権田 裕亮 院長の独自取材記事
権田医院キッズニイクリニック
(さいたま市浦和区/北浦和駅)
最終更新日:2024/07/26
北浦和駅から徒歩6分の住宅街にある「権田医院キッズニイクリニック」は、地域に根づいた小児科のクリニックだ。初代院長が大正時代に開設、この地に移転してから先々代、先代と診察を引継ぎ、70年以上にわたり地域の子どもたちと家族の健康を支えてきた。2024年4月には、4代目となる権田裕亮(ごんだ・ゆうすけ)院長にバトンタッチして名称を変更。内装も明るい雰囲気にリニューアルし、新たに小児腎臓の専門分野も加えた診察を開始した。小児科全般の治療や検診などに幅広く対応しながら、新たに夜尿症(おねしょ)やお漏らしなどの悩みを抱える子どもの診療にも取り組み、「地域の皆さんに頼られるクリニックであり続けたい」と穏やかに明るく話す権田院長に、診療内容や小児科医療へかける思いを聞いた。
(取材日2024年6月21日)
院長職をバトンタッチ。長年築いた信頼に応えたい
長年地域で親しまれてきた、小児科のクリニックとお聞きしました。
それまで大学病院に勤務していましたが、今年4月に父である現在の理事長からクリニックを引き継いで院長となりました。同時に待合室などの内装をオレンジ色基調にリニューアルし、電子カルテの導入など時代に合わせた見直しも行っています。父の代から「一人ひとりをわが子のように診る」方針ですが、患者さんのことを家族のように思いながら診る姿勢は受け継いでいきたいです。祖父の代から3世代にわたってご来院いただいている方もいますし、診察しているお子さんの親御さんの中にも子どもの頃から顔を知っている方が多くいます。そういった患者さんの存在はうれしく思いますし、築き上げてきた信頼に応えようと身が引き締まる思いはありますね。
クリニックを継がれるまでの経緯をお聞かせください。
北浦和で育ち、中学までは地元の学校に通いました。2012年に杏林大学医学部を卒業後、埼玉県内の病院で研修医となり、2014年からは順天堂大学の小児科に所属しました。引き継ぐ直前まで順天堂大学医学部附属浦安病院に勤務していたので、小児科の経験は10年近くあります。祖父も父も医師でしたので、子どもの頃から医師になることをめざしていました。小児科を選んだのは、2年間の研修を受けて子どもの病気を診ることが自分に合っていると思えたからです。普段から甥っ子、姪っ子のお世話をすることもあるなど子どもと接するのは好きですし、元気のなかったお子さんが診療後に笑顔を見せてくれたりするとやりがいを感じます。また小児科の病気は、先天性の疾患や感染症など、本人の努力ではどうしようもないことが原因であるケースばかりなので、何とか力になりたいという使命感が持てますね。
小児科の医師としての強みを教えてください。
これまでの診療経験から、多くの患者さんが来院するきっかけになる一般的な発熱、咳、下痢、嘔吐などの小児科の症状と、予防接種・健診などに全般的に対応できますし、小児科についてのご相談を広く受けられることが強みです。一方で小児科の中では、小児腎臓を専門にしています。埼玉県立小児医療センターの腎臓科で臨床に携わった経験があり、これまで所属していた順天堂大学でお世話になった教授や指導者に夜尿症の研究に関わる方が多く、夜尿症については特に詳しく勉強してきました。私は小児科医ですが、日本腎臓学会腎臓専門医も取得しています。その経験を生かし、小児科の外来診療にしっかりと対応しながら、腎臓に疾患のある患者さんも診察していきたいと考えています。例えば健診で尿の異常が見つかったお子さんをいつものかかりつけ医が診ることができれば、患者さんにとっても大学病院に通う負担が減るメリットがあると考えています。
腎臓を専門とする外来でより充実した医療提供をめざす
夜尿症に悩む患者さんには、どのような対応をされていますか?
