安井 徹郎 院長の独自取材記事
やすい医院
(尾張旭市/旭前駅)
最終更新日:2025/07/02

尾張旭市の住宅街にある「やすい医院」は、名古屋からのアクセスも良く、名鉄瀬戸線旭前駅から徒歩7分という好立地に位置する。外科を専門とする院長の安井徹郎先生は、名古屋大学医学部附属病院や碧南市民病院などで幅広い手術経験を積み、1996年に地域のホームドクターをめざして開業した。プライマリーケアに力を入れ、生活習慣病を中心に多様な相談に応じている。「どこに相談すればいいか迷ったら、来てください」と話す安井院長は、患者との信頼関係を何よりも大切にし、約30年にわたり誠実な診療を積み重ねてきた。一つ一つの質問に丁寧に応える安井院長に、地域への思いやクリニックの特徴などについて幅広く聞いた。
(取材日2025年6月12日)
約30年間、地域のホームドクターとして患者に伴走
クリニックのあるエリアや患者さんの特徴を教えてください。

当院は名古屋からアクセスが良い住宅地にあります。開業当初は新興住宅地として発展を始めた頃でしたが、約30年がたった現在は高齢化が進んでいます。長年にわたり通ってくださる患者さまも多く、ともに年齢を重ねてきたことを実感する日々です。私自身も70代となり、患者さまも70代以上の方が中心です。診療科目は胃腸内科、外科、肛門外科、リハビリテーション科など幅広く標榜しており、中でも高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病の継続的な管理とサポートに力を注いでいます。今後も地域の皆さまの健康を見守るホームドクターとして、丁寧で誠実な診療を心がけてまいります。
長年、診療を続けてきた地域への思いをお聞かせください。
地域の皆さんとは、長いお付き合いをさせていただいています。ご高齢の方が多く、持病をお持ちの方も多いため、ご家族と連携しながら診療を行う機会も増えました。通院中の患者さまが足腰の不調や心臓・肺の病気などで通えなくなった場合には、必要に応じて往診にも対応しています。このあたりはバスの本数が少なく、徒歩や自転車で来られる方が多いため、少しの距離でも外出が難しくなることがあるのです。私の印象では、半径500メートル圏内にお住まいの方が多いでしょうか。ご相談の内容も多岐にわたります。私は外科出身ですが、内科をはじめ、皮膚科、整形外科、泌尿器科に関するお悩みにも耳を傾けています。もちろん、必要に応じて近隣の病院をご紹介しています。
往診にも対応していらっしゃるのですね。

開業当初から、往診も診療の一つとして続けてきました。ご自宅での療養を希望される方の力になることも、ホームドクターの役割だと考えています。がんの末期の方など、ご自宅で最期を迎えたいというご希望がある方には、緩和ケアを行ってきました。ご家族が不安や戸惑いを抱える場面も多いため、状況を丁寧に説明し、心の準備ができるよう心がけています。以前は4〜5人ほどの患者さまを定期的に往診しておりましたが、最近は施設に移られる方が増え、往診のご依頼が少なくなってきました。一人で診療しているため、24時間体制で動けるわけではありません。そのため、訪問看護師さんと連携し、緊急時はまずそちらにご連絡いただくようお願いしています。その後、診療の合間を見て、私がお伺いするという形です。ご自宅で静かに、安心して過ごしたいというお気持ちをこれからも大切にしていきたいと思います。
プライマリー・ケアを行い、適切に連携先の病院へ紹介
クリニックの特徴を教えてください。

