永田 真一 院長の独自取材記事
永田外科
(高座郡寒川町/倉見駅)
最終更新日:2025/04/07

JR相模線沿線の倉見駅。のどかな雰囲気がある駅前にたたずむのが「永田外科」である。院長の永田真一先生は、約半世紀前にこの地に開業した父・永田澄夫氏の姿勢を継承。呼吸器外科と呼吸器内視鏡を専門としながら、幅広い疾患を診る姿勢を貫き、「それが地域に密着するクリニックに必要なものだから」と語る。そのような観点から永田院長は、大学病院時代からさまざまな関連病院での診療を通して、ゼネラリストとしての腕を磨いてきた。同院ではその経験を生かし、呼吸器と胃・大腸の内視鏡検査に対応。思い立ったらすぐに来院できるよう、同院ではあえて予約システムを導入していないのも特徴だ。永田院長がめざす医療のかたちや同院の強みについて話を聞いた。
(取材日2024年10月18日)
半世紀にわたって幅広く診てきた外科クリニック
こちらのクリニックは長らく倉見駅前で診療されているのですね。

1970年代の半ばに父が開業しました。私が幼い頃に東京から越してきて、最初はこの近くの仮のクリニックで診察していたんですが、何年かしてこの建物ができ、しばらく私もこの上で暮らしていました。
こちらは非常に規模が大きいクリニックですね。
外科クリニックですので、その昔はごく普通に手術を行う設備があり、それに伴って入院していただくような体制になっていました。そのため、2階には手術室や、病室もそろっています。今では、手術室は内視鏡室に、病室は点滴などを行う部屋として活用しています。父の専門は外科ではあったのですが、当時、診療科目は今ほど細分化されていなくて、ましてや沿線の駅前のクリニックですので、非常に幅広く診療していました。一般外科はもちろん、整形外科も外科の領分でしたので、ここで診ていました。私の専門は呼吸器外科ですが、ここでは長らくさまざまな疾患を診療してきましたので、私自身も科目にこだわることなく来院される患者さんのさまざまな疾患や症状に対応しています。
先生は、そうした診療体制をそもそも想定されて研鑽されてきたのですか?

そうですね。いずれはここを継承することを考えていましたので、幅広くいろいろな疾患を診られる医師になりたいと考えて仕事をしてきました。大学卒業後は大学病院の呼吸器外科に入局したのですが、その後の13年間でいろいろな関連病院に赴いて診療を続けた経験があります。大学病院では肺がんの手術を専門にしていましたが、こうした関連病院では消化器外科やほかの臓器の手術はもちろん、痔の手術や巻き爪などの細かい手術も執刀してきました。そうした経験が結果的に、幅広く診ることができる今の仕事の姿勢において、大きな財産になっていると思います。
先生がこちらを継承されたのはいつですか?
2005年に大学を辞めてこちらに戻り、当初は父と一緒に診療をしていました。私がメインで行い、週に1、2回父が入るかたちでしたね。クリニックの体制としては、父は院長を継続していて、そのため私は、軸足をこちらに移してからも、大学時代から手伝いに行っていた東京の病院での週1回の勤務を続けることができたんです。これは、今の私にとっても非常にプラスでしたね。というのも、その病院で私は毎週手術を担当することができたのです。その頃永田外科ではもう手術は行っていませんでしたので、東京の病院での毎週の手術が、私の外科医としての技術の維持に役立ってくれたと思っています。そうしてメスを持つ機会は減りましたが、「父の代からずっと地元の皆さんに貢献してきたこの場所を、診療の質や患者さんの使い勝手を下げることなく継ぐ」というのはなんとなく使命感として私の中にあったんです。
大勢の診療を円滑に進める、医師と看護師の経験値
こちらにはどのような患者さんが多くいらっしゃいますか?

