府川 泰輔 院長の独自取材記事
成田整形外科
(成田市/公津の杜駅)
最終更新日:2025/08/25

成田市橋賀台、外周通り沿いにある「医療法人社団誠富会 成田整形外科」は、スポーツ由来のケガや慢性的な体の痛みなどに悩む地域住民を、診療・リハビリテーションを通してサポートしてきた。2025年4月に院長に就任した府川泰輔先生は、成田赤十字病院で整形外科の手術や診療に加え、救急医療にも携わった経験から、適切なタイミングで最善といえる治療を提供したいと努めている医師。生まれ育った成田の地に貢献したいという志を持ち、理学療法士をはじめスタッフと協力しながら、患者が安心して通える環境づくりを大切にしている。自身もスポーツでのケガを幾度も経験したという府川院長。インタビューでは、患者に深い共感を寄せる姿が印象的だった。
(取材日2025年6月25日)
幼少期の病気がきっかけで医師の道へ
府川先生は成田生まれ、成田育ちだそうですね。

私は5歳の頃に骨の手術をした経験があるのですが、実は病気を見つけてもらったのがこのクリニックで、学生の頃はスポーツによるケガの治療でも通院していたんですよ。手術をして入院していた際、整形外科の先生が優しく接してくれたこと、5歳の私にも手術の内容を丁寧に説明してくれたことを、今でも鮮明に覚えているんです。そこから「整形外科の先生って格好良いな」と憧れるようになり、整形外科医をめざすきっかけになりました。中学生までは野球、高校・大学ではバスケットボールをしており、私自身もケガの痛みやつらさを何度も経験してきました。患者さんの訴えを聞きながら気持ちを理解し、一緒に治療に向き合っていきたいと思っています。
院長就任前のご経験についてもお聞かせください。
地元に医療の面で貢献したいという想いがあったので、千葉大学医学部の大学院を修了後は、長年にわたり成田赤十字病院に勤務していました。靱帯損傷などスポーツ外傷の他、ご高齢の方の変形性膝関節症の診療、人工関節などの手術も数多く手がけました。地域の救急医療も担っている病院でしたので、交通事故のケガで運ばれてくる患者さんも診療してきました。非常に忙しい日常を送っていましたが、多岐にわたる症例が経験できたことは私の糧になっています。当院でもこれまでの経験を生かして、患者さんの適切な診断・治療に努めています。また、MRIの画像診断や手術が必要になった場合に、スムーズに地域の基幹病院にご紹介できる体制を整えています。
診療ではどのようなことを重視していますか?

整形外科に通院される患者さんは、痛みに関する訴えがメインですので、「何とか痛みを取り除いてあげたい」という想いが第一です。患者さんとの会話の中には診断に至るヒントが多々ありますから、患者さんの訴えを丁寧にヒアリングすることを大事にしています。例えば試合が近いから痛みを抑えながら競技を続けたいという患者さんがいらっしゃった際は、適切な検査と診断で競技続行が可能なのか判断します。競技が続けられると判断した場合は、無理のない範囲で指導させていただき患者さんの要望にできるだけお応えできるように努めます。また、お子さんを診療する際は、お子さん本人にも「どこが痛い?」と必ず聞くようにしています。目で見るだけでなく実際に体の触診を行って、痛みが出ている部分を確かめることも欠かせません。
患者の幅広いニーズに対応するクリニックに
患者さんに合わせた治療を提供しているのですね。

患者さんにとって適切なタイミングで治療を進めていくことが大事です。手術も治療の選択肢の一つですが、好きで手術をしたい方はいませんよね。クリニックでできるのは手術前の生活の質を向上させる保存療法です。成田赤十字病院で手術の経験をもとに、手術にいたる前の治療やリハビリテーション等患者さんに適切なアドバイスができると思います。また当院では、私も大学院生から研究をしているPRPを用いた再生医療についても注目をしております。
リハビリテーションにも注力されているそうですね。
理学療法士にも野球やサッカーの競技を経験していたり、足のリハビリテーションに長けていたりとそれぞれ得意分野があります。当院には現在10人の理学療法士が在籍していますので、どんな症状のリハビリテーションであっても誰かがカバーできるようにしています。機器を使いながら高齢の方の筋力をつけるためのものや、スポーツの早期復帰に向けたものまで、幅広く対応できるのが当院の強みだと考えています。また、患者さんのモチベーションが維持できるよう、具体的な成果が数字で見てわかるように、医療用の体組成計を導入しています。私はリハビリテーションの内容をオーダーする立場ですので、理学療法士のスタッフと直接対話を重ねることで、密に連携を取りながらリハビリテーションができるように努めています。
その他に、クリニックの特色にはどんなものがあるでしょうか?

外反母趾や扁平足など、足のお悩みを抱えている患者さんが大勢いらっしゃることもあり、当院ではインソール作製を行っています。歩き方は足だけでなく膝や腰、それに股関節にも大きく影響してきますから、体の負担軽減にもつなげていくため、患者さん一人ひとりに合わせてオーダーメイドでインソールを作製しています。当院でインソールを作製する際は、患者さんの足を見るだけでなく、ご自身の靴をいくつかお持ちいただいて、患者さんの足に合った物を作ることを大切にしています。足底腱膜炎といった足自体の疾患の他、変形性膝関節症など幅広い症状を改善するために、歩く時の体重のかけ方が適切になるような足にフィットしたインソールは有用です。
チーム全体で患者の心と体に優しいクリニックをめざす
患者さんとのコミュニケーション面で、心がけていることは何でしょうか?

やはり患者さんの痛みやつらさに共感することですね。私自身がスポーツでケガと隣り合わせの学生時代を送ってきたこともあり、学生さんが部活で最後の大会が近いことを聞くと、何とか出場させてあげたいという気持ちになります。また、すべての患者さんに共通することですが、どんな治療がしたいのか、どんな望みがあるのかを丁寧に伺うことで、患者さんの思い描くゴールにたどり着くまでのお手伝いがしたいと思っています。例えば「つえを使わずに歩けるようになりたい」というゴールを設定している患者さんの場合毎回の診察で、どのくらい目標に近づいているかを具体的にお伝えし、患者さんが見通しを持てるような言葉がけをしています。
スタッフの方には、どのように想いを伝えていますか?
ミーティングなどスタッフが集まった際によく話すのは「患者さんに優しいクリニックにしよう」ということです。日頃から、足を痛めている患者さんのために駐車場まで同行するといった姿を見ると、とても頼もしく思いますね。私自身が医療の仕事は心から良い仕事だと思っていますし、だからこそチームで楽しく仕事できることが大切だと考えます。ありがたいことに、私が院長に就任してからも大勢の患者さんが来てくださり、多忙な日々ではあるのですが、「忙しいということは、それだけ必ず誰かが喜んでくれていると思って、皆で頑張ろう」という想いを共有するようにしています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

長年にわたって整形外科の医師を続けてきて、人間の「自分の体を治そうとする力」の強さをつくづく感じます。患者さんご自身の「治す力」にプラスして、より良く・より早く・よりスムーズに痛みが緩和されるように、少しでも私がお役に立てばうれしいですね。地域の方から「あそこに行ったら助けてくれる」、「あの先生に診てもらいたい」と言っていただけるクリニックになることが理想です。大規模病院ですと紹介状が必要なこともあり、受診にハードルを感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、当院は患者さんにとってアクセスしやすいことが大きなメリットだと考えています。どんな些細なことでも、体の痛みがつらい、苦しいといった悩みがありましたら、お気軽にご来院ください。