和田 一佐 院長の独自取材記事
和田整形外科
(大和市/南林間駅)
最終更新日:2025/06/11

南林間駅西口から徒歩3分。1階に飲食店が入るビルの2階で、地域密着型の診療に尽力しているのが「和田整形外科」だ。2018年、和田一佐院長が長年親しまれてきた整形外科クリニックを引き継ぎ、開院した。入り口左手には広々としたリハビリテーション室があり、腰や膝に痛みを抱える高齢者に加え、院長の専門であるスポーツ整形外科の診療を求めて来院する若い患者も少なくない。和田院長はこれまで、基幹病院の整形外科で肩や膝関節を専門に診療してきた。その知識や経験を生かし、地域の人々に愛されるクリニックをめざしている。わかりやすい説明が印象的な和田院長に、同院の特徴や注力している診療、今後の展望などを聞いた。
(取材日2025年3月10日)
地域で長く愛されてきたクリニックを引き継ぎ開院
こちらのクリニックの特徴を教えてください。

当院は、もともとは近藤整形外科という名前で前院長が長年にわたって診療を行っており、南林間駅の周辺には、ほかに整形外科が少ないこともあり、地域の皆さんに長く親しまれてきたクリニックでした。そこを、私が2018年に引き継がせていただきました。地域の皆さんに頼ってもらえるクリニックになることをめざしていますので、整形外科一般に加えて、私が専門とするスポーツ整形外科や骨粗しょう症、変形性膝関節症の診療など幅広いジャンルに対応することで、高齢の方から若い方まで幅広い世代のさまざまな病気やけが、体の痛みなどを診ることができるよう心がけています。私が引き継がせていただいてからは、以前からの患者さんに加えてスポーツによるけがなどを主訴とした比較的若い患者さんも増えてきています。
診療の際、どのようなことを心がけていますか。
患者さんの話をよく聞くことですね。コミュニケーションを重視して十分に納得していただいてから治療をすることを心がけています。話を聞くだけで気持ちが楽になる人もいますし、それはそれで良いと思います。私の性格もあると思いますが、話し込むことが多いかもしれません。病気や画像の説明、自宅でできるトレーニングの指導なども、しっかり話すようにしています。そういう意味では待ち時間も長くなってしまいがちで申し訳ないのですが、ご理解いただければと思います。また、手術が適したケースの場合は先延ばしにしないことも心がけています。当院でできることは行って、それでも手術が必要と判断したら、手術ができる病院を早い段階で紹介するようにしています。先ほども話しましたが、期を逃さずに適切な治療をすることはあらゆる面から大切だと考えています。
患者さんの傾向を教えてください。

当院はご高齢の患者さんが多く、骨粗しょう症や変形性膝関節症の予防・治療に力を入れています。骨密度測定にはDXA法を導入し、精密な測定で早期発見と治療を推進。骨密度測定は継続的に検査を受けることが大切です。変形性膝関節症では、進行前に骨切り手術を提案し、関節温存と体の負担軽減をめざしています。人工股関節の相談も増えていますが、手術に至らないよう膝や肘、股関節を健康に保っていくための体重管理や筋力訓練、日常生活でのアドバイスも行っています。
本格的な運動器リハビリを開始
最近、新たにスタートしたことはありますか。

私の専門分野はスポーツ整形外科なので、以前から運動器リハビリの充実をめざしていたのですが、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で実現が遅れていました。ようやく、2025年1月4日より理学療法士2人が入職し、本格的な運動器リハビリを開始することができ、とてもうれしく思っています。スポーツ整形外科とリハビリは切り離せないものであるほか、変形性膝関節症や加齢による肩の筋断裂などにも、適切なリハビリが重要です。これまでは診察時に運動や体操を指導し、自宅で継続してもらう方法しかありませんでしたが、院内で専門的なリハビリを提供できるようになったことは大きな進歩だと思います。症状が軽いうちに治療を開始すれば、負担軽減やリハビリ期間の短縮も期待できるので、より多くの方に早期リハビリの重要性を知っていただきたいと考えています。
理学療法士の必要性を感じた背景には、どのようなことがあったのですか。
それまで私が行っていた投薬治療や物理療法だけでは、患者さんに十分な治療を提供できないと感じていました。診察時に運動や体操を指導しても、患者さんが自宅で行う実践方法はその内容と異なっていたり、効率的に続けられなかったりすることが多くなりがちです。しっかり専門家がついて指導しなければ改善へ導くことは難しいとわかっていたのです。私自身、必要性を理解していながらも、十分なサポートができないことにもどかしさを感じており、理学療法士がいれば患者さんの回復を効率的に促すことができると確信しつつも、なかなか実現できずにいました。理学療法士が治療に参加したことで、専門的なリハビリが提供できており、受診希望者も増えています。
先生が最近注目していることはありますか。

整形外科領域の再生医療研究の動向に注目しています。関節や筋肉、腱の疾患や損傷、外傷により、痛みや腫れに悩んでいるものの、従来の治療では十分な改善が見込めない患者さんも多くいらっしゃいます。そんな方々の最後の希望となり得るのではと期待を寄せています。実用化された場合は当院でも導入したいですね。
今後もリハビリを幅広く提供できる体制を整備
こちらで受診できるリハビリの特徴について、お聞きします。

当院では年配の患者さんが多いため、リハビリを希望する患者さんの主な訴えは、老化による機能の回復や改善に関するものです。このような加齢に伴う筋力の低下や関節の可動域の制限、日常生活での動作の困難さに対して、理学療法士が生活の質の向上をめざし、サポートを提供しています。また、私と理学療法士2人は、スポーツ現場での豊富な経験を持つ医療スタッフです。私自身、長年競技テニスを行い、医師としても国際大会などさまざまな大会に携わってきました。理学療法士の1人はサッカー、もう1人は陸上競技の現場で経験を積んでいます。私たちはアスリートの気持ちを尊重し、今後の競技人生において適切な選択肢を提供し、無理のない回復と成長のお手伝いをさせていただいています。
新体制によって、患者さんはどのようなメリットが得られると思いますか。
これまでの治療に加えてリハビリ体制の充実を図ったことで、「安心感」を提供できるようになったのではないかと思います。他院で手術を受けた患者さんが術後のリハビリを自宅近くの当院で受けられることは、大きなメリットだと感じています。これまでリハビリのフェーズまでトータルでサポートできなかった症例も、今では当院内で完結できるため、患者さんにとって肉体的、精神的、経済的な負担が軽減されると考えます。また、当院の理学療法士はリハビリの質にもこだわり、患者さん一人ひとりに最適なサポートを提供することに努めてくれています。患者さんが安心して回復に集中でき、無理なくスムーズに日常生活に戻れるよう、スタッフ一同全力でサポートさせていただきます。
最後に、今後の展望をお聞きします。

リハビリを受けたい患者さんが増えている現状を踏まえ、体制の強化も検討していきたいと考えています。現在は主に年配の患者さんをサポートしていますが、アスリートケアの需要が増えることは私がめざす方向性でもあり、クリニックとして非常にうれしいことです。アスリートケアに強みを持つ理学療法士のモチベーションも高まってくることでしょう。今後もリハビリを幅広く提供できる体制を整え、アスリート向けのスペシャリストがいるクリニックとして、さらに成長していきたいと考えています。