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磯村 豊司 院長の独自取材記事

磯村医院

(一宮市/石仏駅)

最終更新日:2021/10/12

磯村豊司院長 磯村医院 main

一宮市千秋町。田畑も多いのどかな住宅街の一角にある「磯村医院」。ゆったりとした優しい語り口の磯村豊司(とよし)院長は、総合病院で消化器内科の医師として経験を積んだ後、昔ながらの地域的なつながりが色濃く残るこのエリアで開業した。以来23年にわたって地域のニーズに臨機応変に対応し、今では医院周辺にデイケア施設やヘルパーステーションも展開。病気を治すだけでなく、患者の心にも優しく寄り添う医療を届ける院長に、同院のこれまでの歩みや、現在の診療について聞いた。

(取材日2018年1月25日)

地域の頼れる存在「何かあったら、とりあえず磯村へ」

医師を志した理由からお聞かせください。

磯村豊司院長 磯村医院1

うちは祖父の代からずっと地域に根差して医療に従事してきた家系なんです。人を助ける、人に役立つ医師という仕事の意義を小さい頃から感じており、自然と同じこの道に進みました。今になって思うに、親の教育もあったのでしょう。それは感謝していますね。名古屋保健衛生大学医学部(現・藤田保健衛生大学)を卒業後は、研修医として今の江南厚生病院の前身である愛北(あいほく)病院へ。地域の中核病院ですからいろんな患者さんが来られます。僕は専門の消化器内科で内視鏡について学びつつ、一方で小児の脱臼も診なくちゃいけない、耳鼻科眼科もやらなきゃいけない。もうなす術がないような重篤な患者さんも診ました。いろんなケースとぶつかりながら経験を積み、その経験が僕という人間を勤勉にさせてくれました。

開業しようと思われたのはいつでしたか?

研修後は名古屋大学で臨床内科の再教育を受けつつ、研究もしていましたが、僕の性分として学者として研究に従事するよりも、やはり現場で患者さんに寄り添うかたちで医療に関わりたいと思ったんです。愛北病院からも近いこの土地を借りて開業したのが1992年。オープンの1、2日前は、「本当にやっていけるんだろうか」と不安でしたが、いざ開けてみたら大勢の方が来てくださいました。ちょうどその時期閉院した診療所があり、そこに通っていた患者さんも来てくれました。それを機に、通い慣れた医院から別の病院に移ったり、病気や症状ごとにあっちの病院、こっちの病院とあちこち行ったりすることがないよう、何かあったら「磯村医院に行けばいい」と、頼ってもらえる医院にしたいと思うようになったんです。

開業当時の思いが、今の幅広い診療体制につながっているのですね。

磯村豊司院長 磯村医院2

現在当院は、入院設備を備えた有床診療所として内科・外科・消化器科・循環器科・小児科・皮膚科・泌尿器科・肛門科・リハビリテーション科・麻酔科に対応しています。開業以来「体の調子が悪いなと思ったら、とりあえず磯村医院に行けばいい」と地域の人たちに思ってもらえるようなクリニックをめざして頑張ってきましたが、実際「とりあえず磯村に」と言って来られた患者さんもいたそうです(笑)。先日も救急車で運ばれてきた方がいましてね。電話で救急隊員から「先生のところの患者さんが先生の医院に送ってほしいと言われるんですけど」と言うので「いいですよ」とお受けしたら、初めてみえた方でした。初診だけど「自分は何かあったら磯村医院と決めてたから」と。今うちで入院されてますが、そういう方もいらっしゃいます。

充実した検査環境で、病診連携もスムーズに

こちらでは週に一度「相談日」というものを設けているとか。

磯村豊司院長 磯村医院3

この症状の時には何科に行けばいいのだろうと迷われる患者さんは多いですからね。当院にも、ひと月に1人か2人は「どこに行ったらいいかわからなくて」という方がいらっしゃいます。それで「体のことでお医者さんに聞きたいことがあればなんでも聞いてくださいね」と、毎週水曜に相談日を設けたんです。困っている患者さんのお話を聞き、適切な診療科や医療機関に振り分けていくのも、地域の開業医の役割ですからね。病気のことだけじゃなくてもいいんです。「うちのお母さん、最近様子がおかしいのだけど認知症じゃないだろうか」とか、「介護保険のこと何も知らないので教えてください」という相談で来られる方もいますよ。

