小川 智也 副院長の独自取材記事
小川医院
(京都市上京区/今出川駅)
最終更新日:2025/10/31
京都市営地下鉄烏丸線の今出川駅と鞍馬口駅からそれぞれ徒歩7分の場所にある「小川医院」。内科小児科医院として産声を上げて以来、80年以上もの間、地域住民の健康増進に寄与したいと尽力してきた医院だ。2025年4月からは、小川欽治院長の息子である小川智也先生が副院長に就任。2人体制で診療にあたっている。開業医ではなかなか診ることのない胆管・膵臓の領域を専門としながら、地域のために頼れる場所であり続けたいとオールマイティーな対応を心がける智也先生。変わらないこと・変えていきたいこと、患者との関わりや地域での役割などについて、じっくりと聞いた。
(取材日2025年10月3日)
祖父・父から受けた影響と胆管・膵臓の魅力
祖父・父と3代続く医院と聞きました。医師をめざした理由は、やはり身近な存在だったからですか?

医院の上に住んでいたので、生まれたときから身近な存在だったのは確かですね。医師というよりは、地域の中で働く父の姿に憧れたところが大きかったです。大学を卒業後、京都第二赤十字病院に勤務したのも、当院から近いから。生まれ育った街に貢献できると考えました。消化器内科を選んだのは、胆管・膵臓の魅力にはまったことがきっかけです。より深く、専門性を磨きたいと思い、胆膵の分野で知られている埼玉医科大学国際医療センターで研鑚を積みました。開業医では胆膵をメインにすることは難しいものの、これまで得た知識を還元できる、自分にできることがあると考え、2025年の4月から当院で父と2人体制で診療にあたっています。
胆管・膵臓の魅力は何だったのでしょうか?
私には膵臓がんで亡くなった身内がおり、幼い頃から話を聞いていたので、膵臓の怖さを感じていました。実際、膵臓がんは気づいたときには7割ほどがかなり進んだ状態で発見されるほどわかりにくい病気です。一方で、適切な検査で早期発見できれば根治をめざせる病気でもあります。この早期発見の重要性を感じ、胆膵の領域に興味を持つようになりました。また、進行した膵がんで閉塞性黄疸を来した場合は、内視鏡による処置で黄疸の改善を図ります。黄疸に苦しんでいる患者さんに内視鏡による処置をすることでお役に立ちたいと思っていましたね。あとは、感謝の言葉をもらったことがきっかけで、もっと深めたいと思ったんです。
現在は、どんな患者さんが来られていますか?

祖父がこの地で開業したのが1937年。以来、長く地域に根差してきたので、近隣にお住まいの方がほとんどです。風邪などの内科症状や生活習慣病をはじめ、とにかく「何かあれば小川医院に相談」と来られる方が多いですね。私は祖父を知らないのですが、50年以上通っている方から「こんな人だったよ」と教えてもらうことがよくあります。父についても「こんなことを言われてうれしかった」と患者さんからお聞きすることが多く、家では見せない顔があるのだなぁと(笑)。私が戻ってきてから「これからもよろしく」と声をかけてくださる方がいて、温かく受け入れてもらえていると感じています。
気負わずなんでも相談できる場所を守り続ける
副院長になってから、これまでと変わらず大切にされていることは何ですか?

当院は祖父がつくり、父が守ってきた場所です。なんでも相談できる医院であり続けることが、まず大切だと考えています。加えて、最近は特に患者さんによって医療に求めることが違うと感じる場面がよくあります。病気の早期発見に対する積極性やワクチン接種に対する考え方、背景となる人生観が患者さんそれぞれでやはり大きく異なります。医療への捉え方や希望すること、かけてほしい言葉がそれぞれ違うので、患者さん一人ひとりに合わせた向き合い方が必要と感じます。また、高齢の方が多い地域なので、訪問診療も引き続き注力しています。長く通院してくださっている方は、通えなくなったために主治医が変わるとなると寂しいでしょうから。こちらの人となりも知ってもらっているので、責任を持って最期まで診ていきたいですね。
では、これから変えていきたいこと、取り入れたいことを教えてください。
待合いで何げない会話をする時間も必要ですが、長く待ちすぎると体調が変わってしまうことがあります。患者さんの待ち時間を少しでも減らしたいと、10月からウェブ予約システムを導入しました。定期的に通院される方には診察終わりに次の予約を取って帰っていただき、急な体調の変化などがあれば、予約なしで飛び込みで受診いただくことも可能です。まだ私が副院長になってからは日が浅く、いきなりガラッと変えてしまうと戸惑われるでしょうから、患者さんの利便性を考えながらできることから検討していこうと思っています。
患者さんの印象的なエピソードがあるそうですね。

夏のある日、午前中にいつも来られる方が誰も来ず「今日はなぜこんなに暇なんだろう」と話していたんです。ちょうど待合いのテレビで高校野球をつけていたのですが、京都代表の試合が終わった途端に10人ほどがドッと来られて。メジャーリーグの試合でも、同じようなことがありましたね。愛すべき空気感と言いますか、地域の皆さんが気負わず来ていただける今の雰囲気を守りたいと思っています。
高い専門性とオールマイティーの両輪で地域のために
これまでの経験や専門性をどのように生かしていきたいとお考えですか?

膵臓はエコー検査では観察しづらく、何か所見があったとしてもそれがどんな意味を持つのか判断が難しい側面があります。見過ごされてしまったり重要性が認知されていなかったりする膵嚢胞という病変は、膵臓がんのリスクになる可能性もあります。そこにアプローチするノウハウを持っていること、普段から通っている医院で胆管・膵臓の病気について話ができることが、大きな強みになると思っています。また、特徴的な黄疸や痛みなどの症状が出て初めて、胆管・膵臓の病気を疑うことが多いのが現状です。そうなる前に膵臓全体のリスク評価ができるよう、定期的に健康診断を受けていただく重要性も周知していきたいと考えています。
副院長に就任されてから、生活も随分変わったのではないですか?
そうですね。以前は当直や緊急時の対応のため、夜中に家族を起こさないよう静かに出ていくこともよくありましたが、今は子どもと一緒に過ごす時間が増えました。勤務医の頃は消化器内科を専門としてきましたが、当院ではオールマイティーな対応が求められるので、勉強の日々。なんでも相談できる場所であり続けることが大切だと考えていますし、かなり鍛えられたと感じています。もう少し落ち着いたら、趣味のスポーツ観戦に行ったり、ゴルフに挑戦したりする時間も取れればいいですね。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

ここに来れば安心できるような、温かい場所にしたいと考えています。近隣には大学もあるので、一人暮らしの学生さんが困ったときに来ていただくことも歓迎です。地域の方がなんでも相談できる頼れる医院として、祖父・父が大切にしてきた思いを紡いでいきたいですね。

