糖尿病治療は継続することが大切
患者に合わせてやる気を引き出す
ゆずの木台クリニック
(入間郡毛呂山町/東毛呂駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
地域医療と糖尿病治療の専門性を兼ね合わせた診療体制の「ゆずの木台クリニック」。大学病院と医療連携し、眼科・循環器内科を専門とする医師による診療も受けることができる同クリニックには、糖尿病に悩む地元の患者が多く通っている。日本糖尿病学会糖尿病専門医として長年糖尿病治療に向き合ってきた院長の鈴木將夫先生は、「服薬と適切な栄養管理により、重症化の予防や症状の改善が見込める病気。そのため治療の継続が大切」と語る。同クリニックにおける糖尿病治療の実際とその診療体制について話を聞いた。
(取材日2020年8月18日)
目次
足し算と引き算をうまく行い、「食べる楽しみ」をサポートする
- Qかかりつけ医として幅広いニーズに応えていると伺いました。
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A
▲明るく広々とした待合室。大きな時計が印象的
開院するにあたっては、日本糖尿病学会糖尿病専門医として、合併症の予防や検査もできるクリニックにしようと考えました。それで眼科と循環器科を併設し、診察室も別途設けたのです。同時にこの辺りは高齢な方が多い地域ですから、総合内科としても幅広く患者さんのニーズに応えていこうということで糖尿病と総合内科の2軸で診療する体制としました。例えば訪問診療を開業時から行ってきたこともその一環でして、現在でも自宅まで伺って診療をしています。基本的にはクリニックから5kmくらいまでのエリアにお住まいで通院できなくなった方であれば、糖尿病でなくても要望に応えています。
- Q糖尿病の治療において大切なことは何でしょうか?
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A
▲通院の大切さについて話す鈴木院長
患者さんに通い続けてもらうということです。糖尿病は症状や検査異常が消失する寛解はありますが、完治はありません。ですから一生の間、うまく付き合っていくためにも定期的な診断が欠かせないのです。重症化すると人工透析となるリスクもある怖い病気でもあります。そのため初診では糖尿病に対する正しい理解と、治療の実践を促すよう、できるだけわかりやすく説明するようにしています。例えば高齢な方にあまり厳しいことを言っても実践してもらえないことも多いですが(笑)、若い方にはこれからの長い人生にあまり負担とならないよう、厳しく指導することもありますし、そこは患者さん一人ひとりに合わせて治療を行っていますね。
- Qこちらのクリニックの糖尿病治療の特徴を教えてください。
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A
▲眼科、循環器内科などの診療にも対応
眼科と循環器内科も標榜しているので、もしも糖尿病網膜症の疑いがあれば眼科医師が診療し、心疾患・脳卒中・糖尿病性神経障害などは循環器内科の医師が診察する体制です。つまり患者さんは他の眼科や循環器科の医院にかからなくてもここでワンストップで予防と治療ができるのが大きな特徴ですね。また、国と日本医師会などが策定した糖尿病の人工透析患者数の減少をめざす「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」に当院も参画していまして、患者さんには予防プログラムへの参加呼びかけを積極的に行っています。これは医師や管理栄養士が電話で現在の状況を聞き取り、追加指導などを行うことで重症化を未然に防いでいこうという取り組みです。
- Q管理栄養士による食事指導について教えてください。
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A
▲院内の検査機器も充実している
糖尿病治療の主軸は日々の栄養管理ですから、患者さんにやる気になってもらうことが大切です。食品ごとのカロリー計算や栄養素の分類表などは一度覚えてしまえば、あとは日常の食生活の中で足し算と引き算をしてもらって、仮にに症状が進行してもお菓子やアルコールがまったくダメというわけでないことなども管理栄養士が教えてくれます。できるだけ生活を豊かに保ちながら糖尿病とうまく付き合うコツも学んでいただければと思いますね。他にも当院には糖尿病療養の指導についてスキルを持つ看護師が3人います。適切な運動の仕方やケガをした際の処置についても学んでいますので、不安なことがあればなんでも聞いていただければと思います。
- Q病院と連携した治療を受けられることもクリニックの強みですね。
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A
▲出身の埼玉医科大学とは今でも厚い信頼関係がある
連携先の埼玉医科大学病院が近いというのは本当に患者さんのメリットだと思います。CTなどの検査予約も当院のパソコンからできますので、病院で長く待つ必要もありません。人工透析や専門性を要する治療・検査を向こうで行って、戻ってきてからの診察はこちらでできるのは、患者さんにとってすごく楽だと思うのです。眼科や循環器の先生も、私がまだ同大学の内科講師を務めていた時代に「開業にあたり地域医療を手伝ってほしい」と頼んで以来の付き合いです。今でも大学が行っている講習会に通っていますし、地元開業医と行っている病診連携の症例研究会にも参加し、最近でも私が2回ほど症例報告者となりました。そんな密接な関係性です。