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柘植 勇人 院長の独自取材記事

つげ耳鼻咽喉科

(蒲郡市/蒲郡駅)

最終更新日:2023/02/10

柘植勇人院長 つげ耳鼻咽喉科 main

「患者さんに満足して帰ってもらえるよう、病状や治療の説明をしっかりと行うことを大切にしたい」。そんな思いを持って診療にあたっているのは、蒲郡市役所のすぐそばにある「つげ耳鼻咽喉科」の柘植勇人(つげ・いさと)院長だ。同院は、一般的な耳鼻咽喉科の疾患に広く対応しているが、中でも花粉症に対しては、レーザー治療や舌下免疫療法などの治療法や予防法を組み合わせ、患者に応じた治療法を提案。週に1回は補聴器相談日を設けて、聞こえにくい患者の相談を聞き、一緒に最善の方法を考えているという。素人落語家としての顔を持つ柘植院長は、笑いを健康に役立ててもらいたいと、休日には落語を披露している。公私の面で地域住民の健康をサポートする柘植院長に、診療時に心がけていることや診療への思いなどを語ってもらった。

(取材日2022年12月6日)

患者のクオリティー・オブ・ライフ向上のために

なぜ、耳鼻咽喉科の道を選んだのですか?

柘植勇人院長 つげ耳鼻咽喉科1

人間の五感のうち、聞くこと、匂いを嗅ぐこと、食べて嚥下し味わうことなど、かなりの部分が耳鼻咽喉科の領域です。つまり、患者さんのクオリティー・オブ・ライフを高める要素が一番詰まっている科であり、患者さんのクオリティー・オブ・ライフに一番大きく貢献できる科であると思いました。耳鼻咽喉科の領域がしっかりしていれば、人は楽しく暮らすことができ、人生を楽しめるのではないでしょうか。医師になったばかりの頃に出会った耳鼻咽喉科の先生が、手術も鮮やかで格好良くて、こんな先生になりたいと思ったことも、耳鼻咽喉科を選ぶきっかけになりましたね。

先生が診療時に心がけていることはありますか?

できるだけ患者さんにしっかりと病状や治療の説明をして、患者さんに満足して帰っていただくこと。それを目標にしています。こんなことを言うと、患者さんには「先生、本当にそんなこと考えて診察していたの?」と笑われるかもしれませんが、いつも心がけていることなんですよ。ただ、患者さんに説明する時間の3倍は患者さんの話を聞くことが必要だと思っているのですが、待ち時間や待合室の混み具合の関係であまり時間が取れないこともあります。能率良く診察し、話を聞き、説明していくことが大事だと考えています。また診療の時は、ざっくばらんに話せるように、あえて三河弁を使うことがあります。特に高齢の患者さんには方言のほうが親しんでもらえるようです。

先生の得意分野を教えてください。

柘植勇人院長 つげ耳鼻咽喉科2

得意分野といいますか、豊橋市民病院や名古屋市立大学病院に勤めていた時は、喉頭がんなどの頭頸部がんの診療と手術をメインに行っていました。ですから今でも、医師としてのプライドにかけて、そうした病気は絶対に見逃してはいけないと思いながら、診療にあたっています。また、花粉症についても多くの治療を行ってきました。当院では花粉症に対して、舌下免疫療法やレーザー治療なども提供していますが、患者さんの状況に応じながら治療法を提供できるという自負があります。つまり、妊娠や受験などの患者さんの状況に合わせ、いろいろな組み合わせで予防や治療を提供できるということです。

補聴器技能者と連携し、一人ひとりに合った補聴器を

子どもが風邪などの症状の際、耳鼻科と小児科、どちらにかかればいいのでしょうか。

柘植勇人院長 つげ耳鼻咽喉科3

鼻水が出ていて、風邪薬を服用しても鼻水が止まらない場合は、耳鼻咽喉科で診てもらうことをお勧めします。子どもは抵抗力が強くないため、風邪をひいて鼻水が止まらないと、細菌が中耳に入り中耳炎になりやすく、しかも繰り返すことが多いです。当院では、鼻水を取って培養検査を行い、菌の種類を明らかにしてから、一番合った抗生剤を使うことを基本にしています。患者さんによっては、服用していた薬、通園する保育園などの情報を聞き出しながら、菌を判断し、薬を選ぶことも。根拠に基づく抗生剤の適正使用を大切にしている当院の考え方も、お母さん方にはきちんと伝えていきます。

