大口 志央 院長、大口 貞雄 先生の独自取材記事
岩崎台おおぐち内科ハートクリニック
(日進市/杁ヶ池公園駅)
最終更新日:2024/06/04
バス停からも程近い場所に建つ「岩崎台おおぐち内科ハートクリニック」は、2024年2月14日に以前の「大口医院」からクリニック名を変え、現在の地に移転オープンした。前院長の大口貞雄先生の想いを引き継ぎ、院長となったのは大口志央先生。志央院長は長く基幹病院等で研鑽を積んだ、循環器内科、とりわけ不整脈の専門家だ。「より地域に信頼いただける、地域に根差したクリニックでありたい」と真っ直ぐに話す志央院長。どんな質問にもしっかりと丁寧に答える姿に、誠実な人柄がにじみ出ている。地域の人々のため日々力を尽くして診療にあたる志央院長に、貞雄先生も全幅の信頼を置く。そんな志央院長と貞雄先生に、移転後の変化や専門のこと、今後の展望など多くの話を聞いた。
(取材日2024年3月28日)
父の想いを継承し、より信頼されるクリニックをめざす
移転されクリニックも新しくなりましたが、患者層に変化はありましたか?
【志央院長】以前から通ってくださっている患者さんのほとんどが移転後もお越しくださっています。高齢の方が多いですが、若い方が初診で来られることも多くなりました。ハートクリニックを掲げていることもあって、心臓の病気を心配されて来られる方はかなり多くなったなという印象です。ただ一方で、父の代から続く地域に根差した医療、つまり一般診療をしっかりやっていくということ。それは今後も大切にしていきます。例えば、移転前は、ショッピングセンターの中にあった関係であまり熱のある方を受け入れられなかったのですが、移転後は発熱者用の外来を設けてしっかり対応できるようにしたんですね。一般の方々に影響がないような建物の構造にして、診療時間も分けて対応しています。
継承後、貞雄先生はどのように関わっていらっしゃるのでしょうか。
【志央院長】父は継承後も診療を続けてくれています。父がいるから移転後も通っている、という患者さんは多くいらっしゃいます。父が診療外の日も、私の手が回らなくなったときに簡単な補助をしてくれていますよ。クリニックは基幹病院と勝手が異なる部分もあるので、父に気軽に聞ける環境があるのは心強いですね。
【貞雄先生】まだ息子は雑務などに慣れていないこともあるので、助言をしています。また、私の診療を希望される方には、できる限り対応しています。高齢の方は予約システムに対応できないことも多いので、予約がなくても来てもいいよとお伝えしているんです。
移転にあたり、こだわったところはありますか?
【志央院長】心臓リハビリテーションを立ち上げたのは、当院にとって大きなポイントですね。病院にいる急性期の患者さんは、リハビリをしないと急に弱ってしまったご自身の体が戻らないので、必死にされます。一方クリニックでは、入院中に行っていた急性期のリハビリを継承する方以外、すでに生活スタイルが固まっている方へリハビリを勧めていくことになりますので、ご本人のモチベーションや意欲が急性期の方と比べてどうしても低くなりがちです。そのため、できるだけ楽しく取り組んでいただけるよう、建物の窓を広くして、明るさを全開にしました。圧迫感がないようガラスを壁に貼って、より広く見えるようにも工夫しています。
チーム診療に取り組み、より良い治療や管理を行う
リハビリに楽しく取り組めるよう、さまざまな工夫をされているのですね。
【志央院長】楽しくというのも大切ですからね。ですが、楽しいだけで終わってはいけませんので、理学療法士を配備し、健康寿命や予後の改善を目的に質の高さにもこだわっています。心臓の病気は日常の過ごし方に大きく左右され、予後も変わってきます。そこで、大事なポイントの一つになるのが、運動習慣やライフスタイルの改善です。これは個人のみの介入では実現が困難なので、医師の視点だけではなく、看護師、理学療法士、薬剤師といった専門職と連携し、チーム診療に取り組んでいます。そして、週に1回行うカンファレンスの中で、それぞれの現状と噛み合わせて多方面からアプローチしながら、リハビリの方針を統一していきます。臨床心理士の妻にも、将来的にうまく関わってもらえたらと思っています。
志央院長のご専門は不整脈と伺いました。
【志央院長】はい。不整脈を心配されて当院に来られる方は多く、脈の乱れを主とする心房細動という不整脈が増えています。これは震えている心房の中に血栓ができ、それが頭に飛んで脳梗塞を起こしたり、あるいは心不全が進行したりして予後が悪くなることもあります。今はカテーテルアブレーションという治療が普及して根治が見込めるようになりましたが、無症状のケースもあり、放置すると徐々に不整脈が慢性化して、治すのが難しくなるんです。ですので、脈の乱れにはご注意ください。また心不全については、心房細動などもともとの心臓の病気があって発症してくるのですが、最近では見た目の心臓の機能が良くても、心不全になる方もいます。今は心不全パンデミックという言葉があるほど、心不全患者さんは増えています。先ほど話題に出た心臓リハビリなどを介しながら保険適用内でリスクの高い方に対し、より前向きに早期介入していきたいと考えています。
患者さんと向き合う上で大切にされていることはありますか?
