骨密度を知ることが予防の第一歩
骨粗しょう症検査の重要性
和田整形外科
(大和市/南林間駅)
最終更新日:2023/11/09


- 保険診療
骨が脆くなり、骨折しやすくなる骨粗しょう症。高齢者の病気というイメージもあるが、実際には50代あたりから徐々に進行するケースが多いという。特に50歳前後で閉経を迎えた後の女性で、リスクが高まるそうだ。「骨密度が落ちきってしまう前に、早めの段階から予防を始めることがとても大切です。まずは骨密度測定検査を受けて、ご自身の骨の状態を知っておきましょう」と話すのは、大和市南林間にある「和田整形外科」で骨粗しょう症の診療に取り組む和田一佐院長。気になる骨粗しょう症の症状や傾向、検査、治療などについて、詳しく解説してもらった。
(取材日2023年10月27日)
目次
自覚症状のない骨粗しょう症は、骨折に至る前段階での発見・予防が重要
- Q骨粗しょう症はどんな人がなりやすい病気ですか?
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A
▲ホルモンバランスの崩れや骨密度、骨質低下により骨粗しょう症に
骨密度の低下により骨が弱くなり、骨折が起こりやすくなるのが骨粗しょう症です。加齢や閉経後のホルモン低下に加え、関節リウマチなどの病気やステロイド薬の長期内服、食事や運動、飲酒、喫煙といった生活習慣などが原因となります。骨をつくるカルシウムやその吸収を助けるビタミンDなど、必要な栄養素を十分に摂取できていない栄養不足な方、体重をかけて動かすことで骨に適度な振動を与えられていない運動不足な方は、骨粗しょう症になりやすいといえます。また、骨量維持にはたらく女性ホルモン・エストロゲンが急激に減少する閉経後の女性は、特に注意が必要です。実際、骨粗しょう症患者の大半は、閉経後の女性が占めています。
- Q骨粗しょう症になると、どのような症状が現れるのでしょうか?
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A
▲症状が進行すると骨折につながるケースもあると語る和田院長
これといった自覚症状がなく、本人が気づかないまま静かに進行してしまうのが、骨粗しょう症の恐ろしいところ。骨折が起こってはじめて骨粗しょう症に気づくというケースも多いのです。若い頃には大きな問題とならなかったような軽い衝撃でも、骨粗しょう症で骨が弱くなっている場合には、簡単に骨折してしまいます。慢性的な腰痛が、実はじわじわとゆっくり進行する脊椎圧迫骨折によるものだったということもあります。いわゆる「いつの間にか骨折」です。特に大腿骨の骨折は寝たきりの原因ともなり、治療後にも筋力低下によりさらに状態を悪化させてしまうことも。骨折を繰り返してしまったり、合併症で死に至ることもあるのです。
- Q こちらではどのような検査を実施されていますか?
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A
▲骨密度測定装置で検査する
微量なエックス線を当てて骨密度を測定する、DXA法(二重エネルギーエックス線吸収測定法)による骨密度測定検査を行っています。深刻な骨折が多い腰椎と大腿骨頸部で骨密度を測る方法です。手の骨で測る簡易的な検査もありますが、あくまで参考値。DXA法では、より正確に骨密度を測ることができるのです。これに血液検査による骨代謝マーカー測定を加え、骨吸収と骨形成のバランスをチェックします。同時に、腎臓や肝臓の働きを中心とする全身状態も確認し、治療計画を立てる際の参考とします。
- Q検査を受けるべきタイミングについて教えてください。
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A
▲女性は50歳を迎える前に一度検査をすることを推奨する
骨粗しょう症は「高齢者の病気」と思われがちのようですが、70代、80代以降といった高齢に至る前、50代、60代から徐々に進行します。いわば骨の生活習慣病であり、骨密度も血糖値や血圧同様に、早めの対処が求められるのです。骨折して始めて治療を開始するのでは、実は遅すぎるケースも。低下してしまった骨密度を治療により上昇させることはなかなか難しいのが現状ですので、下がり切る前に骨密度を維持することが重要になります。50歳前後で閉経を迎えられた女性はもちろん、男性も50代あたりのタイミングで、一度検査を受けてみることをお勧めします。
- Q骨粗しょう症の予防は将来的にどのようなことが期待できますか?
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A
▲日頃から日光を浴びて運動する習慣が大事
検査により骨粗しょう症リスクが見つかれば、まずは食事や運動、日光浴など、生活面でできるアドバイスから改善・予防をめざします。それでも骨密度低下が進む場合はビタミン剤やホルモン剤を含む内服薬や注射薬の使用も検討することになります。人生100年時代と言われていますが、同じ100歳まで生きるのでも、自分の足で歩けるのと、移動に車いすが必要なのとでは全然違います。骨折してから骨粗しょう症の治療に取り組むのでは、根本的な改善は難しく、また骨折を繰り返してしまうことも。早めの予防が大切なのです。健康寿命の延伸をめざすのであれば、早めの段階から骨粗しょう症検査を受けることをご検討ください。