伊藤 全哉 副院長の独自取材記事
伊藤整形・内科 あいちスポーツ・人工関節クリニック
(丹羽郡扶桑町/犬山駅)
最終更新日:2022/05/30
日本でも有数の腰痛治療に特化した「伊藤整形・内科 あいちスポーツ・人工関節クリニック」。副院長の伊藤全哉先生は、名古屋大学病院に約10年勤務し、アメリカへの留学経験もある。さまざまな症例の患者の診察と執刀を担当したスペシャリストで、背骨の悩みをすべて解決してあげたいという思いが強い。新しい機器を積極的に導入し、保険診療だけでなく自費診療もできる体制を整え、患者により多くの選択肢を提供。スポーツ医学にも精通し、スポーツ専門の外来で腰痛に悩むスポーツ選手もサポートしている。「医師の役割は目の前の患者をしっかり診ることと、医学を発展させることで、どちらも欠けてはならない」と伊藤副院長。地域かつ国際医療発展のため、自らの知識と技術の「啓蒙活動」にも余念がない。
(取材日2016年11月10日)
習得した知識と技術でたくさんの患者を救いたい
医師をめざしたきっかけと、これまでの経緯を簡単に教えてください。
実は、初めは漠然とですが、工学部に進もうと考えていました。しかし、高校3年生の頃に風邪をひいて体調を崩したときがあって、自分で自分の体をコントロールできていないことを痛感しました。その時でしょうか、もっと自分の体のことを知りたいという思いが強くなり、医学部をめざそうという気持ちになりました。大学は名古屋大学の医学部に進学し、手術を通してたくさんの患者さんを救いたいと思い、患者数の多い整形外科を選びました。医師になってからは、名古屋大学病院に約10年勤務したり、アメリカへも1年間留学したりして、さまざまな症例の患者さんを診てきました。大きな手術もたくさん経験しました。その経験を地域かつ国際医療に生かしたいと考えたので、自分で指揮をとれる開業医の道を選びました。
大学病院ではどのような治療をされていたのですか。
大学病院に勤務したのは、医師になって6年目です。大学病院にはいろいろな情報が集まってきますし、最新の医療技術にもふれることができるので、とても魅力的でした。患者さんの症例もさまざまで、背骨が曲がってしまう側弯症など、難しい症例の患者さんの手術や治療もしてきました。大学病院はそういう患者さんが集まってくるので、ほんとうに貴重な経験になったと思います。ただ、実際にはそういう難しい症例の患者さんはまれで、圧倒的に多いのは腰痛の患者さんです。もともと医師としてたくさんの患者さんを治したいと思っていたので、大学病院での勉強をもとに一般的な患者さんとふれあえる開業を考えました。
印象に残っている患者さんについて教えてください。
一番印象に残っているのは、研修医になって初めて診た患者さんです。その患者さんは15歳くらいの男の子で、白血病が背骨に転移して、背骨が痛いということで診察をしました。年齢が近かったこともあって、病室に何度も通ううちにとても仲良くなりました。ただ、研修医の頃はいろいろな科を回らなければならないので、ほかの科の担当になっている間は会えませんでした。確か、数ヵ月後だと思います。久しぶりに病室を訪ねたら、その患者さんはいませんでした。最後に会った時はすごく元気だったので、退院したのかと思っていたら、白血病で亡くなったことを聞かされました。医師として歩み始めてすぐだったので、ものすごい衝撃を受けました。背骨の病気は命に関わることはそれほどありませんが、死と隣り合わせの患者さんもいるということを思い知らされました。それをきっかけに、背骨だけのスペシャリストではいけないという思いを強く抱きました。
腰痛のスペシャリストとして、患者の容態を適切に診断
診察で心がけていることを教えてください。
患者さんの中には、どこが痛いのかわかっていらっしゃらない方もいるので、症状を聞き出すため、患者さんと同じ目線に立って、しっかり目を見て話をすることですね。質問はフローチャートのように、例えば、ある日突然痛くなったのか、ずっと痛かったのか、足に痛みがあって歩けないのか、連続して何メートルくらい歩けるのかなど、患者さんが答えやすいようにしています。診察結果を伝える時も画像を見せながら、専門用語を使わないようにわかりやすく説明しております。僕らは普段から専門用語を使っているので、当たり前のように使ってしまいがちですが、説明の中に意味がわからない専門用語が1つでもあると、そのことが気になって頭の中が真っ白になってしまうという患者さんもいらっしゃいます。なので、患者さんと話すときには、常に患者さんの目線に立つようにして心がけております。
