村上 英喜 院長、宇野 遥 副院長の独自取材記事
むらかみ整形外科
(額田郡幸田町/相見駅)
最終更新日:2026/03/04
のどかな田園風景が広がる額田郡幸田町。2000平方メートルを超える広さの「医療法人むらかみ整形外科」は、長年にわたり地域住民の運動器の健康を支え続けてきた。かつて農業中心だったこの地域には、近年企業勤務の若い世代や子育て世代が増え、医院の役割も多様化している。現在は村上英喜院長と愛娘の宇野遥副院長による2人体制で診療を行っており、1日に多くの患者を受け入れながらも、一人ひとりに時間をかけた診察が可能に。加齢に伴う整形疾患を抱えた高齢者をはじめ、地域の子どもたちのスポーツ障害など、多様な症例に対応している。「あなたの本当の力を取り戻していただきたい」をモットーに、適切な治療やリハビリテーションで、患者の復帰を支え続ける2人に、地域医療にかける真摯な思いを聞いた。
(取材日2026年1月19日)
痛みの先にある、満足できる生活を追求する
こちらはどのような整形外科医院なのですか。

【村上院長】開業したのが1992年です。ここは私の出身地に近く、かねてより地元で整形外科治療をしたいという思いがあり、いくつかの病院勤務を経てこの地でスタートしました。当初はここまでの面積はなかったのですが、デイケア施設を併設するなどし、現在の広さになりました。
【宇野副院長】私は2015年に当院に就任しました。結婚して苗字は変わりましたが、院長の娘です。以前は勤務医をしており、父と一緒に働くとは考えていなかったのですが、結婚を機にこちらに入りました。
どのような患者さんが多いですか。
【村上院長】年齢層は子どもから高齢の方まで幅広いです。以前は農業関係の人が多かったのですが、近年は周辺の企業に勤める人や若い世代も増えています。症例で多いのは、骨粗しょう症、脊柱管狭窄症、変形性膝関節症、頸椎症といった加齢に伴う疾患ですね。また、近隣に小中学校があり、子どもたちのスポーツに関係する障害も増えています。
診療で大切にしていることを教えてください。

【村上院長】患者さんには、自分で納得し満足した心で生活を送ってほしいと願っています。整形疾患やケガには、治ることが見込めるものもあれば何らかの障害を残すものもあります。そうなると、大切なのは自分に残った能力で、どれだけ現状に納得して動けるか。痛みがあると苦しいですが、痛みがなければ、たとえ動かなくても何とかこれでやっていけるという気持ちになってもらえる。だから、自分の状態に納得し、残った能力を最大限に発揮してほしいという思いで治療に当たっています。
【宇野副院長】日常生活でどんな動作や作業をするのか、患者さんにきめ細かに聞きます。できる動作が限られている中で、「こんな時はこういうやり方をすると痛みが出ないことが期待でき、うまくいくことが見込める」というように、具体的なアドバイスをするようにしています。
患者一人ひとりに、じっくりと向き合う診療
院長と副院長、2人体制で診療をされているのですね。

【村上院長】ええ、特に分担があるわけではないのですが。以前は私1人で1日に数多くの患者さんを診察していました。2人になったことで、これまでと同じ人数の患者さんを診療時間内で診ることができるようになりました。そのため、一人ひとりを時間をかけて診察し、説明もゆっくり丁寧になりました。治療の説明、日常生活の注意事項、運動の仕方や注意点なども十分に伝えられます。それは本当に良かったですね。
副院長はいかがでしょうか。
【宇野副院長】私はこれまで大規模病院で働いてきたので、当初はこうした医院の現場でわからないことも多かったんです。特にリハビリに関しては、大規模病院は手術後のリハビリや手術をしない人の保存療法などは、医院に任せることがほとんどでした。だから病院勤務時代には個々に寄り添うより、いわゆる一般的な治療を行っていました。今では一般的な治療はもちろん、その先の、患者さんが実際の生活で必要な体の使い方や自分でできるテーピングなどまで行うようになりました。ここでは、院長からさまざまなことを学べましたし、診療で迷ったら相談できるのは大きなメリットだと思っています。今のほうが忙しく、いっぱい患者さんを診ているという実感がありますね。
患者さんにはどのような接し方を心がけていますか。

