新井 久夫 院長の独自取材記事
新井整形外科
(深谷市/深谷駅)
最終更新日:2023/08/30
JR高崎線・深谷駅から車で約5分、茶売り街道沿いにある「新井整形外科」は、1994年の開業以来、長年にわたり地域の人々の体の痛みに向き合ってきた。院長を務める新井久夫先生は、新潟大学医学部附属病院(現・新潟大学医歯学総合病院)や、数々の総合病院で整形外科の医師として勤務してきた経験豊富なベテランドクターだ。新井院長はさまざまなスポーツに親しみ、特に登山では日本のみならず、世界の名だたる高峰の登頂に挑み続けている。過酷な山々を相手にしてきた新井院長だからこそ、静かな話し方の中にも力強さを感じさせる。インタビューでは、診療におけるモットーや、患者と接する上でスポーツの経験がどのように生かされてきたかなどについて詳しく話を聞いた。
(取材日2023年7月25日)
何より大切なのは「適切な診断」と「適切な治療」
クリニックにいらっしゃる患者さんはどのような主訴が多いですか?
中高生の患者さんの場合はスポーツでのケガで来られる方が多いですね。高齢の方は、加齢によって痛みやすくなった腰や膝の悩みについてのご相談が多い印象です。急な痛みを訴える方が約半数、残りの方は慢性的な痛みを抱えていらっしゃいます。治療には注射薬や内服薬を使い、患者さんの体の状態によっては漢方薬を用いることもありますよ。また、「消炎鎮痛処置」といって炎症を抑えることを図ったり、痛みを和らげたりするための処置を行っています。具体的には、当院のリハビリテーション室にある低周波治療器、首や腰のけん引器による治療が挙げられます。ほかにも当院ではウォーターベッドを導入していますので、こわばった筋肉にアプローチして痛みを楽にするための治療が可能です。
院長が注力している骨粗しょう症の治療について教えてください。
骨粗しょう症とは、骨量が減ることで骨の強度が低下して、骨折しやすくなる病気のことです。当院に来院される骨粗しょう症の患者さんは主に50代以降の女性ですね。自覚症状としては、やはり腰や膝の痛みを訴える方が多いです。骨粗しょう症は、実際に検査をしてみないとわからない病気です。エックス線で撮影をしてみると既に骨折しているというケースもあり得ますよ。ですから、自己判断で痛みを我慢して放っておくのではなく、少しでも痛みや違和感があったら早めに受診することをお勧めしています。当院では骨密度測定器を設置しており、前腕の骨をスキャンして骨密度の測定を行っています。ご自身の骨について不安なことがありましたら、ぜひご相談ください。
診療において、クリニック全体で心がけていることはありますか?
私の診療におけるモットーは「適切な診断」と「適切な治療」です。地域に根差したクリニックのメリットは、患者さんの体の小さなトラブルにもすぐ対応できることにあると考えています。当院で適切に診断を行い、精密検査や手術が必要であれば、日本赤十字社深谷赤十字病院のほか、近隣の総合病院との連携を適宜行っています。そのためにも医師として当然のことですが、私は診断を重要視しているのです。私から見て、当院のスタッフは優しい心と思いやりを持って患者さんに接しているという印象を受けます。ほかにも、患者さんの具合が悪いところにすぐに気づくなど、マニュアルどおりにいかない場面でもしっかり対応する姿は優秀だなと思いますし、私自身とても心強く感じていますよ。
相談しやすい雰囲気で小さな悩み事にも対応したい
院長の大学時代のお話についてお聞かせください。
具体的に医師の道を志したのは高校生の時でした。もともと私は全身をくまなく通る神経に強い興味があり、面白そうだなと思っていましたので、当時先端の脳研究所があった新潟大学医学部に進学しました。大学では整形外科の中でも頸椎・腰椎などの脊椎について勉強を続けました。大学生活を送る中で、さまざまなスポーツにも打ち込みました。夏は野球、冬は距離スキー、それに登山にも挑戦しましたね。距離スキーは大学入学後に始めましたが、私の学年では自分一人しかやっていなかったので辞めるわけにいかなくて(笑)。インターカレッジでは距離スキーのリレーで8位入賞したこともあるんですよ。スキーの強豪校から来た学生もいましたから、練習は非常に厳しいものでした。
