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山内 泰介 院長の独自取材記事

山内クリニック

(さいたま市大宮区/大宮駅)

最終更新日:2019/08/28

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JR大宮駅から徒歩5分。「山内クリニック」は甲状腺診療に特化したクリニックで、埼玉県内だけでなく、神奈川県や栃木県からも通院する患者がいるという。院長の山内泰介先生は、穏やかで優しい雰囲気。甲状腺の診療に30年以上携わり、一般診療の開業を経て、2012年に移転開業した。甲状腺疾患は疲労感や発汗異常など、症状もわかりにくい。「甲状腺に悩みを抱えた人が、最初に訪れる窓口でありたいですね」と山内先生。取材では不妊と甲状腺の関係や、将来の甲状腺治療の可能性など、先生の甲状腺診療への熱い想いをじっくりと聞いた。
(取材日2017年9月20日)

幅広く甲状腺疾患に悩む人の窓口でありたい

先生はもともと埼玉県川口市で開業されていたそうですね。

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川口市では1994年に開業し、甲状腺診療を含む一般診療のほか、地域の在宅医療や産業医などの仕事を、幅広く行っていました。大宮に移転開業したのは2012年のことです。もともと、1989年に大分県別府市の甲状腺疾患専門病院である野口病院に勤め、勤務医時代から甲状腺の診療に携わり、これを一生の仕事にしたいという思いを持っていました。ですから、甲状腺疾患専門クリニックは私の長年の夢を形にしたものです。当院はクリニックですから、手術や放射線治療、入院や特殊な検査はできず、必要な時は連携する専門病院などに紹介しています。幅広く甲状腺に悩む方たちが最初に訪れる窓口として、甲状腺に特化した診療を提供させていただいています。

初診の患者さんは、どのような診察や検査を受けるのでしょうか?

問診票の記入後、それをもとにお話を聞いて、触診で甲状腺の大きさ、腫瘤や痛みの有無などを調べます。その後、超音波検査と血液検査を行います。超音波検査は甲状腺の形や大きさ、腫瘤がないかを調べ、血液検査では主に甲状腺ホルモンと甲状腺の自己抗体を調べます。また腫瘤が悪性か良性かを見極めるために、必要に応じて細胞診検査を行います。血液検査は1時間で結果が出ますので、当日の診断が可能です。診断の結果、ほとんどの場合通院での治療になりますが、さらに詳しい検査や手術が必要であれば大学病院や専門病院へご紹介しています。通院間隔は、例えばバセドウ病ですと最初の3ヵ月は2週間に1回ですが、甲状腺ホルモン値が安定すれば1ヵ月、2〜3ヵ月と開いていきます。通院のペースは患者さんの症状によってまちまちです。

最近増えている甲状腺の病気はありますか?

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甲状腺がんの中でも、特に1cm以下の微小がんの発見が増えていますが、これはおそらく検査精度が高くなったためと考えられています。ですから、甲状腺がんになる人が実際に増えたというわけではありません。微小がんが見つかった場合、重要なのはがんの種類です。甲状腺がんの9割以上が乳頭がんで、比較的予後の良いがんですが、未分化がんという予後の悪いがんもありますので見極めが大切です。微小がんも乳頭がんであることが多いので、手術になる場合もあれば、中には経過観察になる方もいます。皆さんにお伝えしたいのは、甲状腺がんも、乳がんのようにセルフチェックができるということ。喉仏の2cmほど下、唾を飲み込むと気管と一緒に動く部分が甲状腺で、健常な人はわからないこともあります。そこを触ってみて、しこりの有無や、大きさや形を日頃から確認するようにしてください。おかしいと思ったら検査を受けることをお勧めします。

不妊の原因が、甲状腺によることも

どのようなきっかけで患者さんは来院されるのでしょうか?

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最近はテレビやインターネットでいろいろな情報が得られるので、それを見て来院される方もいます。ただ甲状腺疾患の症状は一般的であることが多く、バセドウ病など甲状腺ホルモンが高い場合、疲れやすい、胸がドキドキする、汗をかきやすくなるなどがあります。反対に橋本病などで、甲状腺ホルモンの分泌量が下がってしまうと、疲れやすい、皮膚の乾燥、便秘などの症状が出ます。更年期障害などの他の病気を疑って受診した医療機関からの紹介や、健康診断で甲状腺疾患を指摘されて来院される方も多くなっています。また、不妊の原因に甲状腺ホルモンが関係していることを不妊治療を行う外来の検査で指摘され、当院に紹介される方も増えています。甲状腺ホルモン薬を服用することで妊娠される方もいるので、不妊と甲状腺の関係については、当院としても注目している分野です。

先生が診療で心がけていることを教えていただけますか?

