古川 和郎 院長の独自取材記事
古川医院
(燕市/西燕駅)
最終更新日:2025/11/27
「ものづくりの町」として知られる燕市で、約80年にわたり地域の健康を支え続けている「古川医院」。2024年、3代目の古川和郎(かずお)院長の就任に伴い、糖尿病内科・内科・内分泌内科のクリニックとして東太田に移り、新たなスタートを切った。古川院長の専門である糖尿病は、継続治療に加えて食事などの自己管理が求められる疾患。同院では患者が前向きに治療に臨めるよう、多角的なサポート体制を整えている。「人と話すのが好きなので、時間が許す限り患者さんとお話ししたい」という言葉どおり、笑顔でハキハキと話す気さくな古川院長。クリニックのこだわりから、糖尿病などの疾患、地域への思い、そして趣味のことまで、たっぷりと話を聞いた。
(取材日2025年10月15日)
専門の糖尿病以外にも対応し地域の健康寿命延伸に貢献
真新しいクリニックですが、御院の歴史はかなり長いそうですね。

私の祖父が燕市で開院したのが戦後の1946年なので、約80年になります。子どもの頃から通っていたスイミングスクールなどで「お父さんにはお世話になっています」と声をかけられるなど、地域に根差していると感じていました。ですから、物心ついた頃には医師を志していましたし、高校まで過ごしたこの地には思い出もたくさんありますから、地元に貢献したい気持ちは強かったですね。父の代までは宮町という町で診療していたのですが、私が継ぐにあたり糖尿病治療には広い施設が必要だと考え、この地に移りました。引き続き来院される患者さんもおり、「地域のかかりつけ医」としての祖父と父の存在の大きさを再認識している毎日です。
大きくてインパクトのある建物ですよね。この広さをどのように活用されているのですか。
患者さんに快適に過ごしてもらうには、診察室も待合室も広めに取りたかったんです。ベッドも増床し、糖尿病の患者さんを対象にした療養指導室や調理などを行える多目的ルームを設けました。私の妻が管理栄養士として勤務し、専用のスペースできめ細かく栄養指導を提供しており、調理実習室では主に、糖尿病の患者さん向けのメニューを管理栄養士と患者さんで作る調理実習を、月1回のペースで実施しています。子育てを終えた60代・70代の方が多く参加され、食事のことなどを話しているうちに皆さんすっかり仲良くなっていますよ。つい先日も待合室の一角で糖尿病教室を開催し好評でした。今後もいろいろな試みを取り組んでいくつもりです。
コミュニティーとしても機能しているのですね。お話にありました内分泌内科について詳しく教えてください。

甲状腺や副腎、下垂体などの内分泌疾患を診療する科です。全身の代謝が上がり甲状腺の腫れなどの症状が現れる甲状腺機能亢進症の一つであるバセドウ病や、真逆の甲状腺機能低下症の一つである橋本病は、聞いたことがある方もおられるのではないでしょうか。いずれも体重の変化や疲労感、足のむくみなど相談から病気がわかることが多いです。内分泌を専門に診療しているクリニックはそう多くはないので、他院からの紹介で来院される患者さんもいらっしゃいます。当院は一般内科、さらに糖尿病とのつながりで内分泌内科疾患もしっかり診療し、地域の皆さまの健康寿命延伸に寄与していきたいと思っています。
患者の主体的な糖尿病治療を手厚くバックアップ
専門の糖尿病についてお伺いします。まず、最近気になっている傾向などはありますか。

