膵がんの発見に役立つ超音波内視鏡
専門の医師がクリニックで診断
吉田内科クリニック
(犬山市/犬山駅)
最終更新日:2025/08/13


- 保険診療
初期の自覚症状に乏しく、背中の痛みや体重減少など症状が出る頃には進行しているといわれる膵がん。転移が多く、治療も難しいとされている。そうした現状の中でも、できるだけ早く発見し、できるだけ有用な治療につなげたいと尽力しているのが「吉田内科クリニック」の吉田司院長だ。病院勤務医時代から内科全般に加えて胆膵領域の専門的な診療にも携わり、膵がん患者も多く診てきた。その経験から、膵がんの診断に役立つとされる造影CTと超音波内視鏡の2つの検査機器を導入、診療の精度を高めている。患者にとってこれらの検査が身近なクリニックで受けられることは大きなメリットといえるだろう。今回は、吉田院長が「早期の膵がんの発見が望める可能性があります」と話す超音波内視鏡検査について話を聞いた。
(取材日2025年7月11日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q通常の超音波検査で膵がんは発見できないのでしょうか?
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A
通常の超音波検査は、体に侵襲が少なくすぐにできる検査ですが、膵臓に関しては胃の後ろにあるために胃や腸の空気によって超音波が届かなかったり、患者さんの体形によってはあまり情報が得られなかったりします。早期発見とはいえませんが、膵液や胆汁がせき止められていたり、リンパ節転移などがあったりして膵がん発見につながることはあります。また腫瘍マーカー検査も一般的な検査ですが、すべての膵がんで検査結果が陽性になるわけではなく、一つの目安であり、現状こうした検査で膵がんの有無を示すことは難しいです。膵がんを精査するためには造影CT、超音波内視鏡検査が欠かせなく、当院ではいずれの検査も可能です。
- Q超音波内視鏡検査について詳しく教えてください。
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A
超音波内視鏡検査は、腹部超音波検査、血液検査を経て、さらに造影CT検査をした後、膵がんの疑いがあるときに最終的に受ける精密な検査です。内視鏡を使って体内で超音波により膵臓を調べるもので、1cm以下の膵がんでも早期に見つける可能性が高い検査といえます。膵臓だけでなく胆道のがんも調べられます。腹部超音波検査と同様、放射線被ばくがなく細部まで観察できる利点はそのままに、邪魔になる胃や腸の空気が介在しないため、細部まで鮮明に見られます。ただ、これも体形や臓器の位置関係、検査の難易度の高さから医師の技量によるといった問題点があります。
- Q痛みや苦しさについて不安があります。
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A
検査前には十分な説明をしていますので、不安なことや疑問点は何でもお話しいただければと思います。これまで培ってきた病院での経験や、現在も中部国際医療センターで行っている検査の経験などもお伝えできます。検査は、内視鏡の先に超音波発生装置がついた管を胃の内視鏡検査のように口から挿入し、胃や十二指腸の中から膵臓に超音波を当てて観察するものです。管は直径約13mmと太いので、検査は麻酔をして行います。寝ているような感覚でいる間に終わるので楽ともいえますが、一定の麻酔リスクはあるため、術前に十分な評価を行った上で検査に進みます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診と検査前の説明
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診察で改めて健康状態をチェック。既往歴や服用中の薬、アレルギーなども確認される。普段から在宅酸素を使用するなど呼吸状態が悪かったり、高齢で麻酔のリスクが高かったりする場合は検査が受けられないこともある。
- 2検査前の準備
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通常の胃の内視鏡検査と同様、前日の夕食は早めの時間に消化の良い物を摂取する。緑茶や水は飲んでも問題ない。朝は食べずに受診しよう。
- 3麻酔
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検査着に着替える必要はなく、そのままの服装で検査室へ。ゼリー状の麻酔を口に含み、喉で少しの間ためてから飲み込む。難しい人にはスプレー麻酔もある。ベッドに横になり、検査直前に鎮静剤が注射される。眠ったような状態へと導かれたら検査開始となる。
- 4超音波内視鏡検査
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検査自体は10~15分ほど。口から挿入した管を、胃や十二指腸まで進め、その壁越しに後ろにある膵臓を超音波を通して観察する。管の先から針を出し、組織を一部採取することも可能。検査が終わったらそのままリカバリー室に運ばれる。
- 5検査結果の説明
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横になったまま1時間程度休む。しっかり歩けるようになってから診察室で簡単な説明を受ける。詳しい説明は翌日から1週間後に改めて聞く。胃の内視鏡検査よりも太い管を入れるので、検査後、喉に違和感が残る人もいるが数日で気にならなくなるだろう。