土居 真太郎 院長の独自取材記事
浜町どいクリニック
(中央区/馬喰横山駅)
最終更新日:2026/08/19
馬喰横山駅から徒歩2分、浜町、東日本橋、人形町各駅からもほど近い「浜町どいクリニック」は、首・肩・腰・膝の慢性的な痛みをはじめ、神経痛、頭痛、顔面の痛み、帯状疱疹の痛みまで幅広く診療するペインクリニックだ。神経ブロックを用いた専門的な治療に加え、姿勢や体の使い方の指導、丁寧な問診を通して痛みの背景にも目を向ける。麻酔科を母体とする専門性を土台に、整形外科領域から生活習慣に起因する痛みまで幅広く向き合い、必要に応じて適切な医療機関へつなぐ体制も整える。今回は土居真太郎院長に、診療の特徴や患者への向き合い方、今後の展望について聞いた。
(取材日2026年4月16日)
地域のかかりつけ医の機能も持つペインクリニック
どのような診療に対応していますか。

当院では、ペインクリニックとして首・肩・腰・膝などの慢性的な痛みや帯状疱疹の痛み、頭痛、顔面の痛み、その他原因不明の痛みまで幅広く診療を行っています。また、患者さんの訴えは整形外科領域と重なることも多く、捻挫や骨折などの外傷にもできる限り対応しています。院内で診られるものは診て、より専門的な処置や手術が必要な場合は適切な医療機関にご紹介します。最近は内科をはじめ他診療科のご相談も増えており、地域のかかりつけ医としての役割もより強く意識するようになりました。健康診断や主に成人向けの予防接種も扱っています。
整形外科や内科とどのように違うのでしょうか。
整形外科が骨折の処置や手術など外科的な対応を担うのに対し、ペインクリニックは「痛み」そのものが治療の対象です。例えば、骨折した骨が手術で繋がったとしても、痛みが残っていればその痛みが無くなるようにケアしていく診療科です。治療法の選択肢として、神経ブロックのように神経に直接働きかけたり、強い鎮痛薬を用いたりすることも特徴です。もともとは麻酔科を母体としていますので、手術中や術後の鎮痛で培った技術を日常診療にも生かしていますね。手術で疼痛が緩和できる場合はタイミングを見極め、整形外科などへ適切につなぐことも重要な役割だと考えています。
特に多いのはどのような症状ですか。

首・肩・腰・膝などの痛みです。20代から60代まで幅広くご来院いただく中で、高齢の方は加齢に伴う関節痛や神経痛を背景にした訴えが目立ち、働き世代ではデスクワークによる肩凝りや腰痛で受診される方も増えていますね。またお子さんは捻挫や打撲などの外傷のほか、「よくわからないけど子どもが『痛い』と言っている」など保護者の方からご相談を受けることがあります。原因のはっきりしない痛みでも、これまでに似た訴えや希少な痛みを扱ってきていますので、多くのケースで「その痛みは知っていますよ」と受け止めることができるのも当院の強みの一つ。患者さんや保護者の安心につなげていけたらと思っています。
神経ブロック注射とはどのような治療ですか。
神経ブロック注射は、痛みに関わる神経に薬剤を直接作用させることで疼痛の緩和を図る技術です。慢性の痛みには感覚神経だけでなく交感神経が関係しているものも多く、神経ブロックで両方、または一方を鎮静化させることが望めます。大きな疼痛緩和が期待できる反面、大きな副作用や合併症を引き起こす可能性もあります。神経ブロックでないとなかなか取ることが望めない痛みがある一方で、筋肉のこわばりが強い方はトリガーポイント注射でぎっくり腰や頸肩腕症候群を治療したり、超音波装置を用いて行う関節内注射で肩関節周囲炎や膝関節炎を治療したりします。頭痛や顔面痛にもトリガーポイント注射や末梢の安全性に配慮した注射で対処することが多いです。
正しい姿勢は子どもたちを参考に
痛みを感じても動かしたほうが良いのでしょうか?

