高田 彰 院長の独自取材記事
たかだ小児科医院
(燕市/北吉田駅)
最終更新日:2025/10/09
新潟県燕市吉田の住宅街の一角にある、「たかだ小児科医院」。開業から30年近く、この地域の子どもたちの健康を見守ってきたクリニックだ。診療室には乳幼児から思春期の子どもまで、さまざまな年代の声が響く。先代であり父の背中を見て育った高田彰院長は、医師としてだけでなく、地域の子どもと家族の伴走者でありたいと語る。大学病院を中心として小児腎臓病を専門に幅広い診療にあたってきた高田院長は、自身も不登校経験があることから、その原因となる心身の不調にも真摯に取り組んでいる。クリニックは常に誰もが相談に来られるオープンな場所であるべきだと語る高田院長。「ここに来れば安心できる」そんな場所をつくりたいという思いが、言葉の端々から感じられる。医師をめざしたきっかけや小児科診療にかける思いを語ってもらった。
(取材日2025年7月31日)
地域に寄り添い続ける小児科医院
こちらは地域で長年診療を続けてこられたクリニックだそうですね。

1996年に父が開業した当院は、来年で30年を迎えます。私はこの吉田地区で生まれ育ち、子どもの頃から地域の人たちの温かさを感じてきました。父は地域に根差す小児科医として、子どもたちの成長を見守ってきました。小児科は風邪や発熱といった疾患から発達の問題まで、子どもに関するあらゆる相談の入り口です。そのため、なるべくどのような主訴の患者さんでも断らずに、まずはお話を聞いてみるようにしています。あらゆる不調の窓口として、地域のクリニックは相談しやすいことが重要だと考えているからです。そのため患者さんを絞らずに常にオープンな状態を心がけています。こちらで治療できることは担い、状況に応じて総合病院へもおつなぎしています。
医院を引き継いで意識したこと、また先代から引き継いだ思いなどあればお聞かせください。
2025年に私が医院を継承してからは、父が築いた信頼を守りつつ、さらに広げていくことを意識しています。新型コロナウイルス感染症の流行時も、子どもへの対応だけでなく、大人の診療や新型コロナウイルスワクチン接種も積極的に取り組みました。身近にクリニックがある安心感を守ることが、何より重要だと感じています。また、どんなに悪い状況でも「決して諦めない」という精神は父と大学の恩師から引き継ぎました。二人から教わった共通の言葉は、現代医療では良くなる見込みがないと思われた場合でも「今この瞬間に世界のどこかで治療法が生まれているかもしれない」ということです。そのため絶対に医療の側から手を止めてはいけないと考えています。
他院との連携や、向かいの場所に開設した病児保育施設について教えてください。

診療の中で相談の内容によっては、病院以外の他施設との連携も積極的に行っています。医療は日常生活の一部であり、子どもと家族が安心して暮らせる環境をつくることが重要だと考えています。当院が市との連携により、2014年に病児保育施設「あおぞら」を開設しました。共働き家庭が増える中、子どもが病気になったときに安心して預けられる場所は必要不可欠だと考えました。また妻が院長を務める「たかだ産婦人科医院」とは思春期の女子の不定愁訴など健康相談で連携しています。
症状を診るだけでなく、一人の人間として向き合う
診察の際に心がけていることは何ですか?

症状をただ診るのではなく、一人の人間として患者さんに向き合うということです。診療では病気の話以外にも、保育園や学校での出来事、患者さんの生活についてお話を伺います。たわいもないことも含めてお話しして子どもと打ち解ける中で病気の背景につながる重要なヒントを得ることもあるんです。話だけでなく、子どもの表情、保護者の話し方、きょうだいとの関わりなどを観察し、その子の暮らし全体を想像しながら診ることを心がけています。その子がどんな環境で成長しているのかまでをも含めて診ることが、小児科医の本質だと思っています。小児科では、ほとんどの場合が保護者と一緒に来院します。治療にはご家族のご協力が重要ですから、限られた診察時間の中でもいかに信頼関係を育むかを重視しています。
主な診療内容を教えてください。
咳や鼻水、下痢嘔吐、発熱などの感染症が多いですが、喘息、アトピー性皮膚炎、便秘、低身長、発育の相談、不登校、生活リズムの乱れなど幅広く対応します。また、子どもたちを日々診察する中で、発育全体や慢性的な不調の有無を観察するようにしています。例えば、他の症状で来院しても、実はおねしょで困っていると聞くこともあります。そういった場合は夜尿症についてご説明し、治療にも取り組んでいきます。
夜尿症の治療に力を入れているとか。

