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加藤 茂俊 院長の独自取材記事

吉浜クリニック

(高浜市/吉浜駅)

最終更新日:2021/10/12

加藤茂俊院長 吉浜クリニック main

高浜市内循環バスを小中根公園北駅で降りてすぐの場所にある、モダンな建物が印象的な「吉浜クリニック」を訪ねた。院長の加藤茂俊先生が、運命的な出会いによって前院長からクリニックを継承したのは、2017年。「まだまだ新参者ですから、私のほうから、ここになじむように努力したい」と話す笑顔は、穏やかで優しい中にも信念の強さを覗かせる。愛知医科大学出身で専門は消化器外科。50歳になり、一国一城の主として責任を持って仕事をしたいと、この場所へやって来た。診療スタンスは一にも二にも患者ファースト。「クリニックをたくさんの人が集まる場所にしたい」という熱い思いから、幼くして亡くした自身の子どもの闘病から得た経験、地域密着を掲げる診療の本意まで、さまざまな角度から話を聞いた。

(取材日2018年6月30日)

患者に心から優しく接する父のような医師をめざして

開院して30年と伺いましたが、真新しくて、とてもきれいなクリニックですね。

加藤茂俊院長 吉浜クリニック1

1989年に前院長である桂川兼行先生が開院されたあと、2017年に私が引き継いでから、まだ1年半ほどだからでしょうか。私の院長就任前に、桂川先生が待合室の壁や椅子、看板などを一新してくださったので、30数年という歴史がありながら、新しくきれいな印象なのだと思います。桂川先生との出会いは、たいへん運命的でした。先生がそろそろ後任の院長を、と探しておられた時に、私もこの辺りでの開業を考えておりまして、間に入っていた仲介会社が、私たちの経歴や標榜科目、診療に対する考え方が似ていたことから「絶対に合う」と、仲介を進めてくれました。先生とお目にかかってからは、トントン拍子に話が進み、現在に至っております。じつは桂川先生は、引き続き土曜日に診察を担当してくださっていて、患者さんの診療方針についてもその都度ご相談できる、心強い存在です。

素晴らしいご縁ですね。診療に対する姿勢や考え方が同じだと、前院長の患者さんも安心ではないでしょうか。

はい。桂川先生は「俺は医者だ、俺の言うことを聞け」というようなお医者さまではなく、町の相談しやすいおじさん、と言っては失礼ですが(笑)、いつも患者さんの側に立った発言、行動をなさる先生なので、非常に共感いたしました。私が一番嫌いなのは威張った医者です。私のそういう考えは昔からで、碧南市で開業医をしておりました父の影響が大きいと思います。父はどんな患者さんにも、心から優しく接することのできる人で、診察を受けた患者さんは皆さん「来て良かった」と喜んで帰られました。今、私がしていることは、簡単に言いますと、自分が親にしてもらっていたことを継承しているだけです。私も、ここに来てくださる患者さん、皆さんに「吉浜に来てよかった」「具合が悪くなったら、また行こう」と思っていただけるように努力していくつもりです。

こちらではどのような症状を診ていただけるのでしょうか?

加藤茂俊院長 吉浜クリニック2

当院は、内科、外科、整形外科、小児科を標榜する地域密着型のクリニックです。血圧・糖尿病・高コレステロール血症などの生活習慣病をはじめ、風邪などの一般内科にも対応いたしますし、けがの処置・骨折・腰痛にも対応できます。私の専門領域が外科ですので、それを生かした局所麻酔による日帰り手術も可能です。ホクロやイボの除去、乳腺などのしこりの摘出などを行っています。何かあったらすぐに駆け込める場所、と地域の皆さまに思っていただけることを一番の目標にしております。

このクリニックをたくさんの人が集まる場所にしたい

医師になろうと思われたきっかけを教えてください。

加藤茂俊院長 吉浜クリニック3

私は碧南市で開業医の息子として生まれました。姉弟が5人おりますが、父が全員を医師にしたいと希望し、その通りに姉は小児科、兄と私は外科、妹2人は内科と歯科医師になりました。外科の医師になろうと決めたのは、手術をすることに憧れていたからです。愛知医科大学を卒業して医学博士号を取得した頃に、父から、実家の医院を手伝ってほしいと、呼び戻されました。私としては、もう少し手術の腕を磨きたかったのですが、地域での診療が向いていたのがそれから12年ほど勤めました。そして50歳になり、自分の責任のもとで仕事をしたいと思うようになり、実家は兄に任せて、こちらへ来たというわけです。