そのとおりです。ひと昔前は痛みを感じたら安静にすることが推奨され、実際にそのようにする患者さんがほとんどでした。しかしそれだけで症状が緩和することはまれな上、ご高齢の方ですと寝たきりにつながりかねません。現代では、ある程度動かしながら治療していく方法が国際的なスタンダードになりつつあります。ただし、やみくもに動かしてはいけません。その症状に合ったストレッチ方法や程度があります。私は患者さんに「どのような内容を、どのくらいやるのか」の宿題を具体的に示すようにしています。
働き世代に向けて、生活上の注意点を教えてください。
デスクワークの方を中心に首・肩・腰のお悩みが増えています。「ぎっくり腰」などいわゆる筋肉痛ですね。適度な運動とストレッチが有用ですが、姿勢の悪い方は姿勢を直さないと根本的な解決になりません。椅子に座る姿勢の指導や座ってできるストレッチの方法を指導することが多いです。また意外な原因が「靴」です。大きすぎる靴を履いていると靴の中で足がずれます。それを止めようとして膝に負担がかかります。足首が着地の際に内側に過度に曲がってしまっている方もいらっしゃいますね。靴ひもをきちんと結んだり中敷きを工夫したりすることで解決することもありますので、痛みを感じたらすぐにいらしてください。
体のバランスを保つためには姿勢が重要なのですね。

はい。私にそれを実感させたのは、子どもたちの姿勢と、12年間続けているバイオリンの音色でした。バイオリンで音を出すには弓に自分の腕の重さ、ひいては体重をかけなければならないのですが、腰が後ろに引けた姿勢でバイオリンを弾くと、弓がしっかり押せず弱い音しか出せません。自分の姿勢の悪さを実感していた頃、ふと子どもたちを見て気づいたことがありました。なぜ小さな子どもでもちゃんと立てるのか? 子どもの体は大きくS字のカーブを描く形で、体の力が程良く抜け、骨盤はしっかり立っています。小さな体で大きな頭を支えていられるのは、頭の重さをS字の脊椎で上手に骨盤から膝、足へと逃がしているからなんですね。子どもたちの姿勢を参考に自分の姿勢を改めてみたところ、バイオリンの音色が変わったんです。骨盤が正しい位置にあると体はきれいにS字のカーブを描き、手先まで正しく力が行きわたることを実感しました。
痛みに強いプライマリケアを軸に地域を支える
検査について教えてください。

当院では、整形外科領域の診断にエコーを積極的に活用し、関節の状態や炎症の部位をその場で確認しながら診療を進めていきます。神経ブロックでも、細かい神経や炎症の中心を見極めて薬剤を届けやすくなるため、少ない薬剤量で治療を進められるのが利点です。院内には単純エックス線、心電図、血管の状態を確認するための検査機器も備えています。大切なのは、痛みを整形外科的なものと決めつけないこと。実際には足の痛みの陰に血管の詰まりが隠れている場合もあり、エコーや血管評価の検査で危険な兆候を拾い上げ、救急搬送につながるケースも珍しくはありません。
診療で大切にしていることはありますか?
患者さんに安心していただくために、話を聞くことと、わかりやすく説明することの両方を大切にしています。どんな生活を送り、何を望み、何に不安を感じているのかまで聞いていかないと、その方に合った治療方針が見えにくいのです。そのため、診療では必要な範囲で丁寧にお話を伺うことを大切にしていて、10分、15分ほどかけて情報を引き出すこともあり得ます。痛みの中には、そうしたやりとり自体が症状の整理や安心感につながるケースもあるからです。また、説明の場面では、自分自身の骨折や肩の痛みの経験が生きています。骨折後にどれくらい痛みが続くのか、腫れがどのくらいで引くのかを実感をもってお伝えできますし、麻酔科出身で今も手術室に入っていますので、手術の内容や術後の経過も具体的にご説明できます。
今後は、地域のかかりつけ医としてどのような役割を担っていきたいとお考えですか。

プライマリケアの領域をさらに深めていきたいですね。痛みで受診された方が、それ以外の体調不良や他診療科の悩みも相談されることも考えられ、実際に腰や膝が痛くて遠くの病院まで行けない高齢の方から、「ここで何とか見てもらえませんか」というご相談もあります。内科的な治療やお困り事の相談も含めて、まず受け止められるクリニックでありたいと考えています。私自身、プライマリケア関連の講習を継続して受け、内科領域の内容もガイドラインに沿って学びながら知識を更新しています。当院でできることは行いつつ、内容に応じて適切な病院へつなぐことが大切です。日々の体の痛みから手術後の痛みケアまで支え、「まず相談してみよう」と思っていただける存在になりたいですね。

