矢田 真希 院長の独自取材記事
高見台クリニック
(四日市市/北勢中央公園口駅)
最終更新日:2025/04/14

三岐鉄道三岐線・北勢中央公園口駅から徒歩8分。四日市市の郊外の住宅街の中にたたずんでいるのが「高見台クリニック」だ。約35年近く地域に根差し続けてきたクリニックを、2022年4月に院長の矢田真希(やだ・まさき)先生が継承した。決して時代を感じさせないモダンな建物も、内科・外科・循環器内科・小児科・アレルギー科という幅広い標榜科目も前クリニック時代から変わらない。心臓血管外科の医師として長年病院でメスを握り続けてきた矢田院長は、患者の全身の状態を幅広い視点で診ることに長けている。継承開業に至った経緯や、生死に関わる現場に立ち続けてきたからこそ抱く想い、今後より力を入れていきたいことなど、さまざまな角度から話を聞いた。
(取材日2025年3月6日)
心臓血管外科の医師から心機一転、継承開業の道へ
初めに、先生のご経歴について教えてください。

愛知医科大学を卒業後、三重大学医学部附属病院の医局に入局し、心臓血管外科の医師として長年勤務しました。患者さんの命に関わるような大きな手術でメスを握り続け、呼び出しがあれば24時間365日いつでも病院に駆けつける、緊迫感に満ちた日々を過ごしていました。その後、新設される桑名市総合医療センターで心臓血管外科を立ち上げるということで声がかかり、同センターへ移りました。「官民連携の新しい総合病院」が売りで、私も気合いを入れて臨んでいたのですが、紆余曲折あり心臓血管外科は閉じることになりました。軌道に乗ってきたところでの閉科だったので、「これからどうしよう」と糸が切れたような気持ちにはなってしまいました。
その後、縁あって現在のクリニックを継承されたのでしょうか?
きっかけは高校の同級生からの紹介でした。30年以上地域に根差し続けたクリニックだったのですが、私にとってはまったくなじみのないエリアでした。話をいただいてから初めてこの場所に足を運んでみて、見晴らしのいい景色や澄みきった空気に心地良さが感じられましたし、何よりハイカラなクリニックの外観に心惹かれました。当時は仕事のことで精神的に疲弊していたこともあり、これからはバリバリ働くというよりも、郊外ののどかな場所でクリニックを運営する道を選ぶのもいいんじゃないかという思いが膨らんでいきました。ありがたいことに、前院長との面談においてもトントン拍子で話が進み、院長交代という形でクリニックを引き継ぐことが決まりました。
こちらのクリニックはロゴも印象的ですが、継承時に新たに制作されたのでしょうか?

はい、昨今は診察券がスマホにインプットされるカードレス化などが顕著ですが、どんな媒体になったとしてもクリニックのロゴを目にする機会が失われることはないと思います。心臓血管外科出身なのでハートマークはマストで使いたかったのですが、「循環器系しか診てくれないんじゃないか」と思われてしまう可能性もあるかと思いました。当院は外科や循環器内科の他、内科、小児科、アレルギー科も標榜科目として掲げています。標榜科目はそのまま引き継ぐことが継承の条件でもありました。当初ハートの中には炎をモチーフにした図柄をデザイナーさんが入れてくれていたのですが、これを少し変形させて、クリニック名を連想させる「t」と「c」を強調させました。さらに、青い部分は幸せの青い鳥の意味を込めたり、色合いも温かみのあるものにしたりと、親しみやすさも意識しました。
体の困り事を総合的な観点で幅広く診療
こちらのクリニックの強みを教えてください。

