亀崎 昌道 院長の独自取材記事
亀崎医院
(秦野市/秦野駅)
最終更新日:2025/03/14

秦野市の住宅地で100年以上前から続く「亀崎医院」は、生活習慣病をはじめ内科全般の診療をもとに地域医療の窓口を担ってきた。祖父、父の後を継いだ3代目の亀崎昌道院長は「これまで以上に地域とのつながりを大切にしながら診療を受け継いでいきたい」と話す。亀崎院長は以前に勤務した病院では循環器を専門とし、同院でも生活習慣病と関連が深い心臓病に留意した診療を心がける。さらに最近では「30代から高齢者まで広がる睡眠時無呼吸症候群など、隠れた病気の早期発見にも注力しています」という。近隣の医療機関との病診連携も強固で、必要な際には適切な病院に躊躇せず紹介することをめざす亀崎院長に地域医療にかける強い想いなどを聞いた。
(取材日2025年2月13日)
100年以上続く医院で地域住民の健康を守る
この医院は100年以上も診療を続けているそうですね。

ええ、私の祖父が1916年にこの「亀崎医院」を開院して以来、ずっと同じ場所で診療しています。当時から外来診療だけでなく往診も行っていて、祖父が山あいの患者さんのご自宅に馬車で出かける写真が残っているんですよ。父は近くにある神奈川病院の呼吸器内科に17年勤めた後、祖父から当院を引き継ぎ、内科全般および呼吸器や小児も診て約50年も診療を続けました。私も同じ神奈川病院で内科や循環器を診ながら、十数年前から週2回ほど当院を手伝うようになり、2015年に父の後を継いで当院の院長に就任したんです。祖父が診ていたときに小さなお子さんだった方が今でも通院されているなど、長く続く地域とのつながりを大切にしながら、これからも地域の皆さんの健康を守っていきたいと考えています。
どんな方が受診されているのですか?
当院には長く通院されている方も多いのですが、近くに大型商業施設ができたことで、そちらの従業員の方、利用されるお客さんなども受診されるようになり、患者さんは成人から高齢の方まで幅広いですね。急な症状のこともあれば、職場の健診で再検査というケースでもお見えになります。糖尿病や高血圧といった生活習慣病の方も増えていますが、なかなか数値が改善しない場合には予約制で管理栄養士による栄養相談も行い、患者さんごとに具体的なメニューを提案してもらうことも。また、高齢になると便秘傾向になり、排便時に力を入れ過ぎて血圧が急上昇するリスクも考えられるため、必要な患者さんには適切な水分摂取と薬による治療も勧めています。地域のかかりつけ医としてさまざまな症状を診る外来診療のほか、定期的な訪問診療にも対応しています。
訪問診療の主な内容を教えてください。

祖父の時代は往診のみで、在宅療養の患者さんに対する定期的な訪問診療は父が始め、現在も私が引き継いでいます。訪問先は当院に通えなくなった患者さんのほか、病院を退院して自宅での在宅療養に移られる方をご紹介いただくケースも多くなっています。現在は木曜日午後の外来診療を休診にして訪問診療の時間にあて、看護師とともに患者さんのご自宅を回っていますが、ご自宅での診療は患者さんのご家族との関係や生活背景なども把握でき、より個別化した診療に役立っています。診療内容をお伝えする際もご家族にもわかるような説明を心がけています。
睡眠時無呼吸症候群の早期発見にも注力
診療の際にはどんな点を心がけておられますか?