糖尿病というと60代以上の患者さんが多いイメージがありますよね。でも最近は10代から30代の若い患者さんも目立ってきており、個人的にはかなり問題だと捉えています。「スマートフォンに没頭して睡眠が十分に取れていない」「食事が1日2食で生活が不規則になっている」などの生活習慣や社会的背景が要因にあげられます。10代で糖尿病を発症すると、ずっと糖尿病と付き合うことになりますし、将来的に糖尿病合併症を発症するリスクがあります。健康診断を受けずに、口喝や体重減少、疲労感を主訴に受診され、糖尿病が判明するケースもあります。糖尿病はそのままにしておくと、10年後や20年後に糖尿病網膜症や糖尿病性腎症などの合併症が現れる可能性があります。健康診断の数値で糖尿病とわかることが多いので、定期的に受けていただき、気になる結果が出たらクリニックや病院に足を運んでほしいですね。
では、実際に受診に来られた患者さんに対し、御院ではどのような糖尿病治療を提供しておられるのですか。
日本糖尿病学会糖尿病専門医として総合的な治療を提供しています。まず糖尿病がどのような病気なのか、なぜ治療が必要なのかを診察室で話します。食事療法、内服薬や注射薬などの薬物療法、定期検査などが主な治療で、神経障害などの合併症の検査も可能です。検査結果が当日に出るのは患者さんにとってもメリットではないでしょうか。診療では患者さんのお話に基づき、無理をしない提案をしています。食習慣に限らず、日々の暮らしやお仕事、ご家族などの話を糸口に、例えば「ご飯の量をこの位に」といったふうに、改善策を一緒に見つけていくんです。最近では体組成計を導入し「この数値をもう少し減らすと良いですよ」などとアドバイスしています。糖尿病の治療は根気が必要であり、体脂肪率などの数値の変化は患者さんにとって励みになるでしょう。今後も患者さんに糖尿病の治療を続けてもらうために、モチベーターとしての役目も果たしていきたいですね。
糖尿病の治療は、患者さんに主体的に取り組んでもらうことが大切なんですね。

病状が進行している患者さんは、管理栄養士にも普段のストレスが大きいと打ち明ける方が多い傾向にあるんです。私たちは患者さん個人個人の抱える生活環境や職場などの問題を解消するのは難しいのですが、ストレスを抱えながらでもうまく生活に工夫をして治療を進めていけるようアプローチしていきたいと思っています。これまで糖尿病の3大合併症といえば「網膜症・腎臓・神経障害」ですが、最近では「認知症・歯周病・悪性腫瘍(がん)」も注目されています。早期の治療開始による合併症予防するだけでなく、認知症やがんの発見にも注力しています。糖尿病の発症に大きく関与するのが、遺伝などの体質、加齢、生活習慣です。体質や加齢はコントロールできませんが、生活習慣は患者さんご自身でコントロールできます。患者さんに食事管理や運動を押しつけるのではなく、セルフマネジメントを意識してもらえるよう、これからもサポートしていきます。
和やかな会話を重ねながら患者との信頼関係を構築
診療にあたってのモットーを教えてください。

「誠実に、丁寧に、そして明るく」でしょうか。私は人と話すのが大好きですが、これまで病院勤務で診察時間に余裕がなかったんです。当院では時間の許す限り患者さんのお話をしっかり聞いて、丁寧に診察するようにしています。体調だけではなく、仕事や趣味などにも話を広げて会話を楽しんでいますよ。当院のスタッフも、採血中などに患者さんと世間話をしながら緊張をほぐしてくれています。これまで多くの先生方に指導していただいた中で、とても大らかでコミュニケーション力の高い先生がおられました。その先生の講演はとても明解で、話し上手であることの大切さを学びました。私も会話を通して患者さんの心をつかみ、信頼関係を築いていければと思っています。
明るくエネルギッシュな院長の、元気の秘訣は何ですか。
趣味のランニングです。時間を見つけてはフルマラソンに出場していて、この先も複数の大会にエントリーしています。マラソンはどんなに練習しても、30kmを過ぎると本当につらくて、何度も走るのをやめたくなるんですよ。そこでめげずに苦しみながら自分自身との戦いだと思ってゴールまでなんとか走り切る。そこがマラソンの面白さであり、醍醐味なんです。走り終えた後の高揚感はマラソンでしか味わえませんね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

「喉が渇く」「体重が減った」「疲れやすい」などの理由で来院された患者さんが糖尿病だった、ということは少なくありません。このとき過去の健診結果があれば、兆候が出た時期や季節ごとの数値の変化が把握できます。ぜひ、体調に不安な点がなくても健診に来ていただき、体調をチェックしてもらいたいです。当院で治療できない疾患が見つかったら、近隣の医療機関にスムーズにつなぎますので安心してください。目標は大きく開業100年! これからもスタッフ一丸で、地域の皆さんに信頼されるクリニックをめざし、邁進していきます。

