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草川 均 先生の独自取材記事

おおたクリニック

(松阪市/徳和駅)

最終更新日:2023/09/22

草川均先生 おおたクリニック main

松阪市の三重高通り沿いに「おおたクリニック」がある。1993年より地域に根差したかかりつけ医として地域住民の健康を見守っているクリニックである。草川均先生は、下肢静脈瘤で困っている患者に気軽に診療を受けてもらいたいとの思いから、2015年に同院の診療に加わり血管外科を新設。「患者が診療を受けることで生活の質が上がり、快適に過ごせるようになってほしい」と語る草川先生は、下肢静脈瘤に特化した診療を行い、2022年1月~12月の期間の総治療数は387例と、多くの手術を執刀。現在では医学や技術の進歩によりすべて日帰り手術で行うことができ、日常生活に早く戻れることが魅力だ。患者への思いがあふれる草川先生に話を聞いた。

(取材日2020年1月9日/情報更新日2023年9月5日)

下肢静脈瘤の診療をもっと身近に、もっと気軽に

まずは、先生のご経歴から教えてください。

草川均先生 おおたクリニック1

1986年に三重大学医学部を卒業し、研修医として2年間、国立大阪病院(現・大阪医療センター)の外科へ。その後、三重大学胸部外科教室へ入局し、医学博士号を取得。1994年には、ペンシルベニア州立大学ハーシーメディカルセンターにてリサーチフェローとしての留学を経て、県西部浜松医療センターの心臓血管外科へ赴任しました。2001年から三重大学胸部外科学教室にて講師を務めたことも。2005年に松阪中央総合病院胸部外科へ赴任し、2008年から下肢静脈瘤手術をメインに執刀してきました。下肢静脈瘤の治療の選択肢を増やしたいという思いから、叔父・叔母が開院している当クリニックに血管外科を新設し、当クリニックにて診療を始め、現在に至ります。

長年下肢静脈瘤の治療に専心されてきたのですね。

松阪中央総合病院の胸部外科にて勤務していた時、医師の診療担当を分野で分けようということになり、心臓血管や肺などいくつかに大きく分け、僕が血管の分野担当になりました。血管のことを深く勉強し直して、外来患者さんを診察していると見渡した時に、下肢静脈瘤で困っている患者さんが多いということに気がついたんですね。そこで下肢静脈瘤の治療をやります、と声を上げたところ予想以上の患者さんが来院されました。その後、下肢静脈瘤の治療をもっと患者さんの身近なものにし、気軽に治療を受けてもらいたいと、日帰り手術を可能にできる当クリニックで診療を始めました。三重県に少しでも貢献したいとの思いで診療にあたっています。

地域に貢献したいというのは?

草川均先生 おおたクリニック2

私は三重県に生まれ育った人間ですので、三重県の方々のお役に立ちたいという気持ちを前から持っておりました。当クリニックで下肢静脈瘤の診療を行うようになって、地域の方をはじめ、三重県の方に貢献できている実感が湧いたんです。というのも、当クリニックでの診療を本格的に始めた当時、下肢静脈瘤を専門に診療するクリニックは、三重県でも希少な存在だったんです。大きな病院では治療を行ってはいましたが、さまざまな患者さんが訪れているため、診察・検査・手術それぞれに待ちが発生してしまい、手術を受けるまでに数ヵ月かかるような状態でした。そんな中クリニックで診療を行うことで、受診・診断・治療のスピードも精度も上がり、多くの患者さんを診療することが可能になったんです。日帰り手術は入院に比べて医療費を抑えながら気軽に手術を受けられることもあり、現在はすべて日帰りで行っていますね。

生活の質を上げ、快適に楽しく暮らすために

下肢静脈瘤の治療を受ける患者さんに対しては、どのような思いで診療にあたっているのでしょうか。

草川均先生 おおたクリニック3

下肢静脈瘤は命に関わる病気ではありませんが、こむら返りなどの症状で日常生活に支障があり、困っているという方が大勢いらっしゃいます。今、時代は超高齢社会となりましたが、元気な高齢者がたくさんおられますから、治療を受けて生活の質を上げ、快適な生活を送ることができるようになることが大事ではないでしょうか。何か心配なことがあれば、当クリニックへ相談へ行けばいい、という安心感を持ってもらえたらいいですね。現在はだいぶ周知が進んできているという印象ですが、今後も継続的に下肢静脈瘤とその治療について情報を発信し、たくさんの人に知っていただきたいと思っています。