私は大学時代から腎臓病の研究と診療に携わってきました。その経験を生かし、夜尿症の治療にも積極的に取り組んでいます。夜尿症は一般的に「おねしょ」といわれ、性格やしつけの問題と誤解されがちですが、実際には膀胱の発達やホルモン分泌のバランスなど、生理的な要因が大きく関わります。放置すると子どもが自分に自信を持てなくなり、心的トラウマになることがわかってきました。治療ではまず生活習慣の改善から始め、必要に応じて薬を併用します。経過を見ながら焦らず進め、成功体験を積み重ねることが大切です。夜尿症を改善するには、正しい理解と根気強いサポートが必要です。不安に思うご家族に希望を持っていただけるよう丁寧な説明を心がけています。
大人になるまで子どもの成長に伴走する
ところで、先生が医師を志したきっかけは何だったのでしょう。

医師という職業を意識したのは高校生の頃ですが、根っこは小学校5年生の時の経験です。当時、私は半年ほど不登校になりました。病気やいじめなど具体的な理由があったわけではないのですが、突然どうしても学校に行けない状態になりました。当時の保健師さんのお話では、兄弟が生まれたことで遠慮して親にうまく甘えられず、小さな不安や不満が積み重なって、それが不登校というかたちで現れた、とのことでした。やがて少しずつ戻れたものの、中学生の時は周囲との差を埋めるために必死に勉強しました。その経験から、同じような悩みを抱える子どもに寄り添いたいと、最初は小学校教員を志しました。しかし、その時に父から、子どもの悩みだけではなく体の不調にも向き合えるのは小児科の医師だけだよ、との言葉をもらい、そこから小児科医への道を意識し始めました。自らの経験から、子どもの心の機微に寄り添える医師になりたいと思うようになったんです。
医師になってからはどのような経験を積まれましたか?
岩手医科大学を卒業後、大学病院や関連病院の小児病棟や新生児治療室で小児科医としての経験を積みました。大学院では小児腎臓病の研究に携わり、その後は新潟大学にて腎臓の基礎研究に没頭し、学びを深めました。さらに岩手医科大学附属病院に戻り、小児腎臓病を中心に幅広い症例を診てきました。そこで出会った恩師が、私に医師としての多くを教えてくれたのです。その先生は大学病院の小児科で腎臓を専門とする診療班を立ち上げ、いつ眠っているのかと思うほど患者さんのために尽くしていました。患者さんのためであれば何事も諦めずに、取り組む姿勢を見せてくれました。たくさんの文献を読み、論文を書き、患者さんや医学に真摯に向き合うその姿から、医師としての在り方を学びました。恩師から受け継いだ「患者さんのためならなんでもする」という姿勢は、厳しい現場を通してより鮮明になり、医療の知識や技術だけでなく、覚悟と責任感も養われました。
医師として喜びを感じるのはどのような瞬間でしょうか。

私が医師になったのは、子どもの成長を長く見守りたいと思ったからです。そのため、診察室で泣いていた子どもが、しばらくして笑顔で「こんにちは!」と来てくれる瞬間は何ものにも代え難いですね。時には、子どもたちから直筆でお手紙をもらうこともあり、一生懸命書いてくれたと思うと目頭が熱くなります。何よりも地域の子どもたちの成長を支えられていることに日々喜びを感じているため、どのような悩みでも一緒に考えさせてもらえることが、私にとっては喜びです。
読者へのメッセージをお願いします。
子どもの健康について何か困り事があれば、お気軽にお越しください。これからも「優しさとぬくもりをもって、子どもたちの元気と笑顔を応援する」をモットーに地域の子どもたちが、安心して成長できる環境を守っていきたいと思っています。皆さまのご来院お待ちしています。