日々の診療で心がけていらっしゃるのは、どんなことでしょうか。

ご自分の病状をしっかりと説明なさる患者さんもいれば、話があちこち飛んでしまって順序立てて説明できない方もいらっしゃいます。どの患者さんに対しても、この人は何を言いたいのだろうかと考えながら聞くようにしています。ただ、ふんふんと聞いているのではなく、やりとりの中から言いたいことをどんどん引き出して、患者さんに満足してもらえる診察をめざしています。患者さんに満足してもらうことで、また来ていただけますし、ここなら自分の家族を連れて来てもいい、と思ってもらえると思うからです。医療機関ではありますが、私はここが人の集まる楽しい場所であるように、毎日、心がけております。

職員さんも看護師さんも、皆さん生き生きと楽しそうに働いていらっしゃいますね。

加藤茂俊院長 吉浜クリニック4

当院の看護師は皆、先代の院長が育ててくださった、キャリア20年、30年のベテラン選手です。非常に効率よく動いて、私を助けてくれています。特に、私から「ああしろ、こうしろ」とは言わないようにしています。私はまだここで1年生ですが(笑)、彼女たちは30年生。ですから、まずは私がここに交わって、なじんでいけば良いのだと思っています。私の考え方を上から押しつけるのではなく、だんだんと自分の色を出していければいいと、気長に構えています。

地域医療に積極的に励む根底には患者への愛がある

これまで出会った患者さんで心に残っている方はいらっしゃいますか。

加藤茂俊院長 吉浜クリニック5

実家の医院を手伝っていた頃に、訪問診療で出会った統合失調症の患者さんです。人と関わることが苦手で病院へ行けないから、と地域の相談員から助けを求められて出会いました。何年かして、ようやくコミュニケーションが取れるようになった頃、「往診に来てくれてうれしい」と話してくださったのです。その後も、ずっと診ていくつもりでしたが、こちらへ来ることが決まり、お別れを告げたところ「私は加藤先生に死亡診断書を書いてもらうつもりだったから、すごく悲しいけれど、新天地での活躍を願っています」と伝えてくださいました。会話することも難しい状態でしたが、一生懸命やってきて良かったと思いましたし、これからもこういう出会いを一つ一つ積み上げていこうと思わせてくださった方でした。

先生は患者さんの気持ちがとてもよくおわかりになると思うのですが、どうしてでしょうか?

実は私には子どもが7人いたのですが、5番目の子どもが白血病になりまして、3年闘病した末、3歳8ヵ月の幼さでお空へ旅立ってしまいました。名古屋大学医学部附属病院に入院中は、ずっと妻がつき添っておりましたので、父子家庭の苦労も味わいました。自分の子どもが患者になったことで、医師と看護師以外にも、たくさんサポートしてくれる人たちがいることを知り、つらいながらも感謝の気持ちが湧くと同時に、私の視野も広がったような気がします。もう亡くなって3年がたつのですが、忘れることはできません。夫婦おそろいのネックレスの先にその子のお骨を入れて、毎日身につけています。診察が立て込んでいら立ちそうになった時など、ネックレスをちょっと握って「いかんいかん」と気持ちをいさめたりもします。そして今は娘が、名古屋大学医学部附属病院で医師になりたい、と猛勉強中です。

最後にクリニックの今後の展望を教えてください。

加藤茂俊院長 吉浜クリニック6

私の専門は消化器外科ですので、今後は胃内視鏡検査にも力を入れていきたいと考えております。当院が使用する胃カメラは、経鼻内視鏡です。鼻から挿入するため痛みや違和感も少ないですし、私が外科の医師としてのテクニックを駆使して行いますので、安心してお任せください。さらに訪問診療も増やして、地域密着型の医療をさらに充実させていきます。私の地域密着型医療とは「愛」です。家族を愛するように、大切な人を思うように、愛のある地域医療を実践してまいります。

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