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森 紀樹 院長の独自取材記事

森内科クリニック

(名古屋市中区/東別院駅)

最終更新日:2021/10/12

森紀樹院長 森内科クリニック main

「森内科クリニック」は、東別院駅から徒歩5分ほどの、住宅街の一角にある。駐車場も備え、車でも通院できるアクセスの良いクリニックだ。親子2代にわたる歴史あるクリニックだが改装され、モダンでおしゃれな建物となっている。ガラス張りの明るい待合室で、壁には絵画や書が飾られる。院長の森紀樹先生は、気さくで話しやすい雰囲気の先生だ。近隣はもともと古くからの下町であり、近年はマンションの建設などにより若い世帯が増えているエリア。この地で50年、地域に根差した医療を実践してきたクリニックの2代目として、患者が気軽に何でも相談できる医師でありたいと話す。地域の人々のかかりつけ医としての役割を強く意識し、在宅医療にも積極的に取り組んでいる。

(取材日2016年10月18日)

地域医療は病気ではなく病人を診る

医師をめざしたのは、やはりお父さまの影響があったのでしょうか。

森紀樹院長 森内科クリニック1

先代である父も内科の医師だったので、特にきっかけというものはなくて、なんとなく医師をめざすようになりました。大学を卒業してからしばらくは勤務医として他の病院で働いていました。私の専門は消化器内科だったので、勤務医時代には内視鏡手術をすることもあったのですが、クリニックでは手術をする機会はほぼありません。そういう点で若かったし、専門性をきちんと身につけたいという気持ちで他の病院に行きましたね。このクリニックに戻ってきたきっかけは、上の子が小学校に上がるタイミングでした。でも、戻ってきてからも2年くらいは父が院長を続けて、私はここで半分くらい働いて、他の病院にも行っていました。

歴史あるクリニックですが、設備は新しくきれいに見えますね。

医院は50年ほど前の開業です。おかげさまで患者さんも増えて手狭になり、いろいろと使い勝手の問題も出てきていたので、父から私の代に引き継いだ2002年くらいに改築しました。待合室は、靴を脱いで入るようになっているのですが、床暖房が入っていて冬も暖かいです。靴のまま入る医院も増えていますが、私は診察の時にベッドに寝てもらうことが多いのです。触診をする時や、血圧を測る時なども、寝てもらったほうが患者さんが少しリラックスするんですよね。緊張されているとどうしても血圧が上がって、「家で測るとこんなに高くないんだけれど」という患者さんも多いので、なるべくリラックスした状態になるようにそうしています。

勤務医の頃と開業医の今とで、変わった点はどのようなところですか。

森紀樹院長 森内科クリニック2

勤務医時代とは、意識はかなり変わったと思います。戻ってきてすぐ、医師会の活動にも携わり始めたからというのもあるかもしれません。やっぱり開業医としてやっていく上で、地域密着の医療を行うことは大切ですね。医院を運営していくという以外に、インフルエンザの予防接種の呼びかけだったり、公衆衛生の啓発だったり、地域包括ケアといったこともやっていかないといけない。自分の仕事だけをやっていてはだめで、地域に貢献することを考えなければいけません。医師会としても他職種や行政と連携してやらなければいけないことは多いのです。こういうことは勤務医時代には考えなかったことですね。当時は病気を診ていたけれど、今は人を診ているという感じです。

よく会話し患者と信頼関係を築く

診療する時に心がけていることは何ですか。

森紀樹院長 森内科クリニック3

患者さんの話をよく聞いて、よく説明すること。いわゆるインフォームドコンセントですね。それが一番、できているようで実は難しいことのように思います。忙しい時は患者さんの話を聞く時間を十分にとれなかったりすることもあるけれど、世間話でもなんでも、たくさん会話することを心がけたいと思っています。長くこの地域でやってきているので、小さい頃から診ている子どもが高校生になったり、高校生だった人が結婚して自分の子どもを連れてくるようになったりと、いわゆるファミリークリニックのような感じなんですよね。私の場合は、逆に患者さんが私の小さい時を知っていたりもします。たわいもない会話から、患者さんの症状だけじゃなく、最近食欲がないとか、生活について話してもらえる関係が築けていると思います。あとは、なるべく難しい言葉を使わずにわかりやすく説明することをスタッフ間でも気をつけています。

