永田 正和 院長の独自取材記事
永田内科
(各務原市/新那加駅)
最終更新日:2025/06/18

新那加駅から南に徒歩2分ほどの場所にある「永田内科」は、1971年の開業以来、地域住民の健康を守り続けている。幅広い年齢層に向けて親切で丁寧な診療を心がけてきた父の意志を、2006年に永田正和院長が継承した。消化器内科を専門とする永田院長は、胃と大腸の内視鏡検査やピロリ菌の除菌を得意とし、患者の苦痛に配慮した内視鏡検査を提供している。また、生活習慣病や認知症の治療、リハビリテーションや訪問診療などにも力を注ぎ、高齢社会への対応や地域貢献への想いも深い。「家族全員を生涯にわたり支えるかかりつけ医が理想です」と語る永田院長に、注力している診療や診療の際に大切にしていることなどを聞いた。
(取材日2025年2月6日)
地域に貢献し続ける歴史あるクリニック
先生が診療で大切にしていることをお聞かせください。

患者さんとのミュニケーションを最も大切にしています。相談しやすい雰囲気づくりを心がけ、病気だけではなく、患者さんの背景を理解するように努めています。家族関係や生活状況といった背景を知ることは、治療方針を決める上で不可欠です。当院は先代が開業してから50年以上もこの地で診療を続けているので、ご家族3世代で通っている方が多くいらっしゃいます。長年にわたる対話を通じて、一人ひとりの患者さんの背景を把握しており、それが治療方針を考える際に非常に役立っています。そして、もう一つ大切にしていることは、地域貢献です。当院が土曜日の午後の診療を行っているのは、週末に体調を崩された地域の患者さんを見過ごさず、少しでもお役に立ちたいという想いがあるからです。
土曜日の午後も診療しているのは心強いですね。
この地域には土曜日の午後に診療しているクリニックがほとんどありません。ずっと以前の話ですが、週末に体調を崩された方が「クリニックが開いてないから様子を見るしかない」と我慢し、重症化してしまったというケースがありました。同じことがあってはならないと強く思い、土曜日の夕方まで診療することを決意しました。土曜日には市外からも多くの患者さんが駆け込んできます。週末だからといって我慢せず、どなたでも気軽に相談に来ていただきたいです。正直に申し上げると土曜日の夕方まで診療するのは楽ではありませんが、地域の皆さまの体調不良を見過ごすことはできませんので、私ができる限りは続けていきます。
クリニックにはどのような患者さんの来院が多いですか?

私の専門が消化器内科なので、胃や大腸の内視鏡検査を希望する方が多く来院されます。内視鏡を希望されるのは、人間ドックやがん検診を受ける方、もしくは会社の健康診断でピロリ菌や便潜血反応を指摘された方が多いです。検査以外でいえば、高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病をお持ちのご高齢の方が多く、リハビリテーションを希望する患者さんもいらっしゃいます。その他、感染症が流行する時期には、発熱者専用の外来を受診する方が増えます。当院は、発熱でお困りの方が受診しやすいように予約制にしておらず、電話連絡をいただいてから対応をしているのが特徴です。感染予防に配慮し、発熱している方とそれ以外の方の空間を分け、どちらの患者さんも安心して来院できるように工夫もしています。
内視鏡検査とリハビリテーションに注力し予防をめざす
注力されている内視鏡検査について教えてください。

