村上 一晃 院長の独自取材記事
村上医院耳鼻咽喉科
(各務原市/蘇原駅)
最終更新日:2026/01/07
のどかな田園地帯が広がる一角にある、「村上医院耳鼻咽喉科」。開業から約30年、地元の歴史あるクリニックだ。父である院長の村上力夫先生を助け、クリニックの中心となって診療を行っている村上一晃医師は、滲出性中耳炎の診療に力を入れている。「中耳炎というと軽く考えてしまいがちですが、この滲出性中耳炎は後遺症を残す可能性があるため、あなどれません」と熱を込める。院内には耳用の内視鏡カメラやCT、気圧を調節できる設備まで導入しており、子どもや高齢者の中耳炎など、耳・鼻・喉の疾患に目を光らせる。同院での診療の特徴や、村上先生の得意とする耳の診療の話を中心に聞いた。
(取材日2019年10月3日)
充実した設備を備えた、歴史あるクリニック
地元で長い歴史を持ったクリニックだと伺いました。

この地で父が開業し、28年になります。私が小さい頃は住まいとクリニックが一緒でしたから、クリニックも生活の一部といった感じでした。鼻が詰まれば父に見てもらっていましたし、喉に刺さった魚の骨を取り除いてもらったこともあります。そうやって父の姿を見て育ったので、ごく自然に医師を志すようになりました。大学に進んで専門を選ぶ時も、親しみのある耳鼻科がまず候補に上がりましたね。実際、研鑽を積むと、手先を使う細かい作業が多く、自分の性に合っているとも感じました。器具、設備も見慣れていましたから、そうしたものを改めてきちんと学ぶ面白さも感じました。いつかはクリニックに戻って、父を助けたいと思っていたので、日本耳鼻咽喉科学会の耳鼻咽喉科専門医を取得したタイミングでこちらに戻りました。ちょうど父も体調を崩していたので、覚悟ができたという感じです。
院内の設備が充実していますね。
例えば耳の診察時には、必要に応じて耳用の内視鏡を使っています。画面に映し出される耳の中の状態を、実際に見せながらお話しするので、患者さんも理解しやすいと思います。喉や鼻は見ようと思えば患者さんご自身でも少しは見えると思いますが、耳の中はカメラを使わないとなかなか難しい。そのため、カメラを活用しています。当院ではCTも導入しているので、CTも活用して評価することがあります。また、鼓膜切開にレーザーを活用しています。レーザーであれば、出血も少なく必要な切開孔を開けることができます。
充実した設備があると、細かく診療もできそうですね。

耳の中でも鼓膜をきちんと見ることが重要です。カメラで拡大してしっかり鼓膜を観察しています。耳あかがたまっている子どもも多いのですが、ひどい場合は耳掃除もしていますよ。家での耳かきについて相談されることも多いのですが、自分でする必要はないんですよ。奥まで耳かきを入れてしまうと、鼓膜などを傷つけてしまうこともありますし、きれいになるメリットよりリスクの方が大きいです。やるとしたら、耳の出口・穴のすぐ近くに出てきている耳垢を、そっと取り除く程度で良いでしょう。気になる時には耳鼻科で耳掃除をしてもらう、というスタンスのほうがいいと思います。
滲出性中耳炎の治療に注力
中耳炎の診療に力を入れていると伺いました。

