河西 玲央 院長、河西 信勝 先生の独自取材記事
かさい医院
(さいたま市浦和区/与野駅)
最終更新日:2021/10/12

さまざまなことを相談できるかかりつけ医として地域で信頼されている「かさい医院」。河西玲央院長の新しい医療知識と、前院長の河西信勝先生の長年の経験を生かし、幅広い世代のさまざまな疾患に対応している。河西院長は消化器および循環器系で、信勝先生は甲状腺疾患の分野で、それぞれ専門性を発揮している。2020年5月にリニューアルされ、院内は清潔感がありながらも落ち着ける雰囲気だ。バリアフリーなのも患者への配慮が感じられる。院外には発熱症状で受診する患者専門のドームが設置してあり、院内の患者と一切接触しないようにしている。河西院長、信勝先生ともに明るく朗らかな人柄。そんな2人に新しくなった医院の特徴や患者への思いなどを聞いた。
(取材日2021年7月30日)
院内は完全バリアフリー、検査機器も一新
2020年にリニューアルされたそうですが、こだわった点について教えてください。

【河西院長】老朽化に伴い、2020年5月にリニューアルしたのですが、施設だけでなくエックス線撮影装置や内視鏡などの機器も一新しました。こだわったのは入り口も診察室もすべてバリアフリーにしたことです。それから甲状腺ホルモンの検査結果が当日に出る検査機器や16列CTなど、先進の機器を導入したことですね。
【信勝先生】先日車いすで来られた患者さんが、「ここはすべてバリアフリーですね」と驚いていましたね。完全なバリアフリーはなかなか珍しいようですね。当院はすべての段差をなくしたので、車いすの患者さんも来院しやすいと思います。
現在は河西院長が理事長も兼務されているのですね。
【信勝先生】2018年に理事長も院長も息子に託しました。息子はあまり相談を持ってこないほうなので最初の頃は抵抗を感じたこともありましたが、今はほとんど任せていますね。医院をリニューアルしようと言ったのも息子からの提案です。
【河西院長】役職からは退きましたけど、父は今も最前線で仕事をしてくれています。
お二人で診察をされていますが、患者さんの担当などあるのでしょうか?

【河西院長】長年通っている患者さんですと、私か父かを希望される場合もあります。父の専門は甲状腺で、私は消化器や循環器が専門ですが、私の患者さんで甲状腺の疾患を抱えている方がいらっしゃれば、父からアドバイスをもらいながら診察を進めていきます。
【信勝先生】逆に心臓に関する疾患の患者さんの場合は利尿剤や心不全の内服薬のコントロールについてなどは息子に聞くようにしています。お互いの専門を生かしつつ、二診制というかたちでさまざまな症状で来られる患者さんに対応しています。
訪問診療にもかなり注力されているようですね。
【信勝先生】息子と2人で対応するようになって、私が1人で診察していた頃の倍の人数、患者さんを診ることができるようになりました、夜中のオンコールに関しても、息子がファーストコール、私がセカンドコールといった感じでどちらかが対応しています。
父のように患者の役に立てるような医師をめざす
医師になろうと思われたのはどうしてですか?

【信勝先生】軍医をしていた私の叔父から「おまえは医師に向いている」と言われたのが直接のきっかけです。私自身は建築家をめざしていたのですが、叔父の意見も聞いて建築系と医学系と両方受験したら、どちらも合格して、進路を叔父に相談したところ、私の性格が医師向きだと言われたのでこちらの道に進みました。どういったところが向いているのかという詳細は、今となっては不明ですが。
【河西院長】やはり父の影響です。弟も私と同じ心臓血管外科の医師をしています。子どもの頃から周囲からなんとなく言われていましたしね。
親子で一緒に診療されている中で感じること、影響を受けていることなどありましたら教えてください。
【河西院長】父は患者さんの話を聞くのが上手ですね。患者さんが抱えるさまざまな相談に乗って「町の医療相談所」としての役割を果たしながらも甲状腺疾患の専門性を発揮するなど、幅広く患者さんをサポートしてきたので、私も総合診療の分野の知識や経験をさらに高めつつ、これまで培った心臓血管系や消化器系の専門性も生かして患者さんのお役に立ちたいと考えています。
【信勝先生】私も開業時に経験したことですが、外科医というのは手術を中心とする勤務医の立場からメスを置いて開業するのに少なからず抵抗があるものなんです。それを思い切って戻ってきてくれたので、息子には感謝しています。消化器疾患や循環器系疾患は息子の得意分野で新しい知識も豊富ですので、不明な点はすぐに相談しています。訪問診療に関してもずいぶん助けられていますし、院長として頼りにしています。
河西院長は消化器外科や心臓血管外科の医師としても研磨を積まれたとか。

