石原 克哉 院長、石原 亮 副院長の独自取材記事
石原内科
(蒲郡市/形原駅)
最終更新日:2025/12/09
蒲郡市形原町の閑静な住宅街、公民館や公園にほど近い場所に建つのが「石原内科」だ。落ち着いたホテルのような外観がひときわ目を引く。2025年9月にリニューアルオープンした真新しい院内、待合室には美しい胡蝶蘭の鉢が並ぶ。1968年に先代がこの地で開業して以来、地域住民の健康を支え続けてきた。現在は石原克哉院長と、長男の石原亮副院長の2人体制で診察を行っている。「リニューアルしたのは、医療のDX化への対応のためです。それに伴い副院長が当院に就任し、大腸カメラを導入しました」と語る克哉院長は、亮副院長の姿に目を細める。親子で連携し診療にあたる新体制がスタートし、一段とパワーアップした石原内科。日々の診療で大切にしていることや今後の展望などについて聞いた。
(取材日2025年11月17日)
構想3年、リニューアルオープンに込めた思い
家族3代、地域のホームドクター的な存在とお聞きしました。

【克哉院長】昭和40年代に、私の父がこの地で内科医院を開業しました。1997年に建て替えをし、私が2代目を引き継ぎました。現在の医院に隣接する古い建物が旧診療所です。当院の患者さんはずっと以前から通院しておられる高齢の方が多いですね。糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの慢性疾患を抱える方がほとんどです。「地域の皆さまの身近なホームドクターとして」という思いは開業当初からの変わらぬモットーです。
【亮副院長】僕が小さかった頃は、父はまだ病院の勤務医でした。たしか休日だったと思うのですが、たまたま父が勤める病院に連れて行ってもらったことを今でも覚えていています。父も消化器内科が専門で、内視鏡の検査室を見た記憶もあります。それもあり、子どもの頃から自分もいずれ同じ道をたどっていくのかなという気がしていました。
リニューアルオープンによって、どのように変化したのでしょうか。
【克哉院長】以前の診療所時代は、いわゆる紙カルテでした。医療DXといって電子化を進める方針が示され、これを機にデジタル化への転換を決意したのが今から3年ほど前のことです。DX化により電子カルテに切り替え、医療の質の向上や業務の効率化が実現しました。建物も新しくしたのは、大腸の内視鏡検査も始めたいという思いがありまして。以前の診療所のままではスペースが足りず、処置室などを造ることができない状況だったので、思いきって建て替えを決意しました。ただ、当時は息子が後を継いでくれるのかどうか、まだはっきりとは決まっておらず、彼の気持ちが固まってから、やっとリニューアルに向けて動き出せた感じです。
お2人とも、勤務医から開業医になられた中で、どのような思いをお持ちでしょうか。

【克哉院長】当初、私はずっと勤務医でいようと考えていたのですが、前院長が体調を崩し2ヵ月ほど入院したことがありました。その時期に当院を手伝ってみて、開業医もいいなと思うようになったんです。というのも、勤務医時代は消化器系の患者さんというと、治療が終わればそれで完了という感じだったのですが、開業医だと、患者さんは慢性疾患などで定期的に来院され、ずっと診察し続けられることが多いわけです。その方のお仕事など社会的背景に合わせて医療を提供でき、ご家族で頼りにしていただけることにも魅力を感じています。
【亮副院長】私も以前は病院で研鑽を積んでいました。病院で外来を担当すると、患者さんから「ずっと通いたい」と言っていただけるようなこともあって。一人の患者さんを長く診ていくことにも惹かれるようになったんです。父からの誘いもあり、新たな挑戦ということで開業医として尽力していくことを決めた次第です。
高齢者にも負担の少ない内視鏡検査を
新たに大腸カメラを導入されたそうですね。

