若原 和彦 副院長の独自取材記事
若原整形外科
(揖斐郡大野町/モレラ岐阜駅)
最終更新日:2025/09/09

商業施設が立ち並ぶ国道303号線沿いにある、広々とした駐車場と白と茶を基調とした外観がひときわ目につく「若原整形外科」。1985年の開業以来、地域に根差し信頼を紡いできた整形外科全般を手がけるクリニックだ。父である若原和男院長の意志を受け継ぎ、育った場所で地域医療に貢献することを志す若原和彦副院長は、大規模病院でさまざまな研鑽をしてきた整形外科分野のエキスパート。早期発見と治療をモットーに、骨粗しょう症の治療やスポーツ障害、リハビリテーション、デイケアに力を注ぎ、小児から高齢者まで幅広い世代の疾患に携わる。「家族皆が頼れるかかりつけとして、気軽に広範囲にわたる相談をしてほしい」と願う和彦副院長。治療へのポリシーや今後の展望などを中心に話を聞いた。
(取材日2020年2月17日)
骨粗しょう症の早期発見と治療に注力、地域医療に貢献
先生が就任された経緯を教えてください。

当院は院長である父が1985年に開業しました。その頃は整形外科が非常に少なかった時代で、2階に入院施設を備え手術をしながら診察をしており大変だったと聞いています。私は2018年の7月にこちらに戻りました。12年前、医学博士を取得した頃、岐阜大学医学部附属病院の救命センターに1年在籍し外傷を学びまして、岐阜県立下呂温泉病院に移り3年間勤務しました。そこでは地域医療、整形外科全般を行いながら多くの経験をさせていただきました。その後は、揖斐厚生病院(現・西濃厚生病院)で6年間勤務しました。やはり自分の育ったところで、地域に貢献したいという気持ちがとても強かったものですから、医師になって19年目で帰ってまいりました。
とてもきれいな院内ですが、リフォームをされたのでしょうか?
2019年に、待合室と診察室を大々的にリフォームしました。以前は、昔ながらの部屋で狭くて患者さんにご迷惑をかけているのではと感じていましたから、特に待合室を工夫しました。昔の椅子は座りにくく、ひじ掛けがある1人掛けではなかったんですね。空いているのに立っていらっしゃる患者さんもいたので、まずは一人ひとりきちんと腰かけていただけるようにしたかったんです。整形外科は腰や足の悪い患者さんが多いので、腰を下ろさなくても休める高い座椅子や、少しだけ高い椅子も設置しました。少しでも待ち時間を短くとは考えていますが、どうしてもお待ちいただく時間が長くなってしまいますので、快適に過ごしていただけることを第一に考えました。
力を入れている治療は何でしょうか?

当院では骨粗しょう症治療に力を入れています。これは腰と股関節の両方で測る必要がありますので、どちらも測れる骨密度測定器を導入しました。骨粗しょう症はかなり進行している状態で発見されることが多く、その方々が骨折してしまうといったん良くなってもまた骨折をしてしまうことがあります。これを骨折の連鎖、ドミノ骨折といいます。勤務医時代にドミノ骨折の方を何度も手術させていただきました。もっと早く診断し治療をさせていただければ重症化せずに良くなっただろうということを痛切に感じました。そんな患者さんの骨折を少しでも減らしたいという強い思いが医療に取り組んでいます。
骨粗しょう症ではどんな治療を行いますか?
骨粗しょう症の治療法は以前は薬だけだったのですが、最近は薬が飲めないという患者さんが増えています。また、なかなか表立った症状がない疾患ですから、痛みがなくなったら治療を続けず中止されてしまう方が多いんです。骨粗しょう症はいかに長くしっかりと治療をしていくかが大事ですので、飲み薬だけでなく注射治療なども積極的に取り入れています。骨密度検査でしっかりとした診断を行い、患者さんに合わせた治療を提供しています。
丁寧な説明を心がけ患者が納得した上で治療を提供
リハビリテーションにも力を入れていらっしゃいますね。