保険診療もやっているのですか。
自費診療だけでなく、保険診療も行っております。保険診療と自費診療で何が違うのか、どのような治療なのかなど、しっかりとご説明をしたあと、患者さんにどちらの方法を選ぶのか決めてもらっています。患者さんの中には、自費診療しかないと思い込んでいる方もいらっしゃるため、来院をためらうケースもあるかと存じます。何か気になることがあったらなるべく早く相談に来ていただきたいと思いますし、そのための体制も整えておりますので、ぜひ気軽に相談にいらしていただけるとうれしいです。
どのような患者さんが多いですか。
若い方はヘルニア、50歳以上くらいになると腰部脊柱管狭窄症が多いですね。ヘルニアは骨と骨の間の椎間板が出っ張って痛くなりますが、腰部脊柱管狭窄症は椎間板が出っ張るだけでなく、神経の後ろからも圧迫される病態で、腰の老化みたいなものです。年を取るとほとんどの人が腰部脊柱管狭窄症を持っているので、誰でもなる可能性があります。5分くらい連続して歩くと足腰が痛かったり、休まないと歩けなかったりする人は注意が必要です。それと、年齢のせいで腰が痛いと思い込んで病院に行かない人もいますが、高齢者の場合には腰や背中の痛みが、骨粗しょう症による圧迫骨折ということもあります。それに、内科や産婦人科の疾患からくる腰痛もあるので、それを見分けるためにも診察を受けていただきたいですね。
医学の発展も重要な役割、そのために自ら学び広めたい
スポーツ専門の外来もあるのですね。
背骨のことはどんなことでも解決できるクリニックをめざしておりますので、スポーツ選手の腰痛の悩みを解消するために設けました。実は、スポーツ選手で腰痛に悩んでいる人は多いんですよ。サッカー選手や野球選手などは膝や肩などをよく痛めますが、スポーツ選手の膝や肩を専門に診る医師はたくさんいます。でも、背骨を専門に診る医師は少なくて、腰痛を治すために一般の整形外科で受診する選手もいます。そのため、スポーツ医学について専門的に研鑽を積み、スポーツ選手の腰痛治療ができる体制を整えました。もちろん、膝や肩なども診ていますし、より専門的な治療が必要な場合には、大学病院をはじめほかの病院の専門の先生とも連携をとってサポートしております。
今後の展望についてお聞かせください。
ポリシーに「独歩啓蒙」があります。実は、この言葉は私の造語で、自分から進んで学び、それを周りに広めたいという思いを込め学生時代につくりました。クリニックでは積極的に新しい医療の導入に取り組んでいますが、それは患者さんにより多くの選択肢を提供したいという思いだけでなく、独歩啓蒙の精神からもきています。先進的な医療を導入するためには、自らが率先して新しい知識や技術を学ばなければなりません。それが「独歩」です。そして、習得した技術を周りに広めて医療を発展させることが大切で、それが「啓蒙」です。啓蒙活動によって同じ志を持つ同志が集い、それぞれが進化し、地域かつ国際的に医療を発展させていきたいと思っております。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
背骨のことで悩んでいる患者さんは、ぜひここに来てくださいとお伝えしたいですね。クリニックでは、患者さんの悩みを解決するために、先進的な治療法や機器を導入して、保険診療以外にも患者さんが希望する治療法を選べるようにしております。専門スタッフも配置して、内科や産婦人科などからくる腰痛も診ているので、気になる症状がある方は気軽に受診してください。それと、2017年3月には、クリニックの隣に「あいちせぼね病院」がオープンいたします。新しい病院では保険診療を中心に、こちらのクリニックでは自費診療を中心にして、たくさんの患者さんの希望にかなう医療サービスを提供させていただく予定です。