【河西院長】大学卒業後は初期研修を都内のがん専門病院で行い、その後福島県郡山市の基幹病院で勤務していました。その間に東日本大震災がありまして、震災の被害はさほどではなかったものの、避難などで職員も少なくなってしまい寂しい思いもしましたね。しかし人手が少なくなってしまったぶん、患者さんのお役にも立てましたし幅広く豊富な経験を積むことができました。また、後期研修の一環で心臓血管外科の手術を見学させていただいた時、その難易度の高さなどに興味を持ちまして、郡山の病院の後は川崎にある大動脈瘤疾患を得意としている病院に勤務しました。ここではステント術も含めてかなり豊富な経験を積むことができましたね。大学病院の心臓血管外科のベテラン医師でも、大動脈に関する手術は年間数十例程度と聞いていますが、3年間で多くの手術を担当させてもらえたのは得がたい財産になりました。
遠隔画像診断によって病気の見落としを防ぐ
発熱患者さん専用のドーム型の隔離部屋を設けているようですね。

【河西院長】はい。事前に予約を取っていただいてから来院していただき、外の駐車場のところに隔離ドームがあるので、発熱症状のある患者さんはそちらで診察を行い、抗原検査やPCR検査、会計も含めてすべてドームの中で済ませることが可能です。
【信勝先生】熱のある患者さんの隔離部屋を設置したことで、ほかの患者さんの安心にもつながっていると思います。
16列のCTを導入されたそうですが、どのようなものでしょうか。
【河西院長】精密な画像検査が可能になり、日常診療における診断力の向上に役立っています。また当院では撮影した画像を検査画像の読影を得意とする放射線科の医師に送り、診断レポートを作ってもらうという遠隔画像診断も行っています。私と父の専門外である頭部外傷や脳神経の症状や呼吸器内科の症状などでも、専門の先生が作ってくれたレポートを見ながら患者さんにお伝えすることができるのでとても頼りにしています。CT検査で心臓のフォローをしていたら、肺がんが隠れていましたとか、おなかのフォローをしていたら卵巣子宮がんがありましたといったように、病気の見落としを防ぐ意味でも、こうした連携は今後も続けていきたいですね。
診察をされる上で心がけている点について教えてください。

【河西院長】プライベートな出来事、悩みが体調面に影響することもあるので、なるべく患者さんのお話を聞いて差し上げるように心がけています。家族関係の話や仕事の話など、プライベートの話をしてくださるようになると信頼関係が築けているのかなと感じますね。
【信勝先生】やはりお話を聞いて差し上げるというのが一番ですね。話し始めると止まらなくなって、時として診療が進まなくなってしまうこともあるのですが(笑)、お話を聞くことで、いくらか気持ちが落ち着いてくるのであれば、じっくりお聞きするのも大事なことだと思います。
読者へのメッセージをお願いいたします。
【河西院長】当院は消化器、循環器、甲状腺などの専門的な疾患から内科や訪問診療に加え感染症の外来まで対応しており地域に根差したクリニックとして診療しています。発熱症状のある患者さんの診療は先ほどもお伝えしたように専用のドームを用いて、そのほかの症状で受診された患者さんと完全に分けていますので、安心して来院していただきたいですね。
【信勝先生】訪問診療に関しては、24時間365日対応していますので、何かありましたらご相談ください。