6年ほど前から理学療法士を採用しまして、リハビリテーション科を立ち上げました。その頃は他の病院に勤務していましたが、当院にも少しずつ携わり、リハビリや専門スタッフの必要性を強く感じていました。今は理学療法士が3人いますが、みんな非常に勉強熱心で一生懸命やってくれるので助かっています。かかりつけ整形外科では病院で手術をされた患者さんのリハビリをするという役目があります。病院ですと入院中しかリハビリができない、遠くであれば通えないという方も多いので、そういう患者さんの受け入れも積極的に行っています。過去にはたくさんの手術も経験してきましたので、その知識をもとに理学療法士と一緒になって手術後のリハビリに関わっていきたいと思っています。
病診連携も重要視されていますね。
岐阜大学関連の施設の先生方とは以前に研究を一緒にしたり、論文の指導をいただいた上司の先生方もたくさんいらっしゃいます。そういう方々と連携を取りながら行っています。直接お電話がかかってきて依頼を受けることもあります。この辺りですと揖斐厚生病院、大垣徳州会病院、岐阜清流病院、岐阜市民病院、岐阜大学病院などがありますので、決して整形のことでなくても適切な見立てをして他科への紹介をさせていただきます。なかなか大きな病院ですとすぐにかかれないとか、病院に行く際にどこに行ったらいいのか迷われる方も多いでしょう。「これは整形外科とは違うかな」と思われても気軽に広範囲にわたる相談をさせていただくのがクリニックの特徴だと思います。
診療の中で最も大切にされていることは何でしょうか?

大事なことは患者さんがしっかり納得された上で、治療を受けていただくことですね。ですから説明は丁寧にすることを心がけています。私が力を入れていることは超音波なんですね。ポータブルエコーを診察時には近くに置いており、すぐに利用できるようにしています。レントゲンですとどうしても部屋を移動しないといけませんし、骨軟部組織をしっかり診ようと思うと超音波が非常に重要ですね。これは患者さんとお話ししながらその場で説明をする診察ができますし、超音波で痛いところを直接見ての注射が可能です。患者さんにも実際の画像をお見せすることで、理解していただきやすくなると思います。
地域のかかりつけとして幅広い世代を家族ごとサポート
デイケアについて教えてください。

当院のデイケアは、介護保険を利用してリハビリテーションを提供しています。ご希望されている方へ火曜日と金曜日の13時半から15時に行っています。特徴としては、アットホームな環境を大切にしています。理学療法士が、身体機能に合わせてリハビリテーションを計画し行っています。デイケア終了後にはお茶の時間を設けていて、皆さん座談会をしながら楽しく過ごされ笑顔でお帰りいただけたらうれしいです。地域医療で大事なことは地域の方が元気で生き生きと過ごしていただけるようにお手伝いすることです。そういったことに少しでも貢献できればと思います。
お子さんのスポーツ障害にも注力されていますね。
整形外科の疾患というのは、お子さんから高齢の方まで全世代に起こり得るものです。成人の方の骨折後のリハビリ、腰痛や膝の痛み、膝関節の他に、さらに小中学生のお子さんのスポーツ障害では、リハビリに力を注いでいます。木曜日・土曜日以外は19時までやっていますので、夕方以降に利用してくださるお子さんも多いです。また、お子さんのスポーツ障害は早期発見、早期治療が重要です。肘肩などの関節の痛みは超音波検査を用いて診断し、全身の柔軟性も確認しています。痛みが強くない方でもよく診察すると体が硬かったりどこかに異常がある場合がありますからね。早い段階で予防のストレッチや指導をしたりして体をやわらかくしていけば、短期間でスポーツに復帰もめざせます。
今後の抱負をお伺いします。

ここは自分が育った愛着のある場所でもあります。開業以来から利用してくださる患者さんや、そのお子さま、お孫さまもたくさんいらっしゃいます。2世帯3世帯で暮らしていらっしゃる方や、お子さん世帯が近くに住んでいらっしゃるご家庭が多く、家族の結びつきが強い地域です。整形外科は全世代に関わる分野ですから、地域の方々の少しでも役に立てる、整形外科だけでなく体のことであれば何でも相談していただけるかかりつけ整形外科クリニックをめざしています。