【村上院長】どの患者さんにも必ず仕事内容を聞きます。例えば、「こんな作業をする時に困らないか」と聞いたり、「こんな動作はしないように」と注意したり。心的な問題を抱え、わずかな痛みで体の一部を動かせなくなる場合もあります。治療では、とにかく痛みを取ることをめざします。たとえ精神面で問題があるとしても、それは痛みがきっかけなわけですから、痛みを取ることをめざすのが基本だと考えています。また、スポーツでケガをしたり痛みを抱える子が増えています。子どもはなかなか練習を休もうとしません。捻挫で腫れても骨折があっても練習したいと言う。それを説得して休ませるのが大変ですね。まず親御さんに説明し、理解・納得してもらうように努めています。
「年だから仕方ない」で済ませない、諦めない
診療で大切にしていることは何ですか。

【村上院長】疾患にはさまざまな症状があり診断がつきにくいこともあります。それでも、できるだけ適切な診断をすること。例えば腰が痛い場合、痛み止めや湿布などでそれなりに改善が見込めることもあります。でも、どこにどんな悪い原因があるのかがはっきりすれば、もっと適切な治療方針が立てられ治療の選択肢も広がります。しっかりと診ることを一番重視しています。
【宇野副院長】患者さんの中には、動かないでねと言うとまったく動かなくなってしまう人もいれば、どれだけ注意しても立場や仕事内容などから動かざるを得ない人もいて、人によって違いがあります。その人が理解し納得して続けていける治療をし、その人に合った方法で対応することを大切にしています。
これからの目標を聞かせてください。
【村上院長】整形外科も日々進歩していて、今は「生活の質の向上」と言うのでしょうか、スポーツや旅行など人生を充実させることをサポートしたいですね。「これは変形してるから仕方ない」「しびれは治らないもの」で済ませるのでなく、どうやってその患者さんなりに自分の体を管理し、使い方を考えて行けばいいのか、そういう面を支えて行けたらと思います。もう一つは、幸田町周辺では今若い世帯が増え子どもも増えています。となるとスポーツなどでケガをする子も増えるでしょう。それに今以上に対応できるようにしたいです。
【宇野副院長】年だからもうしょうがないと過去に言われたという患者さんが来院されますが、それは違います。現在の筋力量、運動量、生活のバランスがうまく取れていないだけ。鍛えれば何歳になっても筋肉は付けられます。患者さんの今一番困ってること、やりたいことを聞いて、その人に合うやり方で復帰を支えていきたいです。
整形外科はとりわけ女性医師が少ないそうですね。

【宇野副院長】女性は本当に少数です。でも、出産や子育てなど男性医師ではわからないこともたくさんあります。ちょっとしたことでも気軽に相談してほしいですね。私自身の体験も生かし、寄り添ったアドバイスをしていきますから。また、こんなことで受診して良いのかとためらう人もいますが、「何でもいいから取りあえず来ていいんだよ、話してみて」という窓口になれたらと思っています。まず話を聞いて、私で解決できることは解決を図りますし、できない場合は「提携の病院を紹介しますよ、こんな施設に相談してください」と、しっかりとサポートします。
読者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。
【村上院長】整形外科疾患に限らずすべての疾患に言えることですが、なるべく早い時期に受診すれば、簡単な対応、ちょっとした指導、あるいは少しのリハビリで良くなることが期待できます。ひどくなれば薬もいるし、もっと悪くなれば手術が必要になってきます。そうなる前にできることはいくらでもあるから、気になることがあれば早い段階で医療機関にかかるようにしてください。
【宇野副院長】どんな小さなことでも、何かあったら早めに受診してください。でないとアドバイスも何もできない。つらさや痛みは早く治療すれば早く改善がめざせるので、気になったら、とにかくまず来てほしいですね。

