速水 久嗣 院長の独自取材記事
かまくら泌尿器科
(鎌倉市/鎌倉駅)
最終更新日:2025/05/14

鎌倉駅から続くにぎやかな小町通りも、小道に折れると途端に閑静な住宅街が広がる。駅から近い利便性の良さと落ち着いた雰囲気を兼ねた場所に立つ「かまくら泌尿器科」は、1992年に開業した泌尿器疾患を専門とするクリニック。院長の速水久嗣先生は、大学病院や基幹病院の泌尿器科で培った経験と、先進機器の導入により、地域に専門性を追求した治療や検査を提供してきた。そのモットーは「高度な医療を、素早く、手軽に提供すること」。開業から30年以上変わらぬ想いで診療を続ける速水院長は、現在、病診連携にも力を入れている。「泌尿器に関して何か悩みや不安があれば気軽にいらしてください」と穏やかな笑顔で話す速水院長に、診療に対する想いや、開業時のことなどを振り返ってもらった。
(取材日2025年4月23日)
フットワーク軽く迅速に、専門的な治療や検査を提供
こちらではどのような症状に対応していますか?

泌尿器科のクリニックとして、泌尿器の相談を幅広く受け入れています。男性ですとおしっこが出にくい、痛みがある、尿が漏れてしまうなどのお悩みが多く、女性は尿失禁で悩まれていらっしゃる方が多いですね。現在当院では手術は行っていないのですが、周辺の病院と連携して適切な医療の提供に努めています。2025年4月から、湘南鎌倉総合病院より3人、横浜市立大学附属病院より1人の医師が非常勤として当院で診療を行っており、病院との連携もしやすい体制になっています。女性の医師も1人いますので、女性の泌尿器疾患を診やすくなりました。
診療のモットーを教えてください。
「高度な医療をコンビニエンスに」という考えを1992年の開業当初から持ち、当院でできる範囲の専門的な治療や検査を、周辺の医療施設と連携しながら、素早く、手軽に提供することをモットーとしています。高度な医療のために設備の更新も行い、最近では新しいエコー検査機器を導入しました。大規模病院では難しいフットワークの軽さも当院の特徴です。加えて、提供する医療が大規模病院に劣ってはいけないと考えています。開業時にその目標を据えましたが、事業として成り立つか不安はありました。ですが、結果として地域の方たちの需要は高く、開業の日を待ち焦がれていたとおっしゃってくださる方もいて、今日まで診療を行ってこられました。
フットワークの軽さもクリニックの特徴なのですね。

迅速に、それも適切に、結果を出せる治療方法を選択することを重視しています。患者さんは症状などに悩まれてクリニックを訪れるわけですから、迅速に結果をお渡ししたいんです。前立腺がんではないことも必ず確認しています。まずクリニックではエコー検査を行いますが、当院では私の専門である、直腸から前立腺を診断する経直腸的超音波検査も取り入れ、そこで問題があった際は、その日のうちにCTやMRIの検査ができる医療施設で精密検査を受けていただきます。大規模病院ですと、検査結果を聞くまでに2、3週間かかるところも多いですが、当院ではできる限り1週間ほどで結果をお渡しできるように心がけています。そういったフットワークの軽さを保ちながら、大規模病院に負けない質の高い検査が提供できていると自負しています。
地域に泌尿器科単科のクリニックが少ない時代に開業
開業時は泌尿器科だけのクリニックはとても少なかったとお聞きしました。

そうですね、この辺りには、皮膚科の先生が皮膚科と泌尿器科を標榜して診ているというクリニックはありましたが、泌尿器科単科のクリニックは少ない時代でした。ですので、大規模病院に劣らない高度な治療や検査を手軽に提供することをモットーとした当院の開業を喜んでいただけたようです。私は京都府立医科大学出身なのですが、先輩の知り合いがこの建物の持ち主で、開業したいと考えていた際にここを紹介していただきました。他の場所も見てみましたが、ここは駅から近く、にぎやかな小町通りを曲がった静かな通り沿いで気兼ねなく入りやすいという点も気に入りました。もともとご高齢の方が多いエリアで、泌尿器の悩みを抱えている方がたくさんいらっしゃることも開業の決め手になりましたね。
先生が泌尿器科を選ばれたきっかけや、これまでのご経歴をお聞かせください。
泌尿器科の教授がとても熱意のある方だったことから興味を惹かれ、治療する分野が非常に広いこともこの科に進んだ理由です。泌尿器科が治療の対象としている臓器は、腎臓をはじめ、副腎や副甲状腺などさまざまで、EDの治療など治療分野も幅広いことが魅力でした。経歴としては京都府立医科大学卒業後、大学病院や静岡県の清水厚生病院などに勤務し、名古屋泌尿器科病院の副院長を経て開業しました。前立腺のエコーが専門で、前立腺がん、前立腺肥大症などの治療に携わる中で、先ほどお話しした診療モットーを実現するために開業へと踏み切りました。
クリニックでは前立腺レーザー治療機器も早くに導入されたそうですね。

前立腺レーザー治療機器による手術は現在行っているクリニックも多く、保険適用にもなる治療ですが、当時は病院レベルでも珍しいものでした。前立腺肥大症のレーザー手術を受けに各地から患者さんが訪れる病院が北海道にあり、そこで研鑽を積み、当院での治療をスタートさせました。そこまで一般的ではない治療を始めたのには、やはり大規模病院に負けたくないという想いがあったからです。従来の前立腺肥大症手術(TUR-P)は、出血すると止まらなくなる可能性があり、クリニック規模ではリスクが高いものでしたので、出血をほとんどさせないことが特徴のレーザー治療機器の導入を決意したのです。現在手術は行っていないのですが、そうした先進的な医療の提供は変わらず診療のモットーとしています。
病診連携も行い、地域に高度な医療を届け続けたい
開業からこれまで、印象深い出来事はありましたか?

いろいろな方が来てくださるので思い出深いことはたくさんありますが、息子が医師となって同じ泌尿器科の道に進んだのはすごくうれしかったですね。医師になるように勧めたことはないですし、他の科を選ぶ可能性も高かった中で、こうして泌尿器科の医師になったというのは感慨深いです。2020年には分院として息子が院長の「ぐみょうじ泌尿器科」が開業しました。当院を開業したときと比べてクリニックの数が増え、場所を決めるのは大変でしたが、弘明寺駅近くがエアーポケットのように空いていたんですよ。今は当院で手術を行っていないので、尿失禁の患者さんなどを分院に紹介するなど、連携して診療が行えます。
休日はどのようにお過ごしですか?
妻と犬と一緒に旅行したり、昔からやっているゴルフに友人と行ったりしています。あとはキャンピングカーを買ったので、それで小旅行に出かけたりもしていますね。もともとキャンプに興味があったわけではないのですが、息子と孫たちがよくキャンプに行っているので、その仲間に入れてもらおうと思いまして(笑)。一緒に小旅行することができて楽しいですね。
地域にとってどのようなクリニックであり続けたいですか?

大規模病院に劣らない高度な医療を、フットワーク軽く提供していくことを、開業時から変わらず、これからも追求し続けていきたいと思っています。加えて、今後は地域の病院との連携を深めて、手術や精密検査をよりスムーズに行えるようにしていきたいですね。スタッフも開業当初から勤務している者もおり、温かくお迎えしますので、泌尿器に関して何か悩みや不安があれば気軽にいらしてください。できる範囲のことは当院で対応し、必要に応じて近隣の病院と連携して、これからも地域の皆さんの健康維持に貢献していきたいと思います。