こちらでは、補聴器の相談日を設けていると聞きました。

週に1度、補聴器の相談日を設けています。高齢者の認知症の原因で、難聴が大きいウエートを占めることがわかっています。つまり、 難聴の状態が続くと、キャッチできる情報量が少なくなり、会話もうまくできなくなって、認知症のリスクが高くなっていくのです。しかも、新型感染症の流行以降、マスクで口の動きは見えず、大きな声で話せないため、聴力が低下した高齢者にはつらい時代になりました。数年後に認知症にならないためにも、患者さんには適切な補聴器の使用を考えたほうが良いとお話ししています。当院では、補聴器技能者のいる補聴器専門店と連携して、調整した補聴器を正しく使ってもらいます。補聴器相談では患者さんの希望を聞きながら、その方に合った方法を一緒に考えています。ですから「最低3ヵ月くらいかけて、良い補聴器を作りましょう」と説明しています。認知症予防のためにも、正しい補聴器の使い方を説明していきたいですね。

最近、導入した機器はありますか?

柘植勇人院長 つげ耳鼻咽喉科4

頸部の超音波検査ができるエコーを導入しました。一般的に、頸部の腫れや痛みを訴える方には、触診を行って最初の判断をすることが多いですが、エコーを使えば「何かある」ということを患者さんの視覚に訴えられますよね。首だと、頸部がんや咽頭がんがリンパ節に転移している場合もありますから、例えばエコーで検査をして「ここに大きなしこりがあるから、きちんと検査する必要があるよ」と伝えます。甲状腺やリンパ節が腫れている可能性がある人にも、検査を行いますね。CT検査が必要な場合は、当院から徒歩1~2分ほどで行ける病院で対応してもらえます。

寄り添った医療と笑いで患者に安心感を届けたい

医師人生の中で転機になった出来事などはありますか?

柘植勇人院長 つげ耳鼻咽喉科5

勤務医時代、咽頭がんや喉頭がんの患者さんの手術を多く行ってきましたが、命を助けるために、声を失うことになった患者さんたちがいます。その患者さんたちが、今も元気でおられるか気になりますし、いつも思い出しています。そういう病気は、早期発見が大事です。開業してからは、一人ひとりの患者さんに対して、そうした重篤な病気が隠れていないか、常に注意しながら診ています。命と引き換えに声を失った患者さんを忘れず、これからも診療にあたっていきたいですね。

先生は落語を通して、地域を元気にする活動をされているそうですね。

私は落語が趣味で「駒久家南朝(こまくやなんちょう)」という名前で、落語を提供する活動を行っています。笑いで自己治癒力を高めてもらえるよう、私がサポートできればいいなと思い勉強もしています。以前は、当院で落語会を開催していたのですが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止していますので、現在は公民会で行われる高齢者教室での落語会等がメインです。笑うことは健康に良いことで、腹筋や呼吸器は鍛えられますし、免疫力が高まるともいわれています。また、落語を楽しみにしていただくことで、高齢者の引きこもりの予防にもなります。私の単なる道楽かもしれませんが、これからも「笑うことは、良いことだよ」という発信は続けてきたいですね。今は、ウイルスの知識を話しながらも、ポンっと笑いが湧くようなネタを披露していますよ。

今後の目標や展望をお聞かせください。

柘植勇人院長 つげ耳鼻咽喉科6

ある落語家は、その存在だけで人を笑わせることができました。私も患者さんから「この先生がいてくれるから安心だ」と思っていただけるような医師になっていきたいですね。そのためには、もっと患者さんの話を聞く時間を持てるように、工夫していかなければいけません。限られた時間の中ですが、患者さんの話をよく聞き、しっかりと説明を行いながら、ベストだと考える診療を提供していきたいと思っています。最近では、私も年を重ねて、体の痛みや病気のつらさ、家族を亡くした悲しみといった患者さんの気持ちにさらに寄り添えるようになってきたと思います。これからも、できる限り患者さんに寄り添い続けていきたいですね。

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