大学卒業後に各地の総合病院に勤務されたご経験があるそうですね。
新潟大学医学部附属病院のほか、新潟県内や静岡県内にある数々の総合病院で診療の経験を積んできました。私が勤務していた40年ほど前は、オートバイの事故が今とは比べ物にならないほど多かったので、救急車で骨折した患者さんがしょっちゅう病院に運ばれてきました。一般の整形外科の診療はもちろんですが、交通事故が原因による外傷の手術を行うことが頻繁にありましたね。今は当時よりも大きな外傷を負う患者さんの人数は減りましたが、交通事故が完全になくなったわけではありません。当院では交通事故の治療にも対応しておりますので、交通事故に遭ってしまった場合には、たとえ軽傷であってもすぐに受診していただければと思います。
クリニックを開院した経緯や、先生の診療のスタンスに変化がありましたら教えてください。
私が40歳を過ぎた頃から漠然と開業しようと思っていましたが、両親から「帰ってこい」と言われたこともあり、故郷である深谷市に当院を開院しました。診療における姿勢は総合病院に勤務していた時と変わらず、「適切な診断」に重きを置いて日々の診療にあたっています。大きな病院と異なる点があるとすれば、患者さんの小さな悩み事にも対応できることが挙げられるでしょうか。何でも困ったことがあれば相談に乗れるような雰囲気づくりを大切にしていきたいと考えています。私がスポーツ経験者だから意外に思われるかもしれませんが、実は「無理をしない」ということはとても重要なんです。疲れたなと思ったら早めに休むことの大切さは患者さんにも伝えたいですね。
情報があふれる現代だからこそ伝えたいこと
院長は今までにケガをした経験はありますか?
大きなケガはありませんが、小さなケガはいくつも経験しています。中学生の時はテニス部、高校生の時はバドミントン部に所属し、大学時代は先ほどもお話ししたように数々のスポーツをやっていましたから、足や腰の故障もありました。私自身がケガをすることで、患者さんの痛みやつらい気持ちがわかるようになりましたし、診療にも生かされていると感じています。私がケガをしたときに意識しているのは、あまり不安になり過ぎないことです。むやみに思い悩むよりも、次へ次へという感じで具体的に対策を考えていくほうが私の性格に合っているのかもしれません。スポーツをする中で、ケガはもちろんですが体の痛みなどの困り事がありましたら、当院にご相談いただければと思っております。
大学卒業後もライフワークにされている登山やスキーについてお聞かせください。
登山の醍醐味は、何といっても山の景色が素晴らしいことに尽きますね。高い山では、普段見ている景色とはまったく違いますし、多彩な自然の変化が魅力的です。当院のホームページには私がネパールの山に挑んだ時のベースキャンプの写真などを掲載しています。当院のロゴマークも山とアルファベットのAをモチーフにして、私がコンピューターで作成したんですよ。ちなみに、英語以外にいくつか外国語を習得したのはスキーのおかげなんです。特にイタリア語はラジオの講座を聞いて独学で勉強し、スキーで度々イタリアへ行っていたので自然と会話ができるようになりました。今でも毎年、新潟県にある苗場山へ夏は登山、冬はスキーに行っていますし、海外で登山をする計画もあります。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
近年、患者さんの中にはご自分でインターネットの情報を調べてきて来院される方が増えています。しかし、実際にお話を聞いてみると、「どうしてこれを信じてしまったのだろう?」と思うことがしばしばあるのです。スマートフォンが普及した現代は、容易に情報が手に入りやすくなった一方で、玉石混交の情報の中から適切な情報を得るのが困難になってきているとも感じます。特に医療系の情報は、患者さんから見て取捨選択することが難しいでしょうから、そんな時は専門の医療機関に相談することをお勧めします。当院を受診する際に、些細なことでも疑問がありましたら「インターネットでこんな情報を見たんだけど」とおっしゃってください。適切なアドバイスをさせていただきます。