最初は病気の訴えで来院されていても、実際はただ話したくて来られている方もいらっしゃいますので、予約時間を守りながらにはなりますが、患者さんの話を聞くようにしています。何げない話に大事なポイントが隠されていることもありますからね。そして、地域に信頼いただけるクリニックであり続けるということ。専門性を掲げたクリニックではありますが、それ以前に、まずは地域に密着した医療を提供するということですね。これは地域の患者さんのためにも、絶対に崩してはならないと思っています。
【貞雄先生】きちんと話を聞くということですね。そして、全人的な医療、つまり一般的な内科の相談があれば、できる限り対応するということは大切にしたいと考えています。
スタッフの成長は、クリニックの成長につながっていく
ペースメーカーの外来も行っていらっしゃるのですね。
【志央院長】移転前から行っていまして、患者さんのペースメーカーの管理をさせていただいています。遠隔で管理を行うのですが、流れとしては、月に1度飛んでくるデータをチェックして、ペースメーカーであれば年に1回、もう少し大きな機械の場合は半年に1回、対面チェックを行います。何か異常があれば、ペースメーカーの設定変更など当院で行えることは対応しますし、手術や処置が必要なケースでは、ペースメーカーを入れた基幹病院に当院より連絡をして、対応してもらいます。基幹病院との連携がベースとなりますので、連絡がすぐ取れる体制を整えています。
スタッフさんへはどのような想いを持って関わっているのでしょうか。
【志央院長】スタッフにはスタッフの仕事を行う意味が必ずあり、患者さんは患者さんで、ここに来られる意味があります。それがしっかりシンクロしなきゃいけないと考えているんですね。スタッフも患者さんと関わり治療に介入することによって、目的意識が生まれ、自分が介入していこうという気持ちも芽生えます。スタッフの成長が患者さんのためになり、ひいてはクリニック全体の成長にもつながっていくと考えているんです。そして、こういった環境をつくっていくのが私の仕事でもあるとも思っています。また、面談の場を設けて、ざっくばらんに話せる機会を作り、コミュニケーションを取ることも心がけています。
今後の展望と、地域の皆さんに向けてメッセージをお願いします。
【志央院長】より地域に信頼していただけるようなクリニックをめざしていきたいと思っています。この地域から何か新しい、医療貢献、社会貢献ができればと思っていますし、スタッフも成長していける環境にしていきたいですね。病院に行くのは敷居が高いと感じている方が多いと思いますが、ここに来るとなんだか活気がもらえる、元気になれる、そんな場所をめざしていきたいと思っています。どんなご相談でもいいので、ぜひ気軽にいらしてください。
【貞雄先生】これまでの長い歩みの中で、地域の皆さんへの想いは一言では表せないものがあります。それでも言葉にするとすれば、愛を持って対応してきました。デジタル化や専門性が叫ばれている現代ですが、それにとらわれず、体はもちろんのこと心も含めて、その人自身を診るということ、テーラーメイドのぬくもりのある医療を大切にしていきたいと思っています。