梅田 哲正 院長、梅田 京子 先生の独自取材記事
さぎ山クリニック
(岐阜市/名鉄岐阜駅)
最終更新日:2025/03/31

名古屋からの鉄道アクセスも良い岐阜駅から車で20分ほどの位置にある「さぎ山クリニック」は外科、内科、小児科、耳鼻咽喉科、胃腸科、肛門科、リハビリテーション科の診療を提供する、ファミリーでかかれるクリニックだ。在宅医療にも対応するなど、多くの診療提供を実現させているのは、院長である梅田哲正先生と梅田京子先生の2人のドクターによる体制だ。京子先生は主に耳鼻科の診療を提供し、内科や外科、在宅医療などその他の診療を哲正先生が担当している。患者の話をよく聞くことを診療のモットーとする哲正先生と、元気いっぱいな子どもより大人しい子どものほうが心配になると語る京子先生の優しく朗らかな人柄が多くの地域住民に愛されている。そんな2人に開業までの経緯や診療の心がけについて聞いた。
(取材日2020年4月6日)
明るい雰囲気あふれる患者目線の地域密着型クリニック
開業の経緯を教えてください。

【京子先生】1995年に専門である耳鼻科の診療を提供するために、地元であったこの場所でクリニックを始めました。私たちは夫婦ともに岐阜出身で、年代は違いますが同じ高校の出身なんです。最初は私一人で開業する予定でした。周りは住宅もなく一面田んぼしかなかった頃ですが、地域医療に貢献したいとの気持ちで開業を決意しました。
【哲正先生】私は愛知県がんセンターなどの総合病院で、外科医師として経験を積んできました。外科の医師になって25年たった1998年、今までの医師としての経験を地域に還元したいと思い、クリニックに加わりました。
どのような患者さんが通われていますか?
【京子先生】周辺にお住まいの患者さんが多いです。昔からこの辺りに住んでいるおじいちゃん、おばあちゃんもいれば、新しく移り住んできた家族連れなど地元の方に多く来院いただいています。耳鼻科だと子どもの患者さんが多いですね。走り回るお子さんは元気で良いことだと思っていますが、しゅんとなっているお子さんのほうが心配になります。
【哲正先生】上は90歳を超えた高齢の方まで幅広い年齢層がいらっしゃいます。お子さんから高齢の方までいらっしゃいますので院内はバリアフリー構造になっており、受付を挟んで京子先生が診察する耳鼻科と、私が診察する内科診察室があります。耳鼻科エリアと内科エリアがわかりやすいように設計しています。患者さんはどちらかと言えば耳鼻科の診察で来られる方のほうが多いですね。
院内のこだわりについて教えてください。

【京子先生】お子さんからおじいちゃん、おばあちゃんも来院される場所なので、キッズルームを用意しているほか、院内に入る入り口で靴を脱ぎ、スリッパに履き替えるシステムにしています。来院される患者さんに少しでも楽しく明るい気持ちになってほしくて、色彩豊かな待合室になるようデザインしました。
【哲正先生】画像ではなく本物のほうが楽しみがあるだろうと思い、熱帯魚を水槽で泳がせています。当初は、本物の花も飾っていたのですが、アレルギーに苦しむ患者さんも来院されることを考えて今は生花は飾っていません。患者さんの気分が安らぐような、華やかになるものを置きたいと思ってこだわりました。
患者とのコミュニケーションを重視した丁寧な診察
医師をめざしたきっかけを教えてください。