夜尿症に対しては、診察と問診を行い生活指導をしていくことが多いです。生活指導は、寝る前の飲水制限や夕食の塩分を控えること、寝る前にトイレに行くことなど、一般的に考えられるおねしょの対策を行います。その他にご家族のご希望があれば、投薬やおむつにアラームを着けるトレーニングなども取り入れます。そのお子さんの失敗しやすいパターンや原因に応じて、生活指導の内容や薬を変えていきます。便秘などが併存する場合は併せて治療しますし、多動性のあるお子さんはトイレで失敗しやすいので、それについても考慮しながら対応を考えていきます。
患者さんに合わせた治療を行われているのですね。
はい。夜尿症の診療はまだ新しい分野です。この10年ほどで、幼稚園・保育園や小学校の先生方など、保育・教育関係者の間での認識が広がってきていると思います。以前は小学校高学年くらいで林間学校などの行事をきっかけに治療に来られるケースが多かったのですが、近年は小学校低学年から治療に取り組む方が増えているようですね。おねしょが小学校に入ってからも続く場合は、本人の自尊心にも関わる場合があります。多くの患者さんは治療を始めて1年以内に改善が望めることが多いですが、早めの治療が自信につながり、勉強や運動にも胸を張って取り組めるようになるので、治療することで自尊心を身につけることを目標にしています。
クリニックの将来的な構想を、どのように考えていらっしゃいますか。
先代である父の代は、小児科全般の幅広い分野を一人で診察するスタイルでしたが、今後はできればもう1人小児科のドクターを迎え、二診体制にして、自分の専門も生かしながら診療内容を充実させたいと考えています。さらに、子どものアレルギーやメンタルヘルスなど、小児科でも専門的な対応が必要だと感じている分野について、自分の人脈も生かして診察できるドクターに来ていただき、外来診療の時間を設けたいと考えています。
子どもにも家族にも、話しやすい雰囲気を大切に
診察の際に、心がけていることはありますか。
患者さんであるお子さんご本人から話ができる場合は、しっかり丁寧に話を聞くことを心がけています。ご家族や付き添いの方などから症状について聞いていたとしても、改めて本人に話してもらうことで、どう感じているかといったことまで適切に理解できると考えています。また、ご家族や付き添いの方とも目を見て話すようにして、安心して何でも相談してもらえる雰囲気で接したいと思っています。検診の際やついでの話からも、患者であるお子さんの普段の様子が把握できることがありますので、そこは大事にしたいです。今はインターネットでの間違った情報の拡散や感染症の流行で不安を抱えた方も多くいらっしゃいますので、患者さんと周りの皆さんの心配をしっかり受け止めるためにも、接し方に気をつけています。医療機関が好きなお子さんは少ないと思いますので、待ち時間が長くならないよう、なるべく楽しく過ごしていただけるようにも気を配っています。
休日はどのようにリフレッシュされていますか。
趣味にしているのは、サッカー観戦ですね。北浦和はサッカーの街ですので地元のクラブを家族で応援していて、週末はみんなでスタジアムに試合を観に行くこともあります。私も小学校から大学までサッカーをしていて、フォワードのポジションを受け持っていましたので観戦は熱が入ります。今は、特にベテランの同世代の選手を応援していて、その活躍に元気をもらっています。
最後に読者にメッセージをお願いします。
地域にずっと長くある小児科のクリニックで、さまざまな症状についてご相談いただける体制を整えていますので、「かかりつけ医」としてお子さんとその周囲の皆さんに、これからも頼りにしていただけたらと思っています。スタッフも十数人おりますが、父の代から勤務している方が多いので、経験豊富な看護師さん、事務員さんがそろっていて、予防接種なども安心して任せられています。またお子さんは医療機関にかかる回数が多いと思いますが、気になっていることを些細なことであっても話してもらえるように心がけていますので、発熱などの症状でクリニックに来られたタイミングで、その他のお悩みについてもできるだけ伺い、お子さんの健康についての悩みや不安を解消できる場所になれたらと思っています。