注射で採血するよりも負担が少ない
指先採血によるアレルギー検査
松井医院
(知立市/知立駅)
最終更新日:2025/12/02
- 保険診療
アレルギー反応を起こす原因となるアレルゲンは、スギ花粉やイネ科植物、ハウスダストなどよく知られている物以外にも数多くある。従来、注射による採血でアレルゲンを調べる方法が主流だったが、最近、クリニックで取り入れられるようになってきたのが、指先から1滴ほどの血液を採取して調べるアレルギー検査装置だ。子どもや、注射が苦手な人にとっては負担が軽い上に、41種類ものアレルゲンについて30分ほどで結果がわかることもメリットだ。呼吸器内科が専門で、アレルギー性の喘息を多く診療する「松井医院」の松井彰院長に、同院で行う負担の少ないアレルギー検査について詳しく教えてもらった。
(取材日2025年11月10日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qアレルギーや、受診のタイミングについて教えてください。
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A
アレルギーは、食べ物や花粉、家の中のほこりなど、ウイルスでも菌でもない、本来、体に無害である物に対して免疫が異常に反応してしまう状態です。症状は、くしゃみや咳、鼻水、目や皮膚のかゆみなどさまざま。私は呼吸器内科が専門ですが、咳が長引く方を診察すると、アレルギー性の喘息であることも少なくありません。受診のタイミングは、咳、鼻水、かゆみなどで今、困っているという時ですね。それに加えて、季節性の悩み、例えばスギ花粉が飛散する時期に毎年つらい思いをされているという方は、飛散前の冬までに、またイネ科の植物でしたら夏前に、というように、シーズン前に受診されるのが良いでしょう。
- Qアレルギーの検査とはどのようなものですか?
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A
アレルゲンを調べるためには従来、注射器による採血という方法があります。当院ではそれに加え、指先から少量の血液を採取するアレルギー検査も可能です。これは、人さし指の先に極細の針を刺し、血液を20マイクロリットル、つまり1滴ほど採取するもの。痛みがまったくないわけではありませんが、痛いと思ったら終わっているという感じでしょうか。適応は、乳幼児から高齢者までどなたでも。検査では、ダニや動物、昆虫、樹木花粉などの吸入系のアレルゲン19種類と、卵、牛乳、小麦、野菜など食物系のアレルゲン22種類、合計41種類のアレルゲンについて1度で調べることができます。
- Q指先採血による検査のメリットやデメリットについて伺います。
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A
指先だけですぐ終わりますので、お子さんにも負担が少ないこと、また注射に対して苦手意識や恐怖感がある方にも受けていただきやすいことがメリットです。腕の血管が細く採血がしづらいという方にも良いですね。また、解析も30分ほどと短く、迅速に結果がわかることも利点です。デメリットは、41種類と項目が決まっていることでしょうか。広い領域を調べることはできるのですが、例えばナッツを食べた時にアレルギーが出るという方に、ナッツといってもピーナッツなのかクルミなのか、ということまで深く診断することはできません。一つのことを深く調べるには適していないといえますので、そのような方の場合には注射による採血となります。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1症状や生活環境について問診される
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医師から、症状がいつから出ているのかといった問診の他、薬でじんましんが出たことがあるかどうか、胃のむかつきはないか、仕事などで、皮膚や呼吸器、粘膜といった体の器官が粉塵にさらされることはないか、自宅は木造かコンクリートか、築何年か、羽毛布団は使用しているか、さらにペットの有無など幅広く確認される。
- 2検査の説明を受ける
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検査の内容や、検査により何がわかるのか丁寧に説明される。子どもでは皮膚が薄いこともあり多少痛みを感じやすいが、一瞬程度で終わるため、それほど心配する必要はない。子どもには「注射じゃないよ」と説明しているそう。手もそっと触るなど優しい配慮も。
- 3手を出して、検査を受ける
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患者は、利き手ではないほうの手を差し出す。それに医師が左手を添えて、右手で小さな器具を持ち、患者の人差し指の先に極細の針を出して採血、終了する。採取した血液を解析装置にかけて30分ほどで結果が出るのでそれまで待つ。
- 4検査結果をもとに治療方針が決められる
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診察室で、医師から解析結果の説明を受ける。今現在、症状が出て困っている患者には点鼻薬や内服薬、外用剤、吸入薬が処方される。特に症状がないという人で、例えばハウスダストに原因があれば、寝具の洗濯回数を増やす、アレルゲンが体に触れる暴露(ばくろ)を避けるなどの具体的なアドバイスがある。まずは生活習慣の改善で症状の軽減が見込めるか、1ヵ月ほど様子を見る。
- 5必要に応じて通院治療を続ける
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アレルギー性の喘息の場合、症状があるうちは1ヵ月に1度程度の通院で気道の炎症を評価する。成人の喘息は治りにくいが、症状がコントロールできるようになり安定すれば2~3ヵ月に1度の通院で良いそうだ。咳が治まったからといって自己判断で治療を中断しないようにしよう。

