早期の治療開始が重症化予防の要
アレルギー疾患と舌下免疫療法
おおやま内科
(一宮市/尾張一宮駅)
最終更新日:2025/09/01


- 保険診療
日本の国民病とも言える、スギ花粉症。政府は花粉の発生源を減らすため、スギ人工林の伐採・植え替えを加速する方針も掲げているが、花粉症対策として効果が出るのはまだまだ先だろう。「日本ではスギが問題となっていますが、フランスではブドウの花粉症もあります」と教えてくれたのは、日本アレルギー学会アレルギー専門医の「おおやま内科」大山バク副院長。アレルギーの専門家として、豊富な知識と経験値からその人に合った治療や指導を行っている。アレルギー疾患についてや、大山副院長が推奨する舌下免疫療法について詳しい話を聞いた。
(取材日2025年7月7日)
目次
スギ花粉症やダニアレルギー等アレルギー疾患は専門の医師に相談を。舌下免疫療法で改善が期待できる場合も
- Qアレルギー疾患について教えてください。
-
A
▲アレルギーはアレルゲンや症状がさまざま、早めの受診を
アレルギー疾患とは、外来のアレルゲンに対して過剰に反応する病気です。スギ花粉症やアレルギー性鼻炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などはよく耳にする病名だと思いますが、これらはすべてアレルギー疾患。スギ花粉やハウスダストで鼻水やくしゃみが出たり、特定の食品に反応して口の中や喉がイガイガしたり発疹が出たりすることが、過剰反応です。特に食物アレルギーで重篤な症状になると、「アナフィラキシーショック」といって、意識障害を起こすこともあります。肺に症状が出れば喘息ですし、皮膚に出ればアトピー性皮膚炎というように、体のいろいろな場所に症状が出て、それが重なっている人もいる複雑な病気でもあります。
- Q原因を特定する時は、どのように調べるのですか?
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A
▲アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの検査も行っている
まずは問診で細かくお話を聞いてアレルゲンの可能性を絞っていき、血液検査でさらに細かく調べることが重要だと考えます。例えば、中華料理を食べて反応が出た時に、そこに何が入っていたかという情報のほうが大きな手がかりになります。血液検査で陽性反応が多少出たとしても、本人の自覚症状がなければ、それは大きな問題にはなりません。子どもの頃に検査をして食べ物に制限をかけると、発育にも影響してしまうので、私は血液検査ありきでは考えていません。他に喘息を患っている患者さんでは、アレルギー性副鼻腔炎との関連もあり、CTを使うこともあります。
- Qアレルギー症状に対して、どのような治療法がありますか?
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A
▲自己注射の指導も行っている
まずは予防が大切で、少量でも口にすれば重篤なアレルギー症状を発症してしまう食べ物もあるので、誤食の時の対応を相談しておきましょう。アナフィラキシーという大きなアレルギー症状が出た際に、その場で自己注射を使用しなくてはならない時もあります。また、そうならないように予防することが一番大切なので、回避が必要な食べ物を把握しておくことが重要です。アレルギー反応を抑制する治療法として、現在では、スギ花粉やダニといったアレルゲンに対して徐々に体を慣らしていく「舌下免疫療法」もありますので、必要な方に受けていただきたいと考えています。
- Q舌下免疫療法とは、どんな治療法ですか?
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A
▲日本アレルギー学会アレルギー専門医の大山先生
具体的な治療の流れとしては、スギ・ダニアレルギーの原因物質を含むタブレットを舌の下に含み、溶けたものを飲み込みます。初回と1週間後は院内で飲みますが、基本は自宅で毎日服用。3~5年間続け、様子を見ながら途中に2年の休薬期間も設けます。スギは花粉の時期を避けて開始します。口の中の違和感やイガイガが出たり、抜歯の際にはどう対応するのかなどもありますので、相談しつつ行っていきます。
- Q市販薬もありますが、クリニックで治療を受けるメリットは?
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A
▲専門のクリニックで検査し、病気に合った処方を
症状が軽い人であれば市販薬でも問題ないと思いますが、アレルギー性鼻炎だと思ってずっと市販薬を飲み続けていた人が検査をしてみたら、真菌性の副鼻腔炎だったということもありますから、クリニックで検査をして病気に合った処方を受けることが大事です。重症の人の場合、目がかゆすぎて勉強に集中できないとか、鼻詰まりで不眠症になったなどの弊害があり、その解消が期待できるのが舌下免疫療法。市販薬でもクリニックの処方薬でも、通常の薬物療法ではその時に現れている症状の抑制しか望めません。舌下免疫療法は、体質にアプローチしていくものなので、根本的な解決につながるというメリットも考えられます。