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加藤 賢一 院長の独自取材記事

加藤内科

(岐阜市/西岐阜駅)

最終更新日:2024/05/31

加藤賢一院長 加藤内科 main

岐阜東西通りを鹿島町8西交差点で旧中山道へと入ると、住宅街の入り口に、白地にペパーミントグリーンで縁取られた「加藤内科」の看板が見える。同院は、加藤賢一院長の祖父の代から地域に根差すクリニックだ。長年、藤田医科大学でリウマチや膠原病を専門にしてきた加藤院長が、2017年に「加藤内科小児科」を継承する形で開業した。同院には、リウマチや膠原病の専門的な診療を受けるため、県外からも患者が訪れる。一方、全身の多様な合併症に対応し、総合的に診療してきた経験から、風邪などの感染症や生活習慣病など一般的な内科診療も行う。インタビューの受け答えから、気さくで朗らかな人柄が感じられた加藤院長。難病に悩む患者が胸襟を開いて相談し、それに対して同じ目線で真摯に向き合う診察風景が思い浮かぶようだった。

(取材日2024年1月25日)

リウマチや膠原病の専門的な診療で地域医療に貢献

医師をめざしたきっかけを教えてください。

加藤賢一院長 加藤内科1

祖父がこの地で開院し、クリニックの建物は2代目の父が建て替え、私は3代目です。子どもの頃は、周囲は一面の田んぼで、今以上に医療機関の少ない土地でした。父はいつも診療で忙しくしていて、救急車で患者さんが搬送されるのも日常茶飯事でしたね。休日は疲れ果てて寝ていた姿を覚えています。父のそんな姿を見ていましたから、実は「医者には絶対になりたくない」と思っていたんです。でも、進路選択の際に、「一生涯続けられて、やりがいのある仕事は何だろう」と考えたとき、真っ先に医師という選択肢が浮かんだのは、生まれ育った環境によるものでしょうね。

リウマチや膠原病を専門に選んだのは、なぜですか?

内科領域の中で、学問として免疫に興味を抱き、感染症の研究を専門分野に選んで、リウマチ・感染症内科に進みました。当時、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)では、自己免疫疾患のリウマチと感染症が同じくくりだったんです。現在のリウマチ・膠原病内科の前身ですね。入局後は、感染症の臨床統計の研究や免疫学の実験などに従事しました。デジタル化される前ですから、膨大な紙のカルテから手作業で拾い出すのは大変でしたが、自己抗体の観察などは、面白かったですよ。もちろん、大学は研究と臨床、そして教育の場ですから、研究だけを行っていたわけではありません。リウマチなど免疫疾患の患者さんの診療にも関わり、講師として後進の育成も担うようになりました。リウマチや膠原病は多様な合併症が起きるため、この分野を選んで臨床経験を積むことで、循環器や呼吸器、皮膚など、他の診療領域の症状にも総合的に対応できるようになりました。

クリニックを継承した経緯をお聞かせください。

加藤賢一院長 加藤内科2

ずっと大学に残る選択肢もありましたが、高齢になった父に「帰って来ないか」と言われたとき、このエリアにリウマチや膠原病の診療を行う医療機関が少なかったため、生まれ育った地域の役に立てるのではないかと考えて、継承を視野に入れ、2004年から「加藤内科小児科」の外来を手伝うようになりました。正式に継承し、「加藤内科」として開業したのは、2017年のことです。父は、現在も副院長として、診療を続けています。昔からの患者さんが、父を慕って受診しています。継承してからの患者さんは、遠くは三重県の四日市や愛知県の豊田からなど、県外から受診する方もおられます。頼っていただけるのは、本当にありがたいものだと思います。

全身をじっくり診察し、丁寧にわかりやすい説明を

リウマチの診療について教えてください。

加藤賢一院長 加藤内科3

関節リウマチでは、関節をくるむ滑膜に炎症が起き、進行すると関節が破壊されてしまいます。関節リウマチの治療は、免疫を制御することを図る抗リウマチ薬に加え、関節破壊の防止を狙うさまざまな生物学的製剤の普及で飛躍的に向上しています。確定診断により、治療開始の必要性を判断するためにも、検査で滑膜の炎症や骨のびらんを正確に調べることが重要です。当院ではエックス線検査と超音波検査を実施しますが、必要と判断したら、連携する医療機関でMRI検査を受けていただきます。

診療で心がけていることはありますか?

加藤賢一院長 加藤内科4

リウマチや膠原病は全身に症状が現れるので、問診や触診などで全身をしっかり総合的に診察することを大切にしています。その上で、症状や治療、投薬などについて、じっくり丁寧にお話しします。どうしても診察にお時間がかかります。お待たせしないためにも予約制を取っていますので、来院の前に必ず電話していただくようをお願いしています。また、早期に的確な判断をすることも心がけています。当院では検査機器も限られていますし、症状によっては、その分野の専門家に頼ったほうがいい場合もあります。そのような場合に、早い段階で線引きをして、しかるべき医療機関や医師に迅速に紹介することも、街のクリニックの務めだと思っております。

進歩が著しい分野だから常に知識をアップデートしたい

漢方薬も処方されるそうですね。

加藤賢一院長 加藤内科5

当院では、リウマチ・膠原病の患者さんに対し、関節痛や四肢の冷感・むくみ・乾燥感など、症状に応じた漢方薬を処方することもできます。漢方薬だけで十分な治療効果は現実的には期待できませんが、西洋医学とうまく組み合わせることで、症状緩和やステロイド薬の減量にも寄与できることを期待して、ケースバイケースで治療に取り入れるようにしています。漢方薬を希望される患者さんの中には、漢方薬は副作用がないと思い込んでおられる方もいますが、それは誤解です。漢方薬も西洋医学のお薬と同様に副作用はありますし、お薬が合う・合わないはありますので、注意が必要です。

今後の展望をお聞かせください。

まずは、今やっていることを手抜かりなく、きちんと継続していくこと。そして、常に新しい情報をインプットしていきたいと考えています。かつては原因不明で治療法がない難病のイメージが強かった膠原病も、現在は生存率が格段に高まるなど、飛躍的に進歩しています。そのため、知識のアップデートが欠かせません。勉強会があれば必ず参加して新たな知識を吸収しています。また、そのような場で他の医療機関の医師と交流を深めることは、病診連携を図り、専門的な知見を得るための人脈づくりにも役立っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

加藤賢一院長 加藤内科6

関節の痛みやこわばり、筋肉や皮膚の炎症など、リウマチや膠原病の症状は多岐にわたります。原因がはっきりしないけれど疑わしい症状があって不安を抱えている方は、相談に来ていただきたいです。皮膚の症状には皮膚科、内臓の症状には内科、というように症状ごとに別々の診療科やクリニックを受診していたら実はリウマチ性疾患だった、というケースもあります。私は、長年、リウマチや膠原病の患者さんの多様な症状を診てきましたから、全身を総合的に診察します。さらに精密な検査や、他の診療科の専門家の診察が必要な場合は、岐阜大学医学部付属病院や藤田医科大学病院などへのパイプもあるので、迅速な紹介が可能です。また、現在、他の医療機関にかかっているけれど、疑問があるからセカンドオピニオンがほしいという場合も、新しい見解を提示できるかもしれません。当院は予約制ですので、まずはお電話でお問い合わせください。

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