羽賀 貴博 院長の独自取材記事
四日市膝肩スポーツの整形外科クリニック
(四日市市/伊勢松本駅)
最終更新日:2025/11/10
2025年春、四日市市の住宅街にリニューアル開業した「四日市膝肩スポーツの整形外科クリニック」。名古屋大学医学部整形外科の膝肩・スポーツ班で専門性を磨いた羽賀貴博院長は、同院では診断とリハビリテーション、連携先では手術と一貫して治療を行えるよう体制を整えている。根本的な改善をめざすためにも「エビデンスをもとに適切な治療を行いたい」と強い意志を持って診療にあたる院長。それは「患者さんが通院しなくて済むようにしたい」という言葉にもにじみ出ている。自身のサッカー経験も生かし、大人から子どもまでスポーツに取り組む患者の診療にも注力している。今回はそんな同院で提供する診療について語ってもらった。
(取材日2025年9月24日)
膝・肩・スポーツ診療専門の一貫治療体制を地元に構築
地元四日市での開業に至った経緯を教えてください。

薬の卸をされている方から、第三者継承の後継者を探しているという話をいただいたのがきっかけです。私は四日市出身で、初期研修の期間も、整形外科の専門性を身につけていく期間も市立四日市病院で過ごしました。その時から、この地域に膝・肩専門の施設が少ないことが気になっていたんです。この地域で困っている人が相談できる場所が限られていることや、将来的にやりたいことのタイミングとも合致したので継承することを決めました。専門手術ができる施設を作れば、地域の皆さんの助けになるのではと考えたのです。現在リフォーム中で、2階に広いリハビリテーション用スペースを作っています。壁紙や床も全面的に張り替えて、2025年11月には完成予定です。
なぜ整形外科の中でも膝や肩、スポーツ診療に特化されているのでしょうか?
大学5年の病院実習で人工関節手術の様子を見た時、「ダイナミックで面白い手術だな」と感動したのが整形外科を選んだきっかけです。その後、四日市病院で4つ上の先輩が関節鏡手術を見に来いと誘ってくれて、膝の勉強会にも参加するようになりました。実は私、小学生の頃からサッカーをずっと続けていることもあり、スポーツと関わりが深い整形外科への興味はもともとあったんです。関節鏡手術はモニター画面を見ながら操作するのが魅力的でした。ゲーム好きの私には向いていたのかもしれません。最終的に名古屋大学整形外科の膝肩・スポーツ班に所属し、専門性を深めました。クリニック名は専門班の名前をほぼそのまま使ったんです。
一貫した治療に力を入れていると伺いました。

普通の総合病院だと、診断して手術をしても、リハビリテーションは外のクリニックを紹介することが多いです。そのため、オペレーターの診察がないままリハビリテーションが進むような「ぶつ切りの治療」になってしまいます。それを全部まとめてクリニックでできるようにしたいと思いました。私は富田浜病院では人工膝関節手術や膝周囲骨切り手術、肩の腱板断裂手術やリバース型人工肩関節置換術などを中心に行っており、重工大須病院ではこれらの手術に加えて膝靱帯再建手術も行っています。手術内容に合わせて場所を選び、術後は当院でリハビリテーションを継続する。手術して治療してリハビリテーションをして、と一貫して患者さんを支えることができるが一番の強みだと思いますね。そうして患者さんが通院しなくて済むよう診療に臨めればと思います。
エビデンスを重視した専門的治療の実践
膝肩の具体的な治療内容について教えてください。

肩では肩関節周囲炎、いわゆる五十肩で「何度も通院しているのに良くならない」という方が多いです。五十肩といわれていたけど実は腱板断裂だった、という方もけっこういらっしゃいます。膝では変形性膝関節症が代表的ですね。治療は注射・投薬・リハビリテーションが中心です。痛みが取れやすいよう、エコーで炎症の強い部位や腱板が切れている場所を見定めて、そこにピンポイントで注射を打つようにしています。
エビデンスベースの診療にこだわりがあるそうですね。
きちんと検査をして、基礎を大事にした治療をやりたいんです。患者さんが通院しなくて良い状態になれるよう、無駄な治療は行わずにいきたいと考えています。体外衝撃波疼痛治療装置も導入済みですし、今後MRIも精密で新しい物に変更予定です。画像の精度が上がれば、手術適応の人を早く診断できるでしょう。選択肢を提示して患者さんに選択してもらう、また効率的な治療を選択し、患者さんの負担を最小限にすることが大切だと思っています。
スポーツ診療で大切にしていることは?

私自身サッカーを続けているので、選手の気持ちがわかります。例えば腰椎分離症の子が「数週間後に大事な大会が控えている」という場合。普通なら「やめておきなさい、コルセットを着けて休みなさい」で終わってしまいますが、私は違います。分離が進むリスクを改めて話した上で、ご本人、そしてご家族にも相談します。「最後の大会だけ出て、そこからしっかりリハビリテーションしながら治療しようか」という提案をすることもあります。スポーツは可能な限りプレーさせてあげたい。学生さんは最後の大会ということもありますから。
充実したリハビリテーション体制で地域医療に貢献
リハビリテーション体制とスタッフについて教えてください。

スタッフは現在、常勤・非常勤含めて20人ちょっとのスタッフが在籍しています。理学療法士は3人、看護師が5人、放射線技師が1人、あとはリハビリ助手、あん摩マッサージ指圧師、事務スタッフがいます。今後、リハビリテーションスペースの拡大を予定しているため、理学療法士を10人前後まで増やしたいと考えています。またリハビリテーションに関しては予約が「今週も取れません」という状態で、患者さんにご迷惑をかけているため、改善が必要です。前の山本整形外科からのスタッフがほとんどです。「新しいことをやりますよ」と言っても「わかりました」とついて来てくれる穏やかな人が多いですね。歴の長いスタッフが多いため、患者さんへの接し方は各自に任せています。医療DX人材養成講座も受けていて、紙の運用を減らして効率化を進めています。
今後の展望についてお聞かせください。
スポーツチームのサポートをもっと増やしたいです。現場で痛みを訴える選手がトレーナーに相談して「スポーツ専門の人に見てもらったほうが良い」となった時、うちのスタッフを出していたらその連携がシームレスになります。スポーツ専門じゃないところに受診して「よくわからない」と言われ、数ヵ月痛いまま過ごしている選手も結構いるんです。そういう困っている選手を減らしていきたいと考えています。クリニックのロゴは、サッカーを前面に出していますが、サッカーに限らずチームドクターの依頼があれば対応します。将来的には、私が得意としている手術にも更に力を入れていきたいですね。地域で必要とされる膝・肩・スポーツ診療の専門施設として、しっかり根づいていければと思っています。
膝や肩の痛みで悩む読者へメッセージをお願いします。

1ヵ月以上続くような痛みは何かしら問題があることが多いです。放置せず早めの受診をお勧めします。半年ぐらい我慢している人もいますが、年齢のせいだと諦めないでほしいです。長年治療しても改善しないという方は、ぜひ膝・肩専門の外来があるクリニックを受診してみてください。当院は膝疾患・肩疾患・スポーツ診療に力を入れています。困っている方は当院へお越しください。保存的治療はしっかりやった上で、必要なら手術もして、術後のリハビリテーションまで責任を持って診ます。早く通院しなくても良いような状態をめざして取り組んでいきたいです。