何か一つの治療に特化するのではなく、地域のかかりつけ医として、幅広い診療を行っていることが当院の特徴です。例えば、日常の健康に関するお悩みをお聞きし、必要に応じて適切な医療機関をご紹介する「プライマリー・ケア」を実践しています。地域の病院との連携も大切にしており、愛知医科大学病院、旭ろうさい病院、公立陶生病院の3つと連携していますので、患者さまの症状やご希望に応じてご紹介することが可能です。どこに相談すればよいか迷ったときにも、安心してご相談ください。
健康診断の対応もしているそうですね。
はい。市の健康診断や社会保険の特定健診、企業の健康診断など、必要に応じて幅広く対応しています。血液検査や心電図、胸のエックス線検査、眼底検査なども、当院で一通り受けられるように設備を整えています。やはり病気というのは、発症する前に見つけたいですからね。ただ、健康診断というのはあくまでも検査ですから、異常が見つかった場合はしっかりご説明しますけれども、治療を始めるかどうかは患者さんご自身の判断にお任せしています。こちらから無理に治療を勧めることはありませんが、「このままだと将来的にこういうリスクがありますよ」ということは、できるだけわかりやすくお話しするように心がけています。
患者さんと接するときに大切にしていることを教えてください。

患者さまと接する上で大切にしているのは、誠実であることです。当院での検査でわかることは丁寧にお伝えしますが、わからないことについては正直にその旨をお話しします。必要以上に期待を持たせるのではなく、「今わかっているのはここまでです」「こういった治療が考えられます」と、できる限り率直に説明するよう心がけています。もちろん、当院で対応しきれないような病気もありますから。例えば、心臓の病気で精密な検査が必要な場合や、CT検査などの画像診断が必要な時には、連携している病院を紹介しています。誠実であることが必ずしも良い結果に結びつくとは限りませんが、患者さまとの信頼関係を築く上で、欠かせない姿勢だと考えています。
次世代につなぎ、これからも地域を見守っていく
開業されるまではどのような経験を積まれてきたのでしょうか?

名古屋大学では小児外科を専攻し、第一外科という大きなグループに所属していました。最初は一般外科に入り、大学で小児外科を経験した後、再び一般外科に戻りました。当時の外科は体力勝負であることが多かったのですが、碧南市民病院では患者さんがとても多く、朝から深夜まで手術を行う日も珍しくありませんでした。そのおかげで、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がんなど、心臓と脳以外のほとんどの手術を経験することができました。現在は、当時のような大きな手術を行うことはありませんが、皮膚のこぶを取る小手術は行っています。また、診察の際に臓器の位置や動きが自然とイメージできることは、これまでの経験が生きている部分だと感じています。
学生時代に夢中になったことはありますか?
学生時代は体を動かすことが好きで、中学と高校の6年間は柔道をしていました。高校では主将を務め、柔道二段も持っています。ただ、柔道は強い選手が多いので、勝ち抜くのは簡単ではありませんでしたね。自分の投げ技がきれいに決まったときの爽快感は、今でもよく覚えています。大学では、ワンダーフォーゲル部に所属して、夏山を中心に登っていました。特に印象に残っているのは、夏合宿で訪れた南アルプスの縦走です。一つ一つの山が大きくて自然も豊かで、その山の連なりをずっと歩いていくのが楽しかったです。山小屋が一つの山を超えないとないため、行程は長くなりますが、20歳そこそこの若者だった当時は存分に楽しむことができました。自然の雄大さを全身で感じ、日本の大部分が山であることを実感しました。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

そろそろ引退が視野に入ってきています。院内も少し手直ししたいところはあるのですが、息子が数年後に継承する可能性があるため、今は現状維持でいこうと考えています。息子は消化器外科が専門で、現在は当院の非常勤医師として勤務中です。彼の好みに合わせてしっかりリニューアルするほうが良いと思うので、それまでは私が当院を守っていきたいと思っています。みなさんへのメッセージとしては、「どこにかかれば良いかわからない」という方は、まずは相談してくださいということです。私はこれまで、小児外科をはじめさまざまな経験を積んできましたが、今は地域の高齢者の方の診療を中心に、幅広く診させてもらっています。必要があれば連携先の病院もご紹介できますし、ここで対応できるものは責任を持って診させていただきます。