棚橋 哲也 院長の独自取材記事
棚橋内科
(岐阜市/岐阜駅)
最終更新日:2026/01/14
岐阜バス長森本町バス停から徒歩3分、住宅街の中にある「棚橋内科」は、1976年に開院し、2026年には50周年を迎える歴史あるクリニックだ。棚橋哲也院長はこの地で生まれ育ち、先代である父からクリニックを受け継いで、近隣の人々と温かな関係を築きながら地域に根差した医療を行っている。棚橋院長は岩手医科大学を卒業後、岐阜大学大学院でステロイド研究に従事。その専門知識を生かして患者の誤解や不安を解く丁寧な説明を心がけているという。「患者さんには満足して帰ってもらいたい」という言葉どおり、内科の症状だけでなく幅広い相談に応じ適切な専門家や介護施設への橋渡しも行う。畳スペースを設けるなど患者の居心地にもこだわった院内で、地域のかかりつけ医として「一緒に考える」という姿勢を貫く院長に診療への思いを聞いた。
(取材日2025年11月12日)
長年地域とともに歩む、歴史あるクリニックを継承
開院から50年近い歴史があるそうですね。

当院は1976年に父が開院しました。最初は現在の駐車場の場所に建物があり、今の場所は自宅だったんです。私が院長を引き継いだのは、2009年頃のことです。この地域で生まれ育った私にとって、ここは特別な場所です。クリニックの前の通りは、小さい頃に自転車で走っていた道なんですよ。患者さんも古くから住んでいる方が多く、親子何代にもわたって通ってくださる方もおられます。古いものだと、1977年から高血圧で通院されていた患者さんの記録も残っています。地域の方々に支えられて、もうすぐ50年。これからも泥臭く地域医療を続けていくだけですね。
2013年に建て替えも行われたと聞いています。
はい。建て替えではスタッフの動線を重視しました。不便な点を改善するため、スタッフに「ここに何が欲しい」といった意見を聞いて設計に落とし込んだんです。おかげで患者さんの動線も、入ってきて受付をして、待合で待って、診察室へ移動するだけ、とほとんど動かなくて済むようになりました。また、診察室も2つ作りました。通常の診察と、感染症の患者さんや発熱している患者さんで部屋を分けて診ることができるので、安心していただけると思います。そして私のこだわりが、待合室の畳スペースです。床からの高さを40センチ上げたのもポイントで、これがとても座りやすいんです。子どもが上がって遊んだり、本を読んだり。実はソファーより畳に座る人のほうが多いんですよ。他のクリニックではあまり見ない、人気スポットです。
先生が医師を志したきっかけを教えてください。

高校時代、生物の授業でホルモンの勉強をしたのがきっかけです。ごく微量なのに体の形を変えてしまう不思議さに魅力を感じました。例えば、サナギを縛ると、ホルモンが出る場所から上はサナギになるけれど、下は幼虫のまま。そういう面白さに惹かれて医師になり、内分泌の分野について取り組みたいと思ったんです。岩手医科大学卒業後は岐阜大学の第三内科に入り、4年目で大学院へ。内分泌代謝内科学でステロイドの基礎研究をしていました。そのため、ステロイドには詳しいと思いますし、だからこそステロイドに対する誤解を解きたいと考えています。短期間で素早く症状に作用し、最小限で最大の効果が期待できるのがステロイドの特徴なんです。
検査機器を充実させ、幅広い診療を院内で完結
ステロイド治療以外にも力を入れている診療はありますか?

漢方薬の提案には積極的に取り組んでいます。「薬をたくさん飲んでいるから、これ以上増やしたくない、強い薬は飲みたくない」という患者さんには、「漢方に置き換えてみましょうか」と提案します。患者さんからは「そういう手があったのか」と思っていただけることが多い印象を受けています。それから、認知症の相談も増えていますね。ご家族が心配して連れてこられることもありますが、大切なのは主治医である私に相談してもらうこと。ご家族が独断で認知症専門のクリニックに連れて行くと、ご本人は「勝手に連れてこられた」と怒ってしまい、親子関係にひびが入ってしまうことも。患者さんやご家族には「何かあったら僕に言って」と伝えています。主治医の話なら聞いてくださる患者さんは多いですからね。
地域のかかりつけ医として心がけていることは?
親切、懇切丁寧がモットーです。患者さんが相談してくださったタイミングが、一番診てもらいたい気持ちが高まっている時。だから満足して帰ってもらいたいと思っています。私は説明に時間をかけて、患者さんが納得するまで話します。患者さんの相談は本当にさまざまで、内科以外の相談である場合も多いです。ですが、そういう時こそ主治医の出番です。「こうなったら耳鼻咽喉科、こうだったら僕が診る」など、場合分けをして詳しく説明します。私の範囲外のことでも、「それでも先生に聞いてほしい」とおっしゃるのなら、お話はしっかりと伺います。
検査機器も充実されているそうですね。

超音波式骨密度測定器やデジタル式脈波測定器など、他のクリニックではあまり見ない機器を導入しています。脈波測定器では血管の硬さがわかり、「あなたの血管年齢は何歳です」と画面に表示されます。結果は印刷してお渡ししますから、ご自宅でも確認できます。また、骨密度測定は4ヵ月に1回は保険診療で検査が可能です。これらは病気の予防や健康意識の向上に役立てています。「大きい病院ではなく、とりあえずここで全部診てもらいたい」という方が多いので、なるべく当院で診療を完結できるように機材をそろえています。
この先もずっと地域と医療の橋渡し役として
地域の方々との関わりについて教えてください。

散歩していると、よく「先生!」と呼び止められます。野菜を持ってきてくれる人もいて、散歩から袋を下げて帰ることもあるんです(笑)。来院された方の中には「昨日も来たのに今日も来た」という患者さんもおられますね。「言おうと思っても言えないことがあったから、話を聞いて」と。些細なことでも相談していただけるのは、やっぱり患者さんとの信頼関係があってこそですね。初診の人でも「他院からこちらに移りたいんだけど、どうしたらいいでしょう」と相談されることもあります。「先生になら相談できる」と思ってもらえているのは、ありがたいことです。
今後の展望を聞かせてください。
当院は2026年で開院50周年を迎えます。ただ、「主治医として患者の医療の入り口になる」、「じっくり相談を聞き、満足して帰ってもらう」というスタンスは常に変わりません。これからも地道に地域医療を続け、患者さんが「相談して良かった」「先生にならまた相談したい」と安心していただけるような診療を続けていきたいです。
読者へのメッセージをお願いします。

お伝えしたいのは、どんなことでもとにかくご相談いただきたい、ということですね。どこかの病院で診てもらいたいという時も、一度ご相談いただければ、紹介なども適切に対応します。近隣の病院とも連携を取っておりますので、電話で診療をお願いすることもできます。治療のことだけでなく介護への橋渡しなどもご自身でどうしようかと悩むよりも、主治医を通してご相談いただいたほうが、患者さんにとってさまざまな点でメリットがありますので、ぜひお話を聞かせてください。皆さんにとって一番いい方法を一緒に考えていきましょう。地域のかかりつけ医として、これからも皆さんと一緒に歩んでまいります。