患者さんの話をよく聞くことと、こちらからは専門的な言葉を極力使わずに診療内容をお伝えすることです。やはり患者さんやご家族に病気と治療について理解していただかないと、積極的に治療に取り組んでいただけませんから。また診療にあたっては、体重や血圧を毎回検査して健康面に何か変化がないかを必ず確認します。定期的に通院されていると、ご本人は「たぶん今回も大丈夫」と思いがちですが、そこは曖昧にせず数値の面でもきちんとチェックすることが大切。私自身も2019年に早期の胃がんが見つかって手術を経験し、定期的な検査の重要性を再認識したところです。さらにエックス線画像診断ではAIによる診断アシスト機能つきの機器を使用するなど、必要なら新たな技術も導入して診断の精度を高めるよう心がけています。
特に力を入れている分野を教えてください。
最近では睡眠時無呼吸症候群(SAS)の早期発見と治療を重視しています。睡眠時無呼吸症候群は30代以降の方に多く見られ、就寝中に呼吸が止まり、十分な睡眠が取れない状態が続く病気です。日中に繰り返し強い眠気を感じるほか、高血圧や動脈硬化など生活習慣病を悪化させる原因にもなるので要注意といえます。そのため当院では、初診の方には全員に日中の眠気、夜中に急に起きる、家族にいびきがうるさいと言われる、といった病気の兆候がないかも質問しています。こうした問診で睡眠時無呼吸症候群が疑われた場合、ご自宅で検査ができる機器をお送りし、結果をもとに診断して、必要なら夜間に呼吸をしやすくするための装置の装着をお勧めしています。
より専門的な治療が必要な病気にはどう対応されるのでしょうか?

患者さんの症状やご希望も踏まえ、できる限り早く適した病院にご紹介するようにしています。専門の医師の診断を受けても、ほとんどは問題がなく戻って来られますが、中には「脳梗塞のごく初期の段階で見つかって良かった」というように、命に関わるような病気ですぐに入院されるケースもあり得るのです。そうした万一の事態を決して逃さないよう、当院では躊躇せずに病院にご紹介しています。一番近い神奈川病院や同じ市内の秦野赤十字病院のほか、伊勢原市、平塚市にある大学病院や基幹病院とも密接に連携し、各病院が行う連携の会に積極的に参加するなど得意分野も把握していますから、適した病院にご紹介できると考えています。特に神奈川病院は大抵の先生方と顔見知りなので頼みやすいですね。
スタッフと協力してアットホームな診療を心がける
先生のご経歴などをご紹介ください。

祖父の代から続く医院で、私も小さい頃から父が診療する様子なども見ていました。患者さんに元気になってもらうために治療すること、感謝の言葉をいただけることにやりがいを感じ、小学校6年生くらいには医師になろうと思っていましたね。医学部卒業後に心臓血管外科の医局に入ったのは、手術により患者さんの劇的な改善に貢献できると考えたからです。地域の基幹病院や循環器専門病院などで手術経験を積んだ後、1997年からは神奈川病院に勤務しながら少しずつ当院を手伝うようになりました。当初は呼吸器が専門の父と2人体制で分担しながら診療し、父が体調を崩してからは私が院長を継いで現在に至ります。
そのほか医院の強みについてお聞かせください。
常に患者さんのことを考えて接してくれるスタッフは当院の大きな強みです。私より長く勤めている看護師もいますし、患者さん一人ひとりをよく把握して対応してくれ、事務スタッフも患者さんの話をしっかり聞いてくれると感じています。さらに当院の会計を担当する私の母が全体をまとめ、以前は都内の病院に勤めていた妹が看護師として現場のリーダー役を担うなど、家族で医院を盛り立てているので自然にアットホームな雰囲気になっているのも当院の特徴といえるでしょう。
最後に地域の方にメッセージをお願いします。

当院は生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群などを中心に内科全般を幅広く診療し、病気の予防や早期発見などにより地域の皆さんの健康を守ることを目標にしています。私は神奈川病院などで循環器を専門に診ていましたので、当院でも生活習慣病と関連の深い心臓の病気などにも留意した診療を行えるのも強みの一つです。スタッフも優しく丁寧な対応を心がけ、笑顔で接しているので患者さんも話しやすいのではないでしょうか。月曜日から土曜日まで木・土の午後を除いて毎日診療していますので、ご都合に合わせて気軽に受診していただければと思います。