MRIやマルチスライスヘリカルCTなど、検査設備も充実しています。

検査設備の重要性は開業当初から意識していました。もちろん最初からMRIがあったわけではなく、CTも中古で安く仕入れたものでしたが。CTは30年前にはすでに一般病院でも使われ始めており、病気を早期発見し、早期治療につなげるためにも、開業したら必ずそろえようと考えていました。内視鏡検査も開業時から対応しています。検査環境を整える利点の一つは、患者さんを大きな病院へ送る際、きちんとしたデータをそろえてお送りできること。送った先の病院ではそのデータを見てすぐ手術に取りかかれるので、時間的なロスが減らせるのです。ですから病院とのスムーズな連携を考えた上で、検査機器は一定のランク以上と思うのものをそろえています。

検査画像や映像は、患者さんへの説明にも役立てているそうですね。

磯村豊司院長 磯村医院4

例えば、内視鏡検査でも心臓エコー検査でも、実際に動いている映像を録画し、説明時にお見せしています。もちろん、実際に検査している時も患者さんは見ることができます。「見る」というのはとても大切です。検査映像が自分の目の前に映し出されたら、「ああこれは私のことだわ」と、患者さんは自分のこととして考えられ、理解度や治療へのモチベーションが高くなるんです。

「人は人のために生きる」を人生のモットーに

先生が日々の診療で心がけていることは?

磯村豊司院長 磯村医院5

患者さんと話す時は正面を向いて話すことです。相手の目を見ながらでないと、その方が何を言いたくて、何を聞いてほしいのかわかりませんからね。大事なのは患者さんが本当に言いたいことをキャッチすること。先日も受験生を持ったお母さんが、「頭が痛い」と来られました。それで話をいろいろと聞いていくと、「最近、子どもが言うことを聞いてくれなくて」とおっしゃる。だから「それはね、こうしたほうがいいよ」とアドバイスすると、「気持ちが楽になりました」と言って帰って行かれました。相談係みたいなものですね。一説には、病気の7、8割は精神から来ているといわれています。単に病気を診るのではなく、心や精神的な部分をケアしていくことも、前線にいる開業医の役目ではないでしょうか。

しかし、特に初めて来る患者さんなどは、なかなか言いたいことが言えない状況もあるのでは?

そういう方のために、当院にはコンシェルジュが待機しております。医者には言いづらいけどコンシェルジュには言える、または看護師にだったら言えるという場合もありますから。問診票を書いて待っている間に、コンシェルジュと話をして、その内容を「こういうことを先生に聞きたいみたいですよ」と僕に伝えてくれるんです。しかしそこで「こういう目的でみえたんですね」と、こちらが話をどんどん押し進めてはいけません。あくまで患者さんから話を引き出し、それに対してしっかり答えていく。「ああ、そういうことなんだ。こうしたらいいんだ」と、患者さんご自身が腑に落ちてから帰っていただくのが大事なんです。

地域に根差して23年。振り返って思うことは?

最初は消化器の早期がんに特化し、予防や治療に取り組んできました。がんを発症した患者さんの治療を行う中で、ご家族が看護に疲れ切っている様子が見えてきた。だったら患者さんを預かりましょうと、入院できる有床診療所にしました。その後、在宅医療に移行した進行がんの患者さんに往診や訪問診療を依頼され、対応することに。患者さんの高齢化に伴い、地域の看護・介護をサポートしようと、現在医院周辺に、通所リハビリテーションやショートステイ施設、デイサービスセンター、ヘルパーステーション、居宅介護支援事業所を展開しています。こうして振り返ると、23年でいろんな変遷をたどってきましたね。

時代に応じて必要とされる医療やサービスを提供してきたのですね。

磯村豊司院長 磯村医院6

ええ。そうやってこれまで自分の使命感を頼りに走ってきました。しかしある時ふと「僕は一体何のために生きているんだろう」と考えたんです。で、行き着いたのが「人は人のために生きるんだ」という答えでした。僕のモットーでありミッションです。このモットーから、うちの法人グループでは、「家族のように、安心・安全・快適・尊厳を提供し、地域貢献し続ける」というクリニックの理念が生まれました。これ、うちのスタッフ誰に聞いても答えられると思います(笑)。この方向性はこれからも変わることはないでしょう。

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