【哲正先生】私は親の勧めで、小さい頃から医療の道を志していました。最初は薬学部に入ったものの、やはり直接自分で患者さんを治療したいという思いが強くなり、医学部に入学し直しました。大学病院では胃腸について学び、がんセンターで勤務していた頃は頭頸部の甲状腺について専門に診察していました。その後、一般外科で呼吸器を学びました。一部ではなく全身を診察できる環境で学んできました。今は細かく分かれた専門分野がありますが、私が医師になった当時は一人の医師が全身を診察できるような環境だったんです。
【京子先生】私は高校生の時に家族が耳の病気を患っていた影響で、耳鼻科医師に興味を持ったことがきっかけです。大学卒業後、自分のペースで患者さんを診察したいとの気持ちで早くから開業を考えていました。
診療の際、心がけていることはなんですか?
【京子先生】耳鼻科は難聴の患者さんが多くいらっしゃるので、自然と大きな声でお話しするようになりました。もともとはぼそぼそ喋る人間だったのですが、患者さんがきちんと聞こえるように、と思って大きな声でわかりやすい説明を心がけています。
【哲正先生】私は患者さんの話をよく聞くことを心がけています。地域のかかりつけ医として、まずは患者さんのお話を聞くことで、その会話から家庭の状況まで見えてくることもあります。愚痴を聞くことでストレスが不調の原因なのかな、と推察できることもありますね。悩みは人それぞれですから、どんな内容でも聞くことが重要です。発熱や湿疹、水疱瘡などのお子さんに多く見られる症状は、お子さん連れの患者さんに幼稚園ではやっていることを教えてもらうなど、患者さんとのコミュニケーションから教えていただくことも多いです。
勤務医時代との違いはありますか?

【哲正先生】総合病院では手術がメインでしたが、開業医は患者さんを診察してその後もずっとお付き合いがあります。連続性があり、人と人として向き合っていかなくてはならない点が違います。通院していた患者さんが通えなくなったら在宅医療に対応するなど、求められることで患者さんとのつながり、やりがいを感じます。当院は木曜午後が休診なのですが、患者さんによっては木曜の午後に体調を崩しても他院に駆け込まず、翌日まで待って来院される方もいらっしゃり、頼りにされている喜びと同時に責任感を感じます。当院はファミリーでかかれるクリニックという存在をめざしていて、かかりつけ医として専門病院への紹介などどのような治療が患者さんに必要なのか見極めることが大きな役割だと感じています。また、医師会など院外でも活動していますので、体力づくりとして朝は早く起きて1時間弱散歩するなど、日頃から私自身の健康にも気をつけています。
2人のドクターによる診療体制
ドクター2人体制のメリットがあれば教えてください。

【京子先生】例えば、咳が出て耳鼻科の診察に来た方に肺炎の症状があれば内科の診察もできるなど、どちらの分野の診察も提供できることが大きなメリットですね。
【哲正先生】勤務医時代は主に外科の経験を積み、それこそ全身といえるほど満遍なく診察してきましたが、開業するにあたり内科の診療経験を積み直す気持ちで勉強しました。また、名古屋で勤めていた関係で最初は医療機関とのネットワークも持っていなかったため、自分から積極的に交流してきましたから、今では専門の医療機関や他の医師とのネットワークを築いてきたことを患者さんへの診療に還元できることが大きな強みです。
今後注力したいことはありますか?
【哲正先生】在宅医療に力を入れていきたいと思っています。在宅医療の希望は増えています。ただ、在宅医療では肺炎を診断するCTなどは撮れませんので、来院できる限りは来院いただきたいとも思っています。開業した頃から通ってくださっている方は80歳、90歳の患者さんもいらっしゃいますが、希望される限り診療したいと思っていますので私が往診に伺っています。それまで来院いただき、日頃の診療や付き合いから患者さんの家族構成や生活習慣も伺っておりますから、その信頼関係の先に、在宅医療という形で引き続き診療を提供できればと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【京子先生】耳鼻科は子どもの患者さんが多くいらっしゃいます。見ていると、子ども同士で切磋琢磨して育っているように感じます。一人っ子より2人、3人のほうがお子さん同士で成長しあえるのかなと感じています。もちろん、大変なことだと思いますが、当院にできることがあればお手伝いしたいと思っています。
【哲正先生】何でも相談できるホームドクター、かかりつけ医をぜひつくっていただければと思っています。家族のことや、小さな愚痴など何でも相談できる医師を見つけて、信頼できるかかりつけ医に話してみることが信頼関係につながると思っています。私自身は小さい頃から診察してきたお子さんが大きくなって、彼らがお父さんお母さんになっても通ってくれることがやりがいの一つです。ぜひお気軽にご相談にいらしてください。