患者さんがお話になりたいことを、なるべく吸収することです。そして診断結果が出た後は、図などを用いて説明をして、病気や病態をわかりやすく説明することを心がけています。患者さんは何かしら不安を抱えていらっしゃいますから、正確に診断をした上で、詳しく説明をして、正しい情報を伝えることが大切です。もちろん不安に思い過ぎるのもよくありませんが、安心できることと心配しなければいけないことを、はっきりさせることも重要です。大切なのは、患者さんがご自分の病気ときちんと向き合えるようになることだと考えています。

甲状腺疾患は女性に多いイメージがありますね。

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バセドウ病、橋本病、結節性甲状腺腫、すべて女性の方が多い疾患です。年代では、例えばバセドウ病は20〜40代、橋本病は中年の方に多くみられます。このように圧倒的に女性に多い理由として、女性特有の高度な機能と関係していると考えられています。女性には免疫寛容といって、妊娠後期に胎児を異物と勘違いしないよう、胎児を守るために免疫のはたらきを抑制するすばらしい力が備わっています。甲状腺疾患の多くは自己免疫疾患ですが、このすばらしい力のために女性は免疫異常を起こしやすく、甲状腺の病気にもなりやすいと考えられています。甲状腺の病気は、女性に備わった精度の高い機能だからこその反作用であるとも言えるのではないでしょうか。

甲状腺は、形も機能も美しい

先生は甲状腺にどのような魅力を感じていますか?

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甲状腺は蝶が羽を広げて気管に止まっているような、美しい形をしています。そこに、がんができると美しさを損ねてしまうので、取り除いてきれいな甲状腺を守りたいと思うわけです。それから甲状腺がつくる甲状腺ホルモンが少なくなると、脳から「もっと働きなさい」というホルモンが出ます。反対に甲状腺ホルモンが過剰になると、「働かなくていいですよ」という指令が出て調整してくれます。こうした一糸乱れぬ美しい体系を持っているのですが、そこに病気によって異常が起きると、それを是正して、正常に戻したいと思うわけです。形のバランスも、機能のバランスも美しいところが魅力ですね。

スタッフの皆さんとはどのように連携をとっていますか?

私以外のスタッフは、医療事務が7人、看護師が2人、薬剤師が1人および臨床検査技師の4人が在籍しています。臨床検査技師が多いのは、血液検査の採血から結果を出すまでの一連の作業を院内で1時間で行うためです。スタッフに申し送りがあるときは1人に伝えて、それを紙に書いてファイリングしてもらい、全員で共有します。部署を分けるのではなくて、「全員で全部の仕事をする」という意識で仕事をしてもらっています。もちろん、資格がないとできない仕事もありますから、同じことを皆さんがするわけではないのですが、誰が何をしているのか、自分の分野ではなくてもできることは手伝えるようにしています。あとは節目節目でレクリエーションを企画して、みんなの本音を教えてもらう(笑)。スタッフは皆明るくて、いつも助けてもらっています。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

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当院としては、今後、より多くの患者さんのためになるような医療を提供したいと考えています。不妊治療、がんの診断技術、新薬など、甲状腺はまだまだ可能性のある分野です。新しい知識や技術は積極的に導入したいと考えています。また甲状腺についてもっと広く知ってもらいたいと思います。甲状腺ホルモンを正常にできれば普通の生活が送れるようになるので、早めの検査が大切です。甲状腺の病気は、比較的長い時間をかけて治療を行い、完全治癒が難しいものが多いことも確かです。ただ甲状腺ホルモンを正常にすれば、普通の生活ができます。例えば眼鏡をかけて近視は治せませんが、生活は普通にできるようになりますよね。同じように甲状腺疾患も、人によっては薬が必要な人もいますが、的確な服薬により問題のない状態を維持することを目標とし、幸せな生活を送っていただきたいと考えています。

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