験があるんです。その後、父が体調を崩したことをきっかけに医療の道へ戻り、改めて医師という仕事の素晴らしさを実感しました。遠回りをした経験があるからこそ、患者さんと同じ目線に立ち、丁寧な言葉遣いや接し方を常に忘れないように意識することができています。
どのような患者さんが来院されていますか?
白内障や緑内障など、加齢に伴う疾患で受診されるご高齢の方を中心に、お子さんの近視相談や学校健診後の受診、斜視、コンタクトレンズに関する相談まで、幅広い年代の患者さんご来院いただいています。当院の診療の柱は、白内障、緑内障、そして糖尿病に関連する目の疾患です。地域は桑名市周辺だけでなく、四日市市や鈴鹿市、岐阜県海津市などから足を運んでくださる方も少なくありません。長年通ってくださる患者さんや、クチコミ・ご紹介をきっかけに受診される方も多く、患者さんから「こちらの先生に診てもらいたい」と、言っていただくこともあります。地域の皆さまとの信頼関係に支えられていることを、日々実感しています。
白内障の日帰り手術にも対応されているそうですね。

当院の3階には、手術室と病室、手術後に休んでいただくリカバリールームを備えています。手術は月・火・水・金曜の昼休みの時間帯に行っており、基本的にすべて日帰りで対応しています。この3階にある病室は、かつて先代の時代に入院手術を行っていた際に利用していたものです。現在は日帰り手術がメインとなったため、当時の設備を生かし、手術後に患者さんが周囲を気にせずゆったりと過ごせる「完全個室のリカバリー室」として活用しています。このように、患者さんがリラックスできるプライベートな空間をしっかりと確保できていること、そして患者さんの生活に寄り添った「適切なレンズ選び」ができることが、当院の手術における大きな強みです。白内障手術などで使用する眼内レンズは、患者さんの普段のライフスタイルやご希望に合わせて最も適したものを選択できるよう、豊富なラインナップを用意しています。
往診を通じて、目の健康を継続的にケア
眼科では珍しい往診をされている理由は何でしょうか?

当院では先代の時代から往診を続けており、現在も定期的に施設やご自宅へ伺っています。もともとは、緑内障など継続的なケアが欠かせない患者さんが、高齢化や施設入居によって来院が難しくなった際、診療を継続できるように始めた取り組みです。現在ではその枠を超え、これまで当院と関わりがなかった施設からの新規依頼も広く受け入れています。実際に施設へ伺い、入居者の皆さんに集まっていただいて、ポータブル機器による眼圧測定や眼底検査などを行っています。目の健康を守り続けられるよう、地域に根差した眼科として役割を果たしていきたいと考えています。
多様なコンタクトレンズを取り扱っているそうですね。
眼科の医師をしていた私の祖父は、コンタクトレンズの研究や製品開発に携わり、専門書も執筆していました。その流れを受け継ぎ、当院では乱視用や遠近両用をはじめ、さまざまなコンタクトレンズを取り扱っています。正しい扱い方や消毒方法の指導を十分に受けずに使用し続けた結果、度数の変化に気づかなかったり、レンズの汚れやアレルギーによる結膜炎、角膜への深刻な傷を引き起こしたりしてクリニックに駆け込んでこられるケースが後を絶ちません。コンタクトレンズは目に直接入れるものだからこそ、慎重な扱いが必要です。当院では定期的な検査を通じて目の健康を確認しながら、一人ひとりのライフスタイルや目の状態に合ったレンズ選びをサポートしています。
スタッフの皆さんとの協力体制について教えてください。

当院には地元出身の温かく優しいスタッフが多く、患者さんへの丁寧な対応を何よりも大切にしてくれています。20年以上支えてくれたベテランスタッフが定年を迎えましたが、今でも現場が忙しい日にはスポットで助けにきてくれるなど、まるで家族のような強い絆で結ばれています。また、私の妻が経理や書類手続きなどのバックオフィス業務をすべて引き受けてくれています。現場を完璧に守ってくれる優秀なスタッフと妻を全面的に頼り切っていますね。みんなの協力があるからこそ、私は診察や手術に100%集中することができており、感謝してもしきれません。医療はチームで支えるものだと実感しています。
真摯な診療と医療連携で、頼れる眼科であり続ける
診療の際に心がけていることと、24時間電話対応の取り組みについて教えてください。

日々の診療において私が何より大切にしているのは、患者さんが「今、何に一番困っているのか」を徹底してじっくり聞くことです。その上で、訴えのある部分だけでなく目全体をくまなく診ることで、ご本人が気づいていない初期の病変も見逃さないよう努めています。診察の終わりには「大丈夫ですよ、安心してください」と、言葉をかけ、少しでも不安を和らげて帰っていただけるように心がけています。また、診療時間外はクリニックの固定電話が私の携帯電話に直接転送されるようにし、「24時間365日」いつでもつながる体制を整えました。最も避けたいのは、手術を終えた後の患者さんが夜間に急変した際、連絡がつかずに対応が遅れてしまうことです。何かあればいつでも相談できる窓口をつくり、患者さんにとって心強い味方であり続けることが、当院の大切な役割だと考えています。
先代であるお父さまから学ばれたことはありますか?
父は患者さんのために昼夜を問わず医療に尽力する人でした。その姿を間近で見て育ったことで、「困っている患者さんがいるなら、できる限り力になる」という姿勢が自然と身についたように思います。患者さんの伝えたいことをすべて受け止める診療スタイルも父譲りです。技術面においても、かつて2人体制で診療していた時期に、父の長年の経験に裏打ちされた手術技法を目の前で勉強できたことは私の大きな強みです。長く通われている患者さんから「お父さんと喋り方やスタイルが似てきたね」と、言っていただけることが増えてきました。父の医療に対する誠実さを受け継ぐことができているようで、うれしいですね。
今後の展望と地域の方へのメッセージをお願いします。

スタッフの負担軽減や診療の効率化を目的に、電子カルテの導入を予定しています。ただし、患者さんのお話をじっくり聞き、丁寧に向き合うという診療スタイルは、これからも変わりません。また、この地域には信頼できる医師仲間や医療機関との強固なネットワークがあります。当院だけですべてを抱え込むのではなく、必要に応じて専門の医療機関や高次医療機関へ適切につなぐことも、地元の眼科としての重要な役割だと考えています。「あそこへ行けばまず相談できる」と思って信頼していただけるような、身近で頼れる眼科であり続けたいですね。「ちょっと違和感がある」といった些細な症状でも構いませんので、どうぞお気軽にご相談ください。

