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石黒 源之 院長の独自取材記事

石黒クリニック

(岐阜市/岐阜駅)

最終更新日:2023/02/15

石黒源之院長 石黒クリニック main

岐阜市北部の正木北町にある「石黒クリニック」。淡いピンクの壁に白い窓枠の窓が並ぶかわいらしい外観で、待合室には患者が描いた絵やアート作品が飾られ、所狭しと壁に貼られた医療情報も盛りだくさんだ。サービス精神旺盛な石黒源之院長から患者に伝えたいことがたくさんあるのだろう。石黒院長は、無医村や総合病院での医療経験が豊富な循環器内科の医師。地元・岐阜県のへき地医療に始まり、ネパールでのボランティア活動、岐阜大学医学部での後進育成、スポーツドクターとしての講演など、これまでさまざまな活動をしてきた。ユーモアを交えながら流暢に話をする石黒院長のモットーは、「明るく、楽しく、美しく」。多方面で活躍する石黒院長は何を考え、どんな医療をめざしているのか、じっくり話を聞いた。

(取材日2023年1月16日)

研究室では得られない多くの学びを得たへき地医療

まずは、医師をめざしたきっかけについて教えてください。

石黒源之院長 石黒クリニック1

私の父は36歳から88歳まで羽島市の市議会議員を務めていました。政治家や新聞記者が自宅によく訪れる環境だったこともあり、子どもの頃は私も新聞記者になって世界を飛び回りたいと思っていたものです。大学進学の時期になり、早稲田大学政治経済学部、慶応義塾大学の経済学部、自治医科大学に合格したのですが、進学したのは自治医科大学。というのも当時、古切手を集めてネパールの人たちへ医療支援する活動が盛んで、私もその活動にとても共感していました。そういうこともあり、社会に医療貢献ができるような自治医科大学へ進学したわけです。自治医科大学は、医療に恵まれないへき地医療の確保を目的として全国の都道府県が共同で設立した大学です。私はその1期生で、同期は社会貢献としての医療を志す熱意ある若者ばかりでした。

へき地医療に関心があったのですね。循環器内科を選んだのはどうしてですか?

世界の医療が行き届かない地では子どもが犠牲になることが多いため、当初は小児科の医師になるつもりでした。ただ、私は大学時代、野球部で顎ひげを生やした丸坊主頭だったので、女性の多い小児科の中ではボディガード的な役回りをすることも多くて、ちょっと場違いな感じもあったんです。ちょうどその頃、私は英語が堪能だったこともあり、循環器内科の先生から論文を発表する機会を与えていただきました。人間はチャンスを与えられることで頑張ることができるんですね。無医村には高齢者が多く、高血圧・脳卒中・心臓病が多いこともあり、最終的には循環器内科を選びました。

無医村ではどんな経験をされたのですか?

石黒源之院長 石黒クリニック2

岐阜県の揖斐郡久瀬村に2年間、郡上市の和良村に3年間、勤務しました。当時、日本人のコレステロール値が高くなっていることが指摘されていた時代でしたが、久瀬村で健康診断をしてもコレステロール値が高いのは2~3人ぐらい。食べているものが違う田舎と東京では、治療も変えるべきなんだなということを実感しました。無医村に必要なのは、医療機器に頼らない診断・治療技術と、重症になる前に予防すること。患者さんとよく会話をし、よく観察して、予防医学についても興味を持って勉強しました。クリニックのように高度な医療機器はなくても、病診連携を充実させることで患者さんに適切な診断をつけることができます。紹介が必要な場合は、岐阜大学医学部附属病院、岐阜県総合医療センターか岐阜ハートセンターなど、人脈を生かして信頼できる先生に紹介をしていました。

診察室で患者をしっかり診て、真実を見つける

診療理念について教えてください。

石黒源之院長 石黒クリニック3

これからの医療は、医師だけでなく多職種の医療連携が大事です。「明るく、楽しく、美しく」をモットーに、看護師をはじめ、さまざまな職種のスタッフが協力して医療に臨んでいます。このモットーの意味は、日本人が好きな「真面目」という言葉に私が反発して考えたことです。豪快な性格でもやる時にはやるという人間が好きなので、スタッフには人から言われたことをただ右から左へ真面目にやるのではなく、自ら問題を見つけて解決するようになってほしいと思っています。たとえ上司に意見してでも、患者さんのための提案ができるような気概のある医療者は、美しいと思うんです。そして、待合室では患者さんも笑っていてほしい。私の天命は人を幸せにすること、そして私も幸せになりたいですね。

スポーツドクターなど院外活動も多く行っているそうですね。

基本的なことですが、血圧をしっかり管理するには、運動・栄養・正しい薬の服用が大事です。運動については、私が学生時代に野球に打ち込んでいたこともあって、その大切さを啓発していきたいと思っています。講演を通して生涯スポーツの普及活動をしたり、スポーツ指導者の育成をしたりしています。

本はどんないきさつで出版されたのですか?

石黒源之院長 石黒クリニック4

長年積み重ねてきた臨床経験だからこそ見えてくるものがたくさんあり、患者さんから学んだことを一冊の本にまとめました。例えば、患者さんの血圧を24時間測定器で計測して見えてきたのは、月曜の朝には血圧が上昇して心筋梗塞が多いこと。喘息は午前中によく発作が出るのですが、発作が出てから薬を飲むのではなく、寝る前に薬を飲むことが大事であること。体のアドレナリンが最大になるのは午後と考えられていますから、運動は朝ではなく午後のほうが望ましいこと。だから部活動の朝練習はお勧めできません。本では、このような生体リズムに基づいた薬の服用や行動を勧めています。クリニックでも一人ひとりに合ったテイラーメイドな治療をすることで、患者さんを幸せにすることができると信じています。

患者と一緒に病気と闘う戦友でありたい

かかりつけ医としていろいろな方を診ていると思いますが、どんな病気の方が多いですか?

石黒源之院長 石黒クリニック5

後期高齢者も多いですが、40代、50代の高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病など生活習慣病の患者さんもたくさんいらっしゃいます。地域医療を行うには、介護や福祉との連携も必要です。当院に通っていた患者さんの中にも、通院できなくなっても住み慣れた自宅で過ごしたい方も多かったので、訪問看護ステーションと居宅介護支援事業所を併設しました。慢性腎臓病の患者さんの腹膜透析や慢性気管支炎、肺気腫、間質性肺炎などで慢性的に呼吸に障害のある患者さんに対しての在宅酸素療法も行っています。専門の看護師や理学療法士、管理栄養士、薬剤師などが訪問して在宅医療を行っています。

今後の医療に向けて、どんな取り組みをされていますか?

高齢者のフレイル対策としての運動教室を2022年に開催しましたが、2023年からは毎月実施する予定です。65歳以上の方が対象で、理学療法士が考案した体操やストレッチ、頭と体を使った運動などの紹介のほか、介護相談も行います。体操を覚えて自宅で毎日行ってほしいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

石黒源之院長 石黒クリニック6

どんな小さな悩みでも相談できるホームドクターを持ってほしいですね。もし頼りにならなければ、ホームドクターを変えるのも一つの方法です。私は、50歳を過ぎてありがたいことに大学で講師をさせていただいたりして、それなりの立場を与えていただきましたが、自分が進歩してえらくなったとはまったく思えません。価値観は野球をやっていたグラウンドの中の過去の自分と何も変わっていないように思うし、発言に対してしばしば怒られることもあります。そんな私ですが、患者さんとは戦友として一緒に病気と戦っていくつもりですので、悩みがあれば気軽にご相談ください。

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