設備や機器のこだわりはありますか。

先ほどお話ししたインフォームドコンセントという面では、やっぱり今はモニターというのは非常に役立ちますね。口で説明するだけでなく、患者さんに目で見てもらうことで、印象に残りますし、すごく説得力が出ますね。百聞は一見に如かずといいますか。患者さんにわかりやすく伝える一つのツールとして使っています。あとは、血球の測定器があって、これはとても役に立っています。白血球と赤血球の数を5分で測定できて、貧血だとか、CRPの高さがわかるものです。とくに急性期の病気に関しては、素早い判断ができるので助かります。肺の影はそれほど大したことがなくてもこれだけ高い数値が出ているから病院に紹介しようか、というような診断ができるんです。内視鏡は、以前は経口だったんですが、時代の流れもあって経鼻に変えました。経口より手間はかかるんですが、患者さんはやはり経鼻のほうが楽ですし、話もできますからね。

在宅医療にも取り組まれているそうですね。

森紀樹院長 森内科クリニック4

在宅の患者さんも、多い時は10人くらい診ていたことがあります。その時はけっこう大変だったけれど、増えたり減ったりしながら続けています。最近は、医師会で作った地域支援センターからの依頼で引き受けることもありますが、当院をかかりつけ医として通ってくれていた患者さんが在宅に移行するという場合が多いですね。患者さんと信頼関係ができていて、顔見知りになってくると、最後まで診てほしいと言ってくださって、自然と訪問診療という形になります。それがかかりつけ医ということだと思います。ある程度お元気で、歩いてここに通って来られていた頃から診ている方が、在宅に移行して、訪問するようになるとまたさらにその人の生活環境がよく見えてくるんですよね。その人が最後、息を引き取るまで看取るということも当然ありますし、そういう方たちとの関係は印象深いですね。

さまざまな職種と連携する地域包括ケア

消化器内科を専門に選ばれた理由は何だったのでしょうか。

森紀樹院長 森内科クリニック5

わりと消化器って、広く全身を診られるからということが大きかったと思います。口から肛門までの消化管と、肝臓も。あとは、内視鏡検査で視覚的に見えるところも大きかったかもしれません。きちんと状態がわかるような写真を撮るテクニックだとか、専門性を身につけたいという思いがありました。でも今は、消化器の専門家ということよりも、地域の人々の健康に貢献して、何でも相談に乗るかかりつけ医でありたいという思いのほうが強いですね。

他職種との連携についてもう少し詳しくお聞かせください。

地域包括ケアというのは、他職種との連携がやっぱりすごく大事だと思います。在宅医療をやっていく上で、ケアマネジャーさんとの連絡や相談はもちろんですし、さらに言えば、介護用ベッドのメーカーさんや、宅配のお弁当屋さんともいろいろと相談することがあります。医療や福祉関係に限らず、いろんな業種が関わってくるんですね。あとは、地域の民生委員の方との連携も必要ですね。時代の流れとしても、これからの医療は、クリニックで待っているだけではなくて外に出ないといけないな、と思っています。さまざまな職種の人が集まる場に出ていくと、顔も広くなりますね。

最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

森紀樹院長 森内科クリニック6

やはり、よく話を聞いてくれて、よく説明してくれるクリニックを選んでほしいと思います。患者さんの症状を聞いた時に、腹痛ですね、風邪ですね、とひとことで終わってしまうのではなく、もっとよく話を聞いて患者さんの相談に乗るということが大切だと思って、診療にあたっています。同じ風邪でも、人によって症状は違いますよね。気安く話を聞いて、患者さんのちょっとした不調や不安でも、いろいろと相談に乗るクリニックをめざしたいと思いますし、皆さんが病院を選ぶ時にも、そういった点で考えてみてもらえると良いと思います。

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