安江 隆夫 理事長、安江 晃子 院長の独自取材記事
安江内科クリニック
(岐阜市/田神駅)
最終更新日:2023/04/05

義理の親子が力を合わせて内科を幅広く診療する、心温まる医院がある。岐阜城がそびえる金華山の麓、国道156号線の西に位置する「安江内科クリニック」だ。旧・岐阜県立岐阜病院に長年勤務し、循環器科設置に尽力した安江隆夫理事長が1988年に開院した。待合室で存在感を放つ大きな柱時計は、医院の歴史を見つめてきた証人でもある。同院は長く県の医療に貢献してきた院長の人脈もあり、病診連携の上でも心強い。理事長とは大学の同窓になる安江晃子院長は、5年前に就任。穏やかな物腰の隆夫理事長と明るく話好きな晃子院長は、嫁舅の関係ながら息もぴったりで、2人の周囲には和やかな雰囲気が漂う。医師として互いに尊敬し合う隆夫理事長と晃子院長に、診療で大切にしていること、地域医療への思いなどを聞いてみた。
(取材日2022年12月14日)
それぞれの専門を生かし、義理の親子で内科全般を診療
こちらに開院された経緯と、どのような患者さんがいらっしゃるかを教えてください。

【隆夫理事長】僕は長年、岐阜県立岐阜病院(現:岐阜県立総合医療センター)に勤務していましたので、開院を考えた時に病院に近くて連携を取りやすいこの地を紹介してもらい34年前に開院しました。この辺りには古い集落がありますが、近年はマンションやアパートなどが建ちましたね。当院では開院時からの患者さんもついてきてくれて、心不全・腎不全・糖尿病などの合併症を抱えた方も多いです。
【晃子院長】私は中濃厚生病院、関中央病院などを経て5年ほど前から当院に来ていますが、患者さんは60代以上が中心です。主訴にもよりますが、以前からの患者さんは院長が、新規の患者さんは私が診ることが多いです。
二診制とのことですが、診療分野でのご担当はあるのですか?
【隆夫理事長】僕は病院で循環器、呼吸器、腎臓、神経の分野をずっと診療してきましたから、主にそちらの訴えの患者さんを診ますし、院長は消化器、肝臓、胆嚢、膵臓、血液内科、漢方が専門です。それぞれの専門を生かし、お互いに補い合いながら診療している感じですね。また当院では訪問診療や病診連携にも力を入れています。どんな疾患でも気がかりな点がある場合やいずれ進行する可能性がある場合は早期の段階から病診連携で診療し、緊急の場合は速やかに専門の医師を紹介します。そして、病院での治療が終わって戻っていらしたら、引き続きフォローできるような体制を取っています。また土曜には非常勤の先生が手伝いに来てくれることもあります。
治療では漢方も取り入れているんですね。
【晃子院長】私が女性のためか、新人の頃から女性の患者さんから不定愁訴の訴えをよく聞いてきました。その時にホルモン剤よりもハードルが低いかたちで内服が始められる漢方に興味を持ち、本格的に勉強を始めました。漢方は、ほかの薬との飲み合わせをそれほど気にしなくてもいいのがメリットです。それに求めていた効果以外に、プラスアルファの効果も期待できるんですよ。私は通常のお薬と漢方とを用途によって使い分けています。
拝見していて思うのですが、お2人は仲がよろしいんですね。

【晃子院長】理事長は人格者なんです。研修医時代から、周囲の先輩医師たちからは理事長の評判をよく聞いていました。一緒に勤務してみて、人との接し方や新しい知識を積極的に勉強する姿勢など、頭が下がる思いがしますし、とてもリスペクトしています。
【隆夫理事長】なかなかこういう機会でもないと聞けない話だね。お互いにリスペクトしているんですよ(笑)。
患者の訴えをよく聞き、一人ひとりに丁寧な診療を
理事長が診療する上で大切にされていることを教えてください。

