長引く咳を放置しないで
呼吸機能・アレルギー検査で原因の追究を
松井医院
(知立市/知立駅)
最終更新日:2025/12/04
- 保険診療
新型コロナウイルス感染症の流行以降、咳に敏感になった人も多いのではないだろうか。咳の原因は、ウイルスや細菌による感染症だけでなく、アレルギーによる喘息だったり、胃の疾患が隠れていたり、実は肺がんや肺炎などが進行していたりといったケースもある。そのため、まずはクリニックを受診し、適切な検査・診断をしてもらうことが重要だ。「松井医院」の松井彰院長は、病院勤務時代はさまざまな感染症から肺炎、肺がんの治療まで従事してきた呼吸器内科専門のドクター。「長引く咳が症状の一つである喘息は、誰もがなり得る身近な病気の一つ。治療を続けることが大事なので、咳が気になれば早めの受診を」と呼びかけている。
(取材日2025年11月10日)
目次
喘息は治療の継続が大事、長引く咳には肺炎や肺がんが隠れているケースもあるため早期の受診を
- Q長引く咳の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
-
A
▲日本呼吸器学会呼吸器専門医の資格を持つ松井院長
原因は、風邪などの「感染症」、ハウスダストや花粉などによる「アレルギー」、「悪性疾患」、そして「その他」に大別されると思います。「悪性疾患」とは主に肺がんのこと。進行し腫瘍が大きくなると血痰が生じ、異物を吐き出すための反応として咳が出ます。「その他」は間質性肺炎など。これは肺の組織が線維化して硬くなる病気で、日常動作において息切れが出ることが特徴ですが、咳がきっかけで発見されることもあります。診断や治療内容が難しく、専門性の高い病気といえますね。当院では、咳の患者さんは喘息や咳喘息の場合が多いですが、最近はインフルエンザやマイコプラズマ肺炎をはじめ季節性の感染症の患者さんも増えています。
- Q長引く咳を放置するとどのようなリスクがありますか?
-
A
▲長引く咳は放置せず、早めの検査・診断・治療をすることが大切
全般的に言えるのは、治療が遅れて病状が悪化するリスクがあるということです。「感染症」では早めに診断されればクリニックの外来治療で済むものが、発見が遅れると入院治療となり身体的経済的デメリットを負ってしまうことがあります。「アレルギー」を原因とする喘息の場合は、発見が遅れると気道の炎症状態が進み、適切な治療をしても反応しづらくなります。「悪性疾患」は放置すれば進行してしまうでしょう。「その他」の間質性肺炎も進行しますが、根治は望めなくとも進行を遅らせるための治療法がありますので、早い発見がベターです。いずれかの原因でも、早めの検査で診断を受け、早めに適した治療に入ることが望まれます。
- Qこちらではどのような検査が受けられますか?
-
A
▲呼吸器疾患の検査機器が充実、結果をもとにさまざまな指導も行う
まず問診で、咳がいつから出ているのか、どんな時間帯どんなことをしているときに出やすいのか、また鼻水やその他の症状についても詳しく伺っていきます。仕事の内容やペットの有無、おうちの構造と築年数、羽毛布団を使っているかどうか、さらに逆流性食道炎から来る咳の可能性もあるので、胃もたれや嘔吐の有無についても尋ねます。喘息の場合は聴診で喘鳴(ぜんめい)が聞こえることがあります。喘息の診断には呼吸機能検査、気道過敏性検査、血中好酸球数、呼気NO検査といった専門的な検査が有用です。アレルギーの原因を特定するためには注射による血液検査の他、当院では指先から血液を採取して行うアレルギー検査にも対応しています。
- Q咳の治療についても教えてください。
-
A
▲薬は患者の年齢や状態に応じて選択し、使用法も丁寧に説明する
基本的には抗菌薬や抗生物質、咳止め薬、痰切り薬、また外用薬など薬物療法になります。お子さんには飲みやすいようにシロップも用意してあります。喘息の場合は、日々使用する長期管理薬(コントローラー)と、発作が起きたときに短期的に使用する発作治療薬(リリーバー)の2つがあります。吸入器具は複数の種類がありますので、患者さんの年齢や状態に応じて選択し、使用法を丁寧に説明しています。小さいお子さんには筒形の補助器具を使い、しっかりと薬が体内に取り込まれるようにと工夫しています。治療も大切ですが、アレルギーが原因の喘息は、アレルゲンの暴露を防ぐことが大切。日常生活で気をつけるべきこともお伝えしています。
- Q喘息は定期的に受診する必要がありますか?
-
A
▲症状が良いときこそ管理が重要、定期的な通院を
喘息は、症状が良くなると自己判断で治療から離脱してしまう方がおられるのですが、症状が良いときこそ管理が重要で、悪くならないように定期的に通院し、状態を評価する必要があります。炎症を適切にコントロールできるようになれば、薬を減らすことも期待できます。治療を途中でやめると、気道の壁が硬くなって空気の通り道が広がらない「リモデリング」という状態になり、薬を使っても治療につながりにくくなることも。発作で呼吸困難になり救急搬送されるケースもあります。そうしたことを予防するためにも毎日薬を吸引し、定期的に通院して炎症の状態を確認する必要があるといえます。通院頻度は状態により1~3ヵ月に1度です。