胃の内視鏡検査では、経鼻内視鏡といって鼻から入れる内視鏡を導入しています。経鼻内視鏡では内視鏡の外径が極力細い物を使い、鼻腔内に麻酔をしてから実施しますので、患者さんの負担は少ないのではないでしょうか。一方で、鼻から内視鏡を入れるのが怖いという患者さんには、従来どおり口からの内視鏡検査を実施しています。口からの検査時にはご希望に応じて軽い全身麻酔を用いることも可能です。全身麻酔と聞くと不安に感じるかもしれませんが、検査後1時間ほど休憩すれば歩いて帰宅できるものを使用しています。最近の傾向としては、全身麻酔を用いた口からの内視鏡を希望する人の割合が増えています。一方で、内視鏡検査がどうしても怖いという方も少なくありません。そういった方には胃透視検査も実施しているので、ご相談ください。
リハビリテーションにも力を入れていると伺いました。
当院は、3階に広いリハビリテーション室を設けており、ランニングマシンやエアロバイクなど、さまざまな運動機器を取りそろえています。これらの機器を活用しながら、患者さん一人ひとりの症状に合わせたリハビリテーションを提供しています。リハビリテーションを受けられる患者さんは、「筋力が落ちた」「膝や腰が痛い」という症状の方が多いです。健康維持のために運動は非常に大切ですし、まずは気軽な気持ちで続けてほしいですね。いつまでもお元気でいてほしいですが、もしも加齢や病状の悪化で通院が難しくなった場合は、訪問診療や往診の対応もしています。
訪問診療や往診にも対応されているのですね。

高齢社会で在宅医療のニーズが少しずつ増えているため、現在は患者さんのご自宅を中心に訪問診療を行い、依頼があれば高齢者施設にも伺っています。末期のがん患者さんの看取りにも対応しています。長年当院に通われている患者さんとは深い信頼関係がありますので、「最期まで永田先生に診てもらいたい」と希望されることも少なくありません。そのご希望に添えるように患者さんをサポートするのがかかりつけ医の役割ですので、精一杯対応しています。在宅で最期を迎えることは簡単ではないことも多いですが、ご家族や介護の専門家と協力しながら、患者さんが望む看取りや緩和ケアをしていきたいと思っています。
かかりつけ医として患者の人生に寄り添う
印象的な患者さんとのエピソードをお聞かせください。

認知症になられた方のご家族から相談を受けることが多く、印象に残っているケースは数多くありますね。介護に疲れ果てたご家族が土曜日の夕方に来院されて、「徘徊して困るんです!」と感情的に訴えられることもありました。そのようなご家族にアドバイスするのは「認知症によってできなくなったことを指摘するのはいったんやめて、患者さん本人を認めてあげてください」ということです。実は、私自身も認知症の家族を介護した経験があります。その経験も踏まえてじっくりとお話をすることで、ご家族の気持ちに変化が出て、「もう少し頑張ってみようかな」と前向きになれたらいいなと思っています。私は各務原市の介護認定の審査会に携わっているので、介護サービスについての知識があります。必要であれば介護サービスや施設の情報提供をして、患者さんとご家族にとってより良い選択ができるようにサポートします。
認知症患者さんの対応で気をつけるべきことはありますか?
認知症患者さん本人は、認知症を認めたくないというケースがほとんどです。そのため、ご家族が認知症専門病院の受診を促しても拒否されます。それが家族間の関係が悪化するきっかけにもなっているため、ご家族が困ったときは医師をうまく利用してほしいと思っています。信頼関係があるかかりつけの医師から本人に「そろそろ検査に行ってみたらどうですか?」と声をかけることで、すんなり耳を傾けてくれることもあると思います。そして、ご家族には、目の前にいらっしゃる認知症の方は、今まで立派に世の中を渡り歩いてきた方であることを忘れないでほしいということを伝えたいですね。ご家族にとっては問題行動に思えることでも、患者さん本人にとっては必ず意味があります。すべてを理解することは難しいですが、「そんな気持ちになったんだね」と、お互いを思いやることで生活がしやすくなることがあると思うんです。
今後の展望についてお聞かせください。

地域のより多くの方の健康維持に貢献していきたいと考えています。特に力を入れていきたいのは、肥満でお困りの方の相談に応じ、健康的に痩せるためのサポートをすることです。インターネットにあふれているダイエット情報の中には、間違った薬の使い方を推奨している事例もあり、医師として正しい情報を伝えなくてはという使命感を抱いています。そのため、当院の肥満相談では、患者さんの背景をよく伺いながら診察し、医学的な根拠に基づいた治療を提案します。同時に、無理なく続けられる運動方法もお伝えします。標準体重を大きく上回る人がスポーツジムで突然激しい運動をするのは危険ですからね。患者さんが正しい知識を身につけ、長く健康を維持できるようにサポートすることが、私の願いです。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/2025年6月~2026年2月まで一律6300円(国保対象の方)