【隆夫理事長】地域に根づいて、患者さんの希望に沿った治療をして、患者さんが安心して通院できるようにすることです。患者さんの訴えを聞くことが一番大事で、その中にほとんど診療の答えが含まれていると思います。検査機器が進歩しましたが、なるべく患者さんの心音を聴診器で聞いたり、触診したり、脈を診たりという診察を大切にしようと思っています。僕は検査機器もないようなところで診断するように訓練されてきた医師だから、それが癖になっているんです。まず自分で見極めてから検査の数値で確かめて、必要ならば専門病院へ紹介します。僕は大学で教育も診療もしたし、県立病院にも長年勤務してきたので、多くの先生方へご紹介できると思います。でも気持ちだけは病院に負けないように、悔いの残らないように、病院と連携してしっかり患者さんをフォローしていくように心がけています。
副院長は診療でどんなことを大切にされていますか?
【晃子院長】私も理事長とほぼ同じです。患者さんの訴えをまず聞き、希望を優先することを心がけています。あとは自分の専門外なら理事長に聞きにいったり、専門の病院に紹介したりしています。よくあるのが大きな基幹病院などで診断を受けた人が「内容がよくわからない」と私に相談してくるんですね。大規模な病院は忙しそうで聞きづらいのだと思います。ですから私は患者さんが話しやすい雰囲気をつくって、なんでも聞いてもらうようにしています。患者さんがどこの病院にかかっているかを把握して、「検査はどうだった?」と聞くと、患者さんも話しやすいようです。そんな言葉がけを大切にして、病状もかみ砕いて説明するようにしています。
お2人はなぜ医師になられたのですか? 今のご専門を決めた理由も教えてください。

【隆夫理事長】僕の母は長い間、病気をしていました。当時診てもらっていた先生がなかなか往診に来られなかったので、先生の指示を聞いて僕が簡単な処置などをしていたんです。そのような経験から医師になりたいと思ったのかもしれません。それに将来は何か人の役に立つ仕事がしたいと考えていて、その中で医師を選んだのは、役に立つ意義を認めやすい職業だったからでしょう。循環器を専門にしたのは、その当時は心臓病全般が命に関わる病気でしたし、心臓病に精通した教授と出会えたからです。
【晃子院長】私は医学部で、最初から最後まで内科が治療に携われる血液内科に興味を持ちました。血液内科と消化器内科が併設されていたので消化器内科も勉強したのですが、今では内視鏡検査などの技術がとても役立っています。
予防医学に力を入れ、なんでも相談できる医院をめざす
休日はどのように過ごされていますか?

【晃子院長】私は育ち盛りの子どもが3人いるので、ずっと子どもに振り回されています(笑)。以前はキャンプなどにもよく出かけたのですが、新型コロナウイルス感染症が流行し出してからは出かけなくなりました。
【隆夫理事長】僕は以前、よく山に登ったんですよ。院内に飾ってある山の写真は、すべて自分で撮影したものです。現在は、休日にゆっくり朝寝をするのが楽しみですね(笑)。でも、健康づくりのためにゴルフに出かけたり、1日おきに岩戸公園を散歩したりしています。いくつになっても筋肉や呼吸器を鍛えることが大切です。医院でも、患者さんに楽しみながら体を動かしてもらえるような取り組みができたらと思っています。
今後どのような医院にしていきたいですか?
【隆夫理事長】人生100年時代で、複数の病気を抱える高齢者も増えてきますから、そういう人たちのマネジメントが必要になると思います。今も訪問診療を含めてそのような心構えでやっていますが、これからより対応できるようにしていきたいですね。そして、予防医学にも力を入れて、未病のうちに食事指導や運動を勧めることによって、病気を防いでいけたらと思います。
【晃子院長】私も予防医学の観点から、「今後もこういう生活をしているとこのような病気になるよ、心筋梗塞や脳梗塞になるよ」と具体的な説明を心がけています。地域や時代のニーズにもアンテナを張っていきたいですし、安心して通ってもらえるような医院にしていきたいと思います。
読者へメッセージをお願いします。

【晃子院長】心身に不安がある時、健康相談がしたいと思った時に、気楽に来ていただけたらと思います。診療が混み合っていなければ、ゆっくりお話を聞かせていただきますし、検査データを持参いただければほかの病院で受けた検査結果や病状の説明もさせていただきます。どの診療科にかかったらいいかわからない場合もぜひいらしてください。
【隆夫理事長】当院では地域のかかりつけ医として、どんな相談にも応じます。セカンドオピニオンを希望される方にも、知り合いの医師をご紹介させていただきますし、それも医院の大切な役割だと思っています。