先生が診療時に大切にされていることをお聞かせください。

超音波エコーを駆使して正しい診断をすることを大事にしています。患者さん一人ひとり症状や病態は異なりますので、エコーでの検査は特にこだわりを持ち、足の状態をきっちりと把握できるように診ていきます。エコーは患者さんも一緒に確認ができますので、相談しながら治療方針を決めていきます。診療では問診で症状を伺い、エコー検査で状況を確認。どちらか片方の情報ではなく、両方の情報をすり合わせて正しく診断するようにしています。そして、常識にとらわれず、診断や治療方針も柔軟に対応することも大事ですね。症状によって大きい病院に送る場合もありますが、基本的にはカテーテルを用いた日帰り手術で対応しています。

患者層について教えてください。

草川均先生 おおたクリニック4

下肢静脈瘤では70歳前後の女性が多く来院されています。当クリニックで診療を始めた当初から手術の件数は多く、今まで治療できずに困っていた患者さんが一気に来院された印象でしたね。実はこの病気は割と地域性があって、下肢静脈瘤の罹患率が高い地域、低い地域と分かれています。生活習慣や遺伝からきているようです。ですから、銭湯など地域のコミュニティーがある場所で病気の話になると下肢静脈瘤や当クリニックの話題が上り、それがきっかけとなってその地域の方が一気に来院するということがあるようです。ほかには患者さん自身のかかりつけ医や皮膚科から紹介されて来院される方もいますが、まだ情報が届いていない方がたくさんいらっしゃるように感じていますので、啓発活動にも力を入れていきたいです。

日常生活へ早く戻れる、負担の少ない日帰り手術

下肢静脈瘤の日帰り手術は毎日行っているのでしょうか。

草川均先生 おおたクリニック5

休診日以外は毎日、午前中に1日2件程度行っています。エコー検査を受けてからだいたい2週間後くらいに手術の予約を取ることができる状況です。日帰り手術は患者さんにとって、さまざまな面で負担が少ないことから喜ばれています。患者さんの年代的に介護をされている方やご家族の看護をされている方が多く、入院を要する治療は患者さんにとっては大きな負担になります。しかし日帰り手術であれば、半日程度の都合がつけられれば受けることが可能ですし、術後も少し休めば歩いて帰れます。日常生活にあまり負担をかけずに手術が受けられますので、ぜひお気軽に相談だけでもいらしてもらいたいです。

負担の少ない日帰り手術、具体的にはどのような手術になるのでしょうか。

患者さんの病態によりますが、基本的には世界的にも主流となっているカテーテルを用いた方法で手術を行っています。カテーテルを用いてレーザーで焼灼する静脈血管内焼灼術やグルーによる血管内塞栓術という方法は、耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、これは定型的な病態に対する治療法の一つです。当クリニックでは患者さんの病態に合わせた診断を行い、定型的な治療にとらわれず、柔軟な治療を提供しています。手術は注射のような感じでカテーテルを体内に挿入して行うため、傷口はわずか2~3ミリ。術後も傷口はテープでとめるだけで、縫合や抜糸の必要もありません。あくまで病態にもよりますが、体への負担が少ない手術と言えるでしょう。手術後のアフターケアは超音波エコー検査を用いて、術後の経過を見ていきます。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

草川均先生 おおたクリニック6

日常生活で困っている足の症状はありませんか? 下肢静脈瘤の主な症状として、ふくらはぎの静脈のこぶ、だるさ、重さ、張るような痛み、こむら返りなどがあります。足の状態は超音波エコー検査で診療が可能です。エコーを一緒に診ながら状況を説明しますので、気軽に検査だけでも受けにいらしてください。つらい症状があれば、手術という選択肢もあります。下肢静脈瘤は命に関わる病気ではありませんが、日常生活に支障を来している場合があります。皆さんの日常生活の質が上がり、快適に楽しく過ごしてもらうお手伝いをさせてもらえたらうれしいです。

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