成田 英生 院長の独自取材記事
成田クリニック
(名古屋市昭和区/吹上駅)
最終更新日:2025/04/10

30年以上にわたり泌尿器科と皮膚科の診療を行う「成田クリニック」。吹上駅から徒歩約8分、近くにはバス停があり各方面からアクセスしやすい。2024年秋には、向かい側に移転リニューアルを行った。院長の成田英生先生は、2023年9月に院長に就任し、父であり先代院長の成田晴紀先生と二人三脚で診療を行っている。ここ数年で患者数が増加。取材時、診察時間の前から院外で待つ患者の姿が見られた。「泌尿器科は受診のハードルが高い」と考えている患者に対し、ためらわずに受診し、病気の早期発見につなげてほしいと力を込める成田院長。診療時の心がけや診療の流れ、クリニックのリニューアルについて話を聞いた。
(取材日2024年1月17日/情報更新日2025年4月10日)
先代からバトンを受け継ぎ、地域密着の診療を継続
こちらのクリニックは、30年以上にわたり診療されているそうですね。

もともとは、1952年に祖父が現在の昭和区吹上町で泌尿器科の診療を始め、1986年からは父が泌尿器科・皮膚科の「成田クリニック」を開業しました。私が院長に就任したのは、2023年9月です。現在は父と2人で診療しています。この地域は住宅街で昔から住んでいる方が多いですが、若い世代の方も多い印象です。私はこの地域で生まれ育ちましたので、町の変化を感じますね。
先代院長のお父さまから学ばれたことや、勤務医時代のご経験について教えてください。
父は仕事から帰ってきてから、家でよく勉強していました。常に新しい情報を取り入れようとする姿勢を見て、私も「見習わなければ」と思っています。父の優しいところも尊敬していますね。小学生の頃には、父と同じ泌尿器科の医師になろうと決めていました。金沢医科大学卒業後、大規模病院で泌尿器のがん患者さんを担当しました。泌尿器の疾患は慢性的なものが多いため、患者さんに病気とうまく付き合っていく方法や、治療が長期に及ぶことを説明するのが難しかったですね。父と2人で診療するようになってからは、治療などについて一緒に考える時間が増えました。
診療の際に大切にしていることは何でしょうか?

患者さんに寄り添った診療を心がけています。優しく寄り添う診療は、先代の頃から変わりません。先代も私も穏やかな性格ですので、その雰囲気のまま診療しています。初診の患者さんは、「泌尿器科へ行く」「診察を受ける」という2つのハードルがあります。恥ずかしさから泌尿器科の受診をためらう方が多いと聞きますので、初めてでも入りやすくて話しやすい雰囲気をつくるよう、スタッフにも伝えています。患者さんに安心して受診していただくために、スタッフには接遇面の教育をしっかり行っています。
尿検査や超音波検査で、病気を早期発見し適切に対応
泌尿器科と皮膚科の診療内容について教えてください。

泌尿器科では、頻尿や残尿感、失禁などの排尿障害、前立腺肥大症、尿路感染症、性感染症、お子さんの夜尿症の診療、泌尿器のがん検査などに対応しています。特に、膀胱がん、前立腺がん、腎がんを見落とさないように検査に力を入れています。泌尿器のがんはクリニックで検査が可能ですので、気になる症状があればすぐに受診していただきたいですね。がんの治療については、周囲の病院を紹介しています。クリニックでがんを早期発見し、病院で早期治療に取りかかれるのが理想です。皮膚科では、アトピー性皮膚炎やじんましん、虫刺されなどの一般的な皮膚の症状に対応しています。
どのような症状の患者さんが訪れていますか?
尿が出にくい、何度もトイレに行くなどの排尿に関するお悩みが多いですね。泌尿器科を受診する方は高齢の方が多いのですが、以前と比べて若い世代や女性の患者さんが増えてきています。女性は、尿漏れや頻尿、おしっこが出にくいなどでお悩みの方が多く、外出時や日常生活に支障を来している方も少なくありません。お子さんですと、夜尿症のご相談が多いですね。また、当院では皮膚科の診療にも対応していますので、湿疹や虫刺されなどのかゆみ、陰部の湿疹で受診される方もいます。最近はありがたいことに、当院のクチコミを見て県外からお越しになる方もいらっしゃいます。勤務医時代からずっと私を慕ってくださっている方は、私が院長に就任した際に「昭和区に引っ越す」とまで言ってくださいました。その方は名古屋市外にお住まいなので、さすがにお近くで診てもらったほうが良いとお伝えしました。現在は電話でお話しして、交流を続けています。
泌尿器科での診療の流れを教えてください。

採尿後、問診、超音波などの検査を行って、治療方法を決めます。泌尿器科の検査は、基本的に尿検査が中心です。尿から尿蛋白・尿潜血・尿糖などを調べます。また、顕微鏡で尿の中の赤血球や白血球、細菌などを観察する尿沈渣(にょうちんさ)を行い、顕微鏡の画像をモニターに映しながら患者さんに説明します。超音波検査では、前立腺の大きさや膀胱の容量を見ます。超音波検査では脱衣が必要ですが、基本的に泌尿器科の診察時に着替えや服を脱ぐことはありません。それから、ご自宅で排尿について記録していただくことも大切です。尿量や排尿の頻度、尿漏れの回数などを記録していただく「排尿日誌」をお渡しし、患者さんに書き込んでいただきます。検査結果や排尿日誌の記録をもとに、処方する薬や治療方針が決まります。
院内環境を整え、「恥ずかしい」を払拭する泌尿器科に
泌尿器科への受診をためらっている方が多いと聞きます。

そうですね。症状が出ているのに恥ずかしくて受診できず、病気が進行してしまうことがあります。私も患者さんも、「もっと早く治療を始めていれば」と思うケースが多々ありますので、気になる症状があればすぐに受診していただきたいですね。血尿や排尿時の違和感、下腹部の痛み、背中の痛みなどの症状があれば、すぐに受診してください。腎臓の病気では背中や腰が痛くなることがあります。風邪で内科を受診するような感覚で、泌尿器科に来ていただきたいですね。
今後の展望をお聞かせください。
建物の老朽化や、ここ数年で患者さんが急増したことにより待合室が狭く感じられることから、以前から建て替えを計画していました。向かいの駐車スペースの一部に新しく作り、2024年秋に完成しました。以前の建物で診療しながら工事を進めましたので、建て替え工事中も今までどおり診療を行っていました。リニューアルすることで、患者さんがより快適に過ごせるクリニックに生まれ変わったと思います。以前はスペースの関係でトイレの数が少なかったのですが、今回、女性用トイレと車いす専用トイレを増設しました。診察室も2つに増やしたので、患者さんの数に応じて私と先代の2人で診療を行い、待ち時間の解消につなげたいと考えています。
患者さんのことを考えてリニューアルされたのですね。

はい。泌尿器科への受診に一歩を踏み出せない方が多いと思いますので、温かくて来やすいクリニックになるよう、常に心がけています。待ち時間の解消を図るべく、建物のリニューアルの他に、診療時間を変更しました。今まで休診していた火曜日の午後も診療し、さらに午後の診療開始時間を従来より30分早くなりました。診療時間が長くなりますので、患者さんの受診時間の分散、待ち時間の解消につながっているのではないでしょうか。これからも親切でわかりやすい説明を心がけて診療しますので、泌尿器科と皮膚科のことでお困りのことがありましたら、ぜひお越しください。