【克哉院長】リニューアルを機に、鼻からの胃カメラや大腸カメラによる内視鏡検査も開始し、より幅広い医療が提供できるようになりました。当院では日帰りでの大腸ポリープ切除術も行っています。
【亮副院長】胃カメラや大腸カメラなどの内視鏡検査はこれまでずっと取り組んできた得意分野でもあります。今も週に1度、近隣病院へ内視鏡手術の指導に行っています。内視鏡検査は患者さんが苦痛を感じると、今後一切検査を受けたくないという方が出てしまいます。それによりがんが放置されてしまうことがないように、負担の少ないやり方を大切にしています。そこが自分の強みだと思います。これまでは、大腸がん検診で要検査となった場合は適切な医療機関を紹介していましたが、当院で完結できるようになり、 それも患者さんの負担軽減になるかと思います。
内視鏡検査の際に、貴院では麻酔を使用しないとお伺いしました。
【亮副院長】当院では麻酔は基本的に使用しない方針でいます。というのも、やはり高齢の患者さんが検査を受けるケースが多いですから、 血圧や呼吸の安全を考えて、麻酔は使用していません。これまで何人もの方に内視鏡検査を行ってきましたが、皆さん麻酔なしで受けられました。その方法だと、検査が終わればすぐに画像をお見せしながら説明できますし、帰ることができます。この辺りは交通便があまり良くなく車で来院される方も多いです。車で来て車で帰ってもらうことも、患者さんにとって負担が少なくメリットになると思います。
診療や検査で大切にしていることを聞かせてください。

【克哉院長】当院の患者さんは、糖尿病や高血圧症の60代以上の方がほとんどです。急性の心筋梗塞、重篤な不整脈、腹部の疾患など緊急を要する症状をいち早く発見し、適切な医療機関と連携して早期治療につなげることが重要です。
【亮副院長】院長がエコー検査で症状が出る前の膵臓がんを発見したのを目の当たりにして感心しました。症状がなくても、全身を観ることで重篤な病気を疑い、適切な検査をすることが大事だと再認識しました。たまに血便があったが、その後は通常の便に戻ったからと、放置されている方もいます。検便の検査で要精査となった場合や血便のある場合は進行性がんの可能性もありますので、ぜひ気軽に相談していただきたいです。
幅広く診られる2人体制の強み
生活習慣病への取り組みにも力を入れていらっしゃるのですね。

【克哉院長】良くない生活習慣というのは病気になってしまった場合、生命に関わってきます。だからこそ、医学的根拠に基づいた生活指導をすることを大切にしています。テレビ番組などで、こういう食べ物が体に良いと取りあげられると、それをたくさん食べてしまい、かえって体調を崩してしまう患者さんもおられます。そういう方にはきちんと説明をして正しい生活習慣に導いていくこともします。ある果物がいいと聞き毎日欠かさず食べ続けていた人が、それをやめたことで血糖値が改善されたということもあります。これまでできなかった健康的な生活を継続していくことは簡単ではありませんが、日々の経過を丁寧に診ながら患者さんと二人三脚で歩めるよう後押しをしていきます。
院長と副院長でどのような役割分担をされているのですか。
【克哉院長】私は通常の診療を中心に、副院長は主に午前中は内視鏡検査を担っています。診察は特に担当を決めるということでなく、情報を共有し順次患者さんを診ていくようにしています。2人ともどなたでも診察します。副院長の大腸内視鏡検査で早期がんの発見やポリープ切除術も対応可能になりました。私はそのサポートに力を入れているという感じです。
【亮副院長】70代、80代の高齢の患者さんの中には「祖父の代から通院し、僕で3代にわたって診てもらっている」とおっしゃる方も結構います。僕が専門とする内視鏡検査はもちろん、患者さんのニーズに合わせて、これからも皆さんの期待に応えていきたいです。
これまでよりもパワーアップした貴院の今後の展望を聞かせてください。

【克哉院長】診療や治療では、難しい問題にぶつかることがままあります。これまで私1人だった頃は、自分なりの診断で治療を行なってきたのですが、今は副院長の協力も得て、2人でいわゆるカンファレンスというか、相談をしながら治療にあたることができるのは非常に良いと思っています。
【亮副院長】現在、生活習慣病などは院長がしっかりと診てくれていますから、その指導を仰ぎつつ、内視鏡検査をはじめ患者さんの生活習慣に寄り添った医療を心がけていきたいです。

