小林 純二郎 先生の独自取材記事
小林内科医院
(藤沢市/本鵠沼駅)
最終更新日:2025/08/28

小田急江ノ島線・本鵠沼駅東口から徒歩2分の閑静な住宅地にある「小林内科医院」。先代から合わせると計70年以上という長い年月、地域住民の健康を守り続けている。長年の経験を持ち「誠実に患者さんを診ることの繰り返しに未来がある」と語る小林純二郎先生は、消化器・一般内科が専門。現在は息子の小林陽一先生に院長職を引き継ぎ、それぞれの得意分野を担当するかたちで、2人体制で診療している。地域の他の医師たちと協力し力を入れて来た訪問診療は、以前より縮小しつつも、急患を優先しながら引き続き行っている。先進のシステムを用いながら、がんの早期発見にも注力。穏やかで明るく、優しい口調で語りかけてくれる小林先生に、時代の変遷とともに変革しつつも大切にしてきたことや、今の思いを聞いた。
(取材日2025年7月10日)
3世代、内科一筋で地域に貢献
リニューアルして10年が経過したそうですが、この間、クリニックの診療や患者さんに変化はありましたか?

患者さんの変化だと、世代交代もあって若い人が増えたのではないでしょうか。昔この辺りは大きなお屋敷のある土地が多かったのですが、今はその敷地に造られる家の軒数が多くなったこともあってか、私たちの世代よりも若い人がかなり増えたと思います。あと変わったことは、新型コロナウイルス感染症の流行を機に、発熱の患者さんを診る外来用に特別室を設けたことでしょうか。当院は3階まであるので幸い部屋も多く、パンデミック時には隔離用や検査用として使い、さらに外にプレハブを建てて対応もしました。かかりつけ医でワクチン接種するよう指示が出ていたこともあって、通っていただいていた多くの患者さんもいらっしゃいました。1日先着40人の限定だったので、明け方から外に行列ができるほどでしたね。それをきっかけに予防意識が高まったのか、今もワクチン接種を希望する人が多いのは良いことだと思います。
クリニックの特徴を教えてください。
父が1954年に開業してから3世代、内科一筋でやってきました。消化器内科、一般内科の診療をメインに、糖尿病や高血圧症、脂質異常症などさまざまな症状に対応しています。特に大腸と胃の内視鏡検査を行い、がんの早期発見に注力しています。昔と違い、今やがんは早期発見できれば完治も見込める病気です。当院は昔から、新しい機器や時代に合わせた医療の導入にはこだわってきました。エックス線撮影装置のないクリニックがまだ多かった時代に、私は順天堂大学にエックス線撮影装置や胃内視鏡について早くから勉強しに行き、これらをすぐに導入しました。今は、院長が大腸の内視鏡検査を担当し、AI診断補助機能を搭載した新型機器を活用しながら診療しています。また、訪問診療については、件数は減らしましたが、緊急な方を優先しながら今も行っています。
院長との2人体制とのことですが、どのように分担して診療されているのでしょうか。

主に、検査が必要な際は2階で院長が診て、その他の患者さんについては私が問診をどんどん進めていくという感じですね。特にご高齢の方だと昔からの患者さんも多いので、それまでの経緯を私がよくわかっている部分もありますし、基本的にお話を伺って状況を見ていく部分を私が行っています。患者さんによっては、その時の状態で連携している他の病院へご紹介するなどの対応をしています。
長年の経験と新たな技術を融合した診療で応えていく
院長を引き継がれた息子さんへの思いや、先生から見た院長はどのようなドクターか教えてください。

これまでの父や私と同じように、患者さんのために新たな設備を用いてその時の最良の医療を届けたいと考えているようですね。勉強熱心で、今も研鑽を続け、新しい技術を身につけています。アクティブな一面もあり、各地の災害対応にも駆けつけていますね。新型コロナウイルス感染拡大の初期は、自ら手を挙げて横浜港に停泊したクルーズ船に乗り込み、長い期間D-MATの一員として従事していました。自分から行動して一人でも多くの患者さんを救おうという点は、誇りに思えるところです。引き続き、このクリニックで地域のたくさんの方に貢献してほしいと思います。
診療の際に大切にしていること、心がけていることは何ですか?
私個人としては、50年内科医をやっている経験をしっかり生かすようにしています。慢心はしないように気をつけてはいますが、ただこれだけ長くやっていると、たくさんの方を診てきましたので、最初に患者さんのお顔を拝見するだけで、だいたいの状態がわかります。その時に大事なのは、このまま当院で診て差し上げるか、すぐに専門の医療機関にお願いしたほうがいいかの見極めです。一大事のときはもちろんすぐにおつなぎしますが、非常に判断が難しい場合もあり、そんなときは、つらい思いをしている患者さんにとって何がベストかを見極めるためにしっかり診察します。クリニックとして、古くから大切にしている患者さんに寄り添う気持ちと私の診断スキル、そして院長が持つ新しい技術の合わせ技で、工夫しながら常にそれぞれの患者さんに向き合っています。
どのような患者さんが多く来院されていますか?

70年以上診療してきた内科医院ですので、今90代くらいの長く通っていただいている患者さんともなると、父である初代、2代目の私、そして3代目の息子と、3世代で診させていただいていて、そのような患者さんが多くいらっしゃいます。私たちにとっても、各患者さんのご家族を何世代にもわたり当院一筋で診させていただけるのは、本当に幸せなことです。今の時代は特に、なかなかここまで長く一家何世代でクリニックをやっているというところも多くないと思うので、当院の特徴でもあるかもしれませんね。免許取得の際など各種診断書もお出ししていますので、それでいらっしゃる方もいますよ。
時代や情勢に合わせ、変化し続けることを大切に
医療機関を受診する際の目安などありますか?

少しでも体調に違和感を覚えたら、ご相談いただけたらと思います。重症ではないからと勘違いして軽く見てしまい、実は結構大ごとだったということもありますからね。特に当院は、がんの早期発見に注力していますから、例えば下血した場合は、すぐにご相談ください。痔を経験している人だと、下血してもすぐ出血が止まれば放置してしまう人が多いのですが、潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸がんの可能性もあります。処置が必要な場合、他院のご紹介もしますし、痔とがんでは大違いですから、それをはっきりさせるためにも、下血した場合はあらゆる腸の病気を疑って一度診察されることをお勧めします。
今後のクリニックの展望をお聞かせください。
上智大学の英語学の名誉教授がおっしゃっていた、「鳥が獲物を狙う時は、一直線に狙うのではなく、獲物の動きによって変えていく」という言葉があります。それは、その時その時に合わせて動きを変える必要があるということで、クリニックにとってもそれが大切だと思っています。この先の新しいことは院長が進めてくれ、必要に応じて変えて行ってくれると思いますが、一つ言えることは、この70年間、時代や環境に合わせてやってきたので、これからもそこは変えずに革新し続けて、地域の皆さまに貢献することを大事にしたいです。当院では、開業当初からのすべての方の死亡診断書を今でも大切に保管しています。病院で最期を迎えることを嫌がる方もたくさんいますし、最期をお看取りするということは、地域への貢献にもなっているのかなと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

親子2人、さまざま患者さんのご相談に応じてベストな診療の提供に努めていきたいと思います。当院は高校生以上の大人の方は、どなたでもお越しいただけますので、ご自身やご家族にちょっとした体調に不具合や、不安なことがあれば、ぜひお気軽に相談にいらしてください。じっくりお話をお聞きして、地域の皆さんの医療の道しるべになりたいと思っています。