当院は専門性を打ち出すというよりも、体に関わるお困り事を気軽に相談できるよりどころとして機能することに重きを置いています。私は心臓血管外科一筋でキャリアを積んできたので、特に内科、小児科、アレルギー科は専門ではありません。とはいえ、実は勤務医時代の仕事の大半を占めていたのは、手術そのものではなく術後管理でした。全身の状態を診るというのは長年やってきたことだったので、総合的な観点で患者さんを診療することには自負があります。周りの先生を巻き込むことも得意なので、より専門性の高い診療や治療を受けたほうがいいと判断した際は、速やかに適した病院を紹介する体制を取っています。
命に関わる手術の現場に立ち続けてきたからこそ抱く、患者さんへの想いはありますか?
「自分の体の状態を甘く見てほしくない」とよく感じます。当院の患者さんは高齢者が多く、中には90代の方もいらっしゃいます。主訴としては生活習慣病の類が多いです。これらは高血圧・糖尿病・高脂血症の三大成人病につながるものなので、できることなら早めに予防していくのが望ましいです。そのため、事の重要性を伝えるために「元・心臓血管外科医師の私が言うんだから」と前置きした上で患者さんとお話しするようにしています。説明に説得力を持たせることは、ひいては自分の体の状態を患者さんが正しく把握することにつながると考えています。
患者さんと向き合う中で意識していることは他にもありますか?

患者さんが安心できる空気をつくることも日々意識しています。人の生死に関わる現場に身を置き続けてきたからこそだと思うのですが、勤務医時代はどうしても気が張り詰めていて、時にそれは威圧感につながることもありました。私は身長が186cmあり、ただでさえ体格が大きいので、患者さんに恐怖感を与えさせてしまってはいけないと考えています。どんな患者さんであっても、まずは寄り添って話を聞く。例えば、メンタル面の相談や標榜科目とはまったく関係のない皮膚科のお悩などにも耳を傾けたいと思っています。そうすることが、患者さんの満足感につながると思っていますからね。ただ、患者さんが誤った認識をしているようなことがあれば医師として毅然と訂正するよう心がけています。メリハリのある対応をしていきたいですね。
患者のニーズに合わせて、地域に根差し続ける
勤務医時代と今とでは、仕事だけでなくプライベート面での変化も大きかったかと思いますが、いかがですか?

週末は、もともと好きだったサッカーに打ち込んでいます。シニアのサッカーチームに所属しているのですが、高校サッカーの四日市市内の有名全国常連校の卒業生が多く在籍するため、練習は厳しいです。普段仕事をしているときは人から怒られることなんてなかなかないですが、サッカーの試合中はしょっちゅう怒られるので気持ちが若返ります(笑)。週末はほぼ毎週のように試合をしています。いつ病院から呼び出しが来るかわからなかった勤務医時代には考えられない生活を今は送っています。当時は運動の「う」の字もないような毎日でした。おかげで体重がかなり落ちて健康的になりましたし、生活習慣病の指導をする上で身をもって運動の大切さを患者さんに話すこともできるかなと思っています。
今後の展望について教えてください。
まず挙げられるのは、オンライン診療などのデジタル化の促進です。当院の周辺にお住まいの方の移動手段はほとんどが車です。ただ高齢者の場合、免許証をすでに返納している方も多くいるため、患者さんにこの先も長く寄り添い続けることを考えると、診療の方法を柔軟に変えていくことも求められます。また、せっかく来院していただいたのなら受診した価値がないと意味がないので、「あのクリニックに行けばある程度の症状は広く診てもらえる」と思ってもらえるよう、あらゆる検査に対応できる機器を技術の進歩に合わせて備えておくことも大事にしています。また直近でいうと、新たに医療脱毛などの美容分野もスタートしました。子育て世代など、より多くの方に気軽に足を運んでもらえるクリニックをめざし続けています。
最後に、地域の方へのメッセージをお願いします。

どんなに些細なことでもいいので、体に関して不安を覚えるようであれば気兼ねなく相談していただきたいです。医療用語は難しく感じることもあるかと思いますが、言葉一つ一つも丁寧に説明させていただくので、何でも聞いてもらえたらと思います。標榜科目として掲げている診療科はありますが、これらと関係がなくても、相談事があれば遠慮せずに足を運んでいただいて大丈夫です。また、ご自身のことだけでなく、ご家族のことでも構いません。これまでの経験をもとにすれば、ある程度の総合的判断はできる自信があるので、いつでも来院していただけたらと思います。地域密着型のクリニックなので、地域の方々に頼りにしてもらえることが一番のやりがいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはレーザーフェイシャル/1万2000円
しみ取り(一部位)/8000円
医療脱毛/8000円~、(※部位、性別、回数によって費用が異なります。詳細はクリニックにお問い合わせください)