エリア的には非常に幅広い方々がお住まいですね。実際、いらっしゃる患者さんは会社員の方もいれば農家の方もいらっしゃいます。そんな中で年代的に中心になるのは後期高齢者の方々ですね。目立つ症状としては、内科と整形外科の分野が半々。高血圧症や糖尿病、脂質異常症に、膝や腰の痛み、ケガの縫合などで、当院では本当に幅広く対応しています。ご高齢の患者さんが、専門ごとにあちこちのクリニックをはしごされるのは大変だとも思いますし、症状が出たら、ひとまず当院にいらっしゃるという方が多いようですね。おおむねどのような症状でも診察しますが、診療科目自体が異なる場合は、専門の医療機関へご案内するようにしています。素早く適切な治療につなぐことも、開業医の大切な役割ですから。
毎日たくさんの患者さんがいらっしゃるそうですが、心がけていることはありますか?
お一人ずつ丁寧にお話をしながら診察したいのはやまやまなのですが、当院には毎日多くの患者さんがいらっしゃいます。予約制ではなく直接来院制を取っていることも大きく影響しているかと思うのですが、なぜ予約制にしないのかというと、何か気になる点があったとき、思い立ったらすぐに足を運べる場所でありたいからなんです。ご高齢の患者さんにややこしい予約システムを使っていただいたり、その都度電話をいただくのは負担が大きいですから。その代わり私たちのほうで、来院くださった患者さんをお待たせすることなくきちんと全員診察することに力を注いでいます。血圧やコレステロールの薬の処方や、痛み止めの注射のために定期的に来られる患者さんなどはスピーディーに対応できます。ただ、そんな中でも深刻な病気が見つかるときもあり得ますので、そこは可能な限り丁寧に説明し、対応するようにしています。
そういった環境の中では、スタッフさんの対応も重要となりますか?

そうですね、当院の看護師たちはみんなすごいと思います(笑)。とにかくひっきりなしに患者さんがいらっしゃいますが、そんな中でレントゲンや心電図をとり、採血を行い、胃カメラの準備を整え、患者さんにテキパキと説明する。私もさまざまな病院で経験を培ってきたと自負していますが、永田医院で鍛えられてきた彼女たちの実力は素晴らしいと思います。そして、スタッフみんなでより円滑に患者さんに対応できるかをその都度検証しながら、技術やコミュニケーションをブラッシュアップしていっています。当院の看護師たちのスキルとホスピタリティーはどこへ出しても恥ずかしくないと思っています。
不調がなくても、日頃のメンテナンスとして検査を推奨
院長も前院長も、内視鏡を専門的に扱ってこられましたね。

内視鏡は、ご自身の体の調子を見るのに非常に有用だと思います。「不調」を掲げる前に、日々の体のメンテナンスの一つとして、ある程度の年齢になれば、定期的に受けたほうがいいですね。当院では大腸内視鏡を専門とする医師が月2回入っていますので、気管支や肺を診る呼吸器の内視鏡検査、胃と大腸の内視鏡検査、すべてに対応しています。何も異常がなければそれでいいと思います。定期的な検査は、患者さんにとっては間違いなくプラスになることだと考えています。
内視鏡検査はどのような疾患の発見に役立つのでしょうか。
例えば高齢者に胃の内視鏡検査を行った場合、かなりの割合で萎縮性胃炎の所見が見られます。萎縮性胃炎自体は重篤な疾患ではありませんが、正常な胃粘膜よりも胃がんになるリスクが高まります。勤務医時代の経験を振り返っても、胃がんを宣告された方の中には、萎縮性胃炎の方が少なからずいらっしゃいました。ただ一方で、罹患していながら症状がない方もいらっしゃいますので、ある程度の年齢になられたら、特に不調を感じなくても、まずは一度内視鏡検査を受けてほしいです。そして、重大な疾患の早期発見につなげるためにも、定期的な検査を視野に入れておいていただくとなおよいでしょう。
最後に、地域の方々にメッセージをお願いします。

外科と銘打ちながら、外科以外にも幅広い疾患に対応しております。患者さんが自主的にジャッジすることなく、とにかく診せにいらしてください。万が一何かあるにしても、早期発見・早期対応は非常に重要だと思います。あと当院では、外来診療以外にも、老人ホームへの訪問診療も行っています。併せて小規模な外科手術もこちらで対応しています。経験豊富でスキルの高い看護師たちとともにお待ちしております。何か気になることがありましたら、診療科を気にすることなく、ぜひご来院ください。