中耳炎という言葉は知っていても、大した病気ではないという印象があるのではないでしょうか。実は中耳炎という病気は、種類や症状の経過によっては、後遺症を残す恐れのあるものなんですよ。中耳炎にかかりやすいのは、子どもと高齢者です。中耳炎には、急性と滲出性の2種類があり、滲出性中耳炎は後遺症を残します。急性のものは、細菌が入って炎症を起こすのが原因で、痛みがありますが比較的すぐに治ります。一方滲出性中耳炎は、鼻炎が続いていたり、鼻すすり癖があったり、急性中耳炎を繰り返したりこじらせたりすることなどが原因で発症し、痛みは感じません。適切な治療をしないと、大人になって気圧の変化に過度に敏感になってしまったり、高齢になって滲出性中耳炎が再発することもあります。飛行機に乗ると、耳が痛くなって戻りにくい人は、この後遺症の可能性もあります。
滲出性中耳炎を知るきっかけはありますか?
各務原市では、3歳と小学1年時にDPOAE検査という検査を行います。これは聴力検査の一種で音の反響を調べていくものですが、被験者が自発的に反応を示すものではなく、機械でデータを取るだけですので、小さなお子さんでも検査が可能なんです。滲出性中耳炎は治療を始めるのが早ければ早いほど改善が期待できますので、自治体で取り組んでいただけるのはありがたいですね。治療は、症状を進行させないように、鼓膜穿刺や切開、チューブを入れたりすることもあります。中耳炎の原因となっている鼻炎があれば服薬で対応します。プールなどは我慢してもらうこともありますが、後遺症を残さないためにも、できるだけ早く適切な処置を行っていくことが必要です。
大人になって後遺症の症状が気になる場合は、どうすればいいのでしょう?

飛行機に乗ったり登山をしたり、エレベーターなどでも気圧の変化に耐えられず、耳や頭が痛くなってしまう人は、滲出性中耳炎の後遺症かもしれません。当院には加圧減圧室を設置して、診療に活用しています。気圧の変化にとても敏感な方には、耳抜きの仕方をアドバイスします。一方で、副鼻腔炎など鼻や喉の疾患が症状を悪化させている場合には、その点鼻薬を用いたりして治療を進めていきます。それでも変化が感じられない方や、頻繁に飛行機に乗る機会がある方には、鼓膜の補強処置があることもご紹介しています。薄い紙テープのようなものを鼓膜に貼りつけることで、一時的ではありますが、気圧に対して強い鼓膜にすることが図れます。1ヵ月ほどで自然に取れる、手軽な方法となっています。
耳鼻喉のお悩みには、耳鼻科を活用してほしい
患者さんを見ていて気になる症状はありますか?

高齢者の難聴ですね。年齢を重ねると聞こえが悪くなるのは、神経自体が老化し機能低下している場合以外に、神経は健全なのに音を伝える部分が硬くなっている場合もあります。前者の場合は聴力の回復は難しく、補聴器などを使うことをお勧めしていますが、後者の場合は手術で改善が望める可能性があります。「耳が悪くなったら補聴器」と決めつけず、きちんと診断を受けて、手術という選択肢があることも知ってほしいです。技術が問われる手術ではありますが、聞こえ方で生活の質は変わってくると思いますし、補聴器なしでも暮らせるなら、そのほうがいいと思いますしね。高齢の聞こえの問題でお悩みの方は、諦めず、一度ご相談ください。
ところで、お忙しい毎日、気分転換にされていることはありますか。
読書やカメラが好きです。本はミステリーや歴史など、小説を読みます。なかなかまとまった時間は取れませんが、隙を見て読み進めていますね。カメラは最近ではもっぱら、娘の写真ばかりを撮っています。自分の時間や趣味の時間は少なくても、日々の診療で患者さんと向かい合っている時間が、一番やりがいを感じられるので、まあいいのかなと(笑)。これからも、一人ひとりの患者さんの気持ちを大切に、向かい合っていきたいです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

耳鼻咽喉科は、診られる範囲はかなり広いんですよ。鼻詰まりや喉の痛みはもちろん、聞こえの問題、アレルギーなど、普段気になるこれらの症状は耳鼻咽喉科で対応します。内科や小児科を受診しようか、耳鼻科へ行こうか迷うというお話も聞きますが、耳、鼻、喉に関して違和感を感じたら、耳鼻科を受診してもらうといいと思いますよ。「なんだか耳に違和感がある」と思ったら、迷わず足を運んでほしいですね。診療スペースも広くオープンな雰囲気なので、お子さんでも怖がらずに来てほしいと思っています。院長をはじめ、私を含めたスタッフ一同、皆さんの健康づくりに少しでも貢献できればと思っています。

