長岡 理大 院長の独自取材記事
長岡産婦人科クリニック
(佐倉市/京成臼井駅)
最終更新日:2025/08/12

京成臼井駅から徒歩7分の住宅街に位置する「長岡産婦人科クリニック」。院長を務める長岡理大(ながおか・まさひろ)先生は、東邦大学医療センター佐倉病院や東京女子医科大学附属足立医療センターを経て、2021年より同院にて勤務。2022年には、父であり現在は理事長を務める長岡貞雄先生から引き継ぎ、院長に就任した。日本産科婦人科学会産婦人科専門医の資格も持つ長岡院長に、クリニックの特徴やこだわり、診療をする際に心がけていること、今後の展望などについて尋ねた。
(取材日2025年7月16日)
寄り添う心で、安心安全な出産をめざす
まずは、先生のご経歴を教えてください。

東邦大学医学部を卒業後、関連施設の東邦大学医療センター佐倉病院で研修医として2年間勤務しました。その後は産婦人科の医局で6年間研鑽して、産婦人科専門医の資格を取得しました。さらに東京女子医科大学で働いた後は当院に戻り、院長に就任しました。私が医師をめざした根幹にあるのは、父の存在です。父は佐倉市で40年以上前にこのクリニックを開業し、その背中を見て育ちました。地域に貢献する父の姿を一番近くで見てきたことが、私にとって医師になる最大のきっかけでした。私も父のようにこの地域を盛り上げ、医療を通して貢献していきたいと強く思っています。
診療において大切にされているモットーは何ですか?
診療において最も大切にしているのは、安心で安全なお産をサポートすることです。そのために、患者さんとのコミュニケーションを重要視しています。些細なことでも患者さんが気軽に話せるような雰囲気をつくるため、まずは「来てくれてありがとうございます」という気持ちで向き合うことを心がけています。日々話しやすい姿勢を意識して、疲れている時もできるだけ笑顔を絶やさず、患者さんの声に耳を傾けられるよう努めています。また、患者さんからの意見は真摯に受け止め、できる限り改善につなげようと努めています。当たり前のことかもしれませんが、すべての患者さんと向き合い、不安を一つでも多く軽減できるように寄り添っていくことに重きを置いています。
妊婦健診のご家族の付き添いを再開された背景には、どのような思いがありますか?

新型コロナウイルス感染症が流行し、ご家族の付き添いを制限せざるを得ない時期が続きましたが、7月より付き添いを再開できるようにしました。特にパートナーの方には、赤ちゃんが成長する様子をリアルタイムでご覧いただき、妊娠や出産の喜びをともに実感してもらえたらと考えています。エコー検査の写真や動画を見るだけでは伝わらない、その場の感動や実感を共有していただくことが何よりも大切だと考えています。今後はパートナーの方にもお産や産後の正しい知識を身につけていただけるよう、環境を整える予定です。ご家族全員で新しい命を迎える準備ができるよう、これからも柔軟な対応を心がけていきます。
無痛分娩で痛みの少ない出産を
無痛分娩を取り入れられているそうですね。

無痛分娩を望む患者さんは多く、当院でも積極的に取り組んでいます。地域では無痛分娩に対応している施設がほとんどないからこそ、地域貢献の一環としてこの取り組みを強化しました。以前は技術や設備の面からお断りしていましたが、時代のニーズに応えるため準備を進めました。
無痛分娩を検討される方に、特に伝えたいことはありますか?
安全な分娩を第一に考えているため、肥満や血液凝固系の異常、背骨の手術などがない妊婦さんであれば、基本的にはご利用いただけます。無痛分娩はまだ新しい選択肢で、不安や疑問を抱える方も多いかと思います。当院では患者さんの不安や疑問に寄り添い、安心して出産に臨んでいただけるようサポート体制を整えています。また、無痛分娩に関する勉強会も開催しますので、ぜひご参加いただき、理解を深めていただければ幸いです。
産後ケアにも力を入れていると伺いました。

当院は、近隣では早くから産後ケアを導入するなど、産後のお母さんの支援に力を入れています。この取り組みの大きな目的は、出産後の心身ともに大変な時期を過ごすお母さんに、少しでもご自身の時間を持って、ゆっくりと休んでいただきたいという思いからです。お父さんも育児休暇が取得しやすくなった時代とはいえ、十分な休息が取れないお母さんも多くいらっしゃいます。当院の産後ケアは24時間体制でご利用いただけます。赤ちゃんをこちらでお預かりする間に、お母さんはゆっくりと休んでいただけます。また、育児の不安やわからないことなど、スタッフが丁寧にお話を伺い、寄り添いながらサポートします。
スタッフとのコミュニケーションでは、どのようなことを意識されていますか?
普段から季節に応じたイベントを一緒に楽しんだり、日々の業務の中でも一人ひとりと気軽に話す時間を大切にしています。チームワークはスタッフとの日々のコミュニケーションから生まれているので、こうした取り組みを通して、風通しが良く、お互いに助け合える職場環境づくりを心がけています。
心温まる産後ケアで、産んだ後も支える
学校医もされているそうですね。

はい。昨年引退した前院長である父から地域の学校医の業務も引き継ぎ、子どもたちの健康を守る役割も担うことになりました。父の思いを受け継ぎ、地域医療の一員として務めています。学校医として健康診断を行う中で、最近特に感じるのは、外国籍のお子さんが非常に増えたということです。特に佐倉市では、イスラム教を信仰するお子さんが多く、肌や髪を見せないという文化に配慮する必要があります。そのため、子どもたちの文化を尊重しながらも、健康診断の目的のために、服の上からでも慎重に診察を行うようにしています。もちろん、直接診るのが一番良いのですが、まずは相手の文化に敬意を払い、柔軟に対応することが大切だと考えています。また、普段の外来診療にも外国籍の患者さんが多くいらっしゃるので、通訳の方に同席していただくなど、言語や文化が違っても、一人ひとりの声にしっかりと耳を傾けられるよう努めています。
今後の展望を教えてください。
今は分娩の保険診療が始まるという大きな変化に直面していますが、どのような状況になっても、地域に貢献し続けるという姿勢は変わりません。今後も子育てや教育の分野でも地域を支えていきたいと考えています。その一環としてネウボラ事業をさらに発展させていきたいと考えています。ネウボラとは「助言の場」を意味する、フィンランド発の子育て制度のこと。生まれる前から小学校に入学するまでのお子さんとそのご家族にワンストップで対応し、育児や教育に関する悩みを気軽に相談できる場を提供するというものです。佐倉市で現在行っている幼児保育施設は少ないので、将来的な立ち上げもめざし、名乗りを上げているところです。これらの取り組みを通じて、子育て中のご家族が安心して働ける環境を整えることで、佐倉市だけでなく千葉県全体の出生数の増加にも貢献したいと考えています。
最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。

些細なことでも、気になることがあればいつでもお気軽にご相談ください。若年妊娠で悩まれている方も、一人で抱え込まずに、どうか恥ずかしがらずにいらしてください。また、「なかなか妊娠できない」「年齢のせいかも」と不安になることもあると思いますが、まずは一度、そう決めつけてしまう前に私たちを頼っていただけたらと思います。何よりもお伝えしたいのは、どうか諦めないでほしいということです。気になること、悩んでいることがあったら、一人で抱え込まずに、ぜひ一度いらしてください。