奥田 康輔 院長の独自取材記事
奥田クリニック
(宇都宮市/宇都宮駅)
最終更新日:2026/02/04
JR宇都宮線・宇都宮駅西口から徒歩5分、1978年開業の「奥田クリニック」は、腎臓内科・透析治療に特化したクリニックとして地域医療を支えてきた。2007年に2代目として同院を継承した奥田康輔院長は、患者の人生に寄り添う医療を志すドクターだ。17床の入院設備を持つ同院で、腎臓病の初期から透析治療、看取りまで一貫して対応している。また、6階の屋上庭園で患者が四季折々の景色や野菜作りを楽しめるよう環境を整え、クリスマスには自らサンタクロースになって病室を回るなど、ホスピタリティー精神あふれる取り組みも特徴だ。「地域ナンバーワンのホスピタリティーを提供したいんです」と穏やかに語る奥田院長に、医療への思いや今後の展望について聞いた。
(取材日2025年11月28日)
腎臓病に特化し、人生に寄り添う医療を志す
お父さまが1978年に開業されたクリニックを継承されたそうですね。

父は長野県の信州大学出身で、まだ県内で透析医療ができなかった時代に県外まで外シャント手術を学びに行き、勤務先の病院で県内では実施が始まったばかりの透析治療に携わりました。その後栃木県の宇都宮に移って1978年に当院を開業しました。その時から一緒に働いてくれているスタッフがいて、今も親子2代にわたって支えてもらっています。私が2007年に継承した時、父が作った17床の入院設備と、当院の黎明期から在籍するスタッフという基盤があったからこそ、現在も幅広いニーズに応えることができています。入院設備があることで、最後まで責任を持って患者さまを診ることができますし、ご家族が介護のために仕事を辞めずに済むという選択肢も生まれ、多くの方の支えになっていると思います。
先生が医師をめざされたきっかけを教えてください。
5歳の時に夢を見て、「父も母も死んじゃうんだ」と直感し、夜中に泣いたのを覚えています。その時「そうだ、死なない薬を作ろう」と思ったことが、医療を志す原点でした。その後目標は「病気で苦しむ人を治す」ことに変わり、内科医をめざして医学部に進学しました。獨協医科大学卒業後は当時珍しかった自治医科大学での「内科全8科ローテート」を経験し、腎臓内科の診療範囲の幅広さに魅力を感じました。透析患者さまは全身の合併症が生じやすく内科全般の知識に加え、シャント治療など外科的な手技も必要です。この頃には内科医の役割は「病気を治す」よりも「慢性疾患の進行を和らげ患者さまに寄り添う」ことと気づきました。一方、基幹病院では治療半ばで患者さまに転院をお願いし、悲しい顔をされるという経験を何度もしました。そのような経験から、患者さまと長く向き合い、その方の人生に寄り添えるような医療に尽力したいという思いを強くしました。
こちらのクリニックにはどのような特徴がありますか?

腎臓内科・透析治療に特化し、腎臓病の初期・血液透析導入・入院から看取りまで一貫して対応する専門クリニックです。17床の入院設備があるため、例えば透析後に血圧低下が続いた場合など「一晩泊まっていきますか」とすぐ対応でき、肺炎などの急性疾患も基幹病院に送らずここで治療できます。基幹病院からお戻りの患者さまにとっては、ホームとして機能していると思います。さらに無料送迎サービスに加え、車いす対応の介護タクシーも無料で利用可能です。これは近隣施設ではあまりない取り組みで、高齢化する透析治療を受ける患者さまとご家族の負担軽減につながっています。在宅血液透析を行っていることも大きな特徴です。一貫して、患者さまとご家族へのホスピタリティーを大切にしています。
在宅血液透析で透析治療の負担軽減をめざす
県内でも早くから在宅血液透析を始められたそうですね。

在宅血液透析は自宅で患者さま自身が管理して行う血液透析で、県内で実施している施設はわずかです。当院は1988年に在宅血液透析導入を行いました。最大のメリットは週3回までの制約がなくなり、その方に合わせて週4回でも7回でもできることですね。自宅でリラックスして透析ができますし、透析量が増えれば体調が良くなることが見込めますし、合併症の防止や、生命予後の改善にもつながることがわかっています。導入するには患者さまや介助者の方に3〜6ヵ月かけて透析回路の組み立てや自己穿刺、トラブル対応などを習得してもらう必要があります。初めは難しく思われる方も多いのですが、実際は自動車の運転免許を取る能力があれば習得可能といわれています。在宅血液透析を受けられている方にはいわゆるWell-beingが望めるため、皆さまに満足していただけたらと思っています。
腎臓病の患者さまへの診療について詳しくお聞かせください。
当院では腎臓病の初期から透析導入、そして看取りまで、腎臓病の全段階に対応しています。私は、日本内科学会総合内科専門医および日本透析医学会透析専門医の資格を持ち、透析治療が必要になる前の腎炎や糖尿病性腎症の方には、生活指導や薬の調整を行い、透析にならないことを目標に管理をしています。透析を受ける患者さまは週3回通院するので、場合によってはご家族以上に顔を合わせることになります。急性期の検査や手術が必要な時は基幹病院にご紹介しますが、終わればまたこちらに戻ってきていただく。まさに患者さまにとってのホームとして、その方の人生に寄り添う医療を行っています。長期の社会的入院にも対応し、看取りも行います。運動療法も行っていて、回復期の役割も備えています。腎臓病患者さまのあらゆるニーズにお応えすることをめざしています。
患者さまへの接し方で大切にしているのはどのようなことですか?

私たちのミッションは「腎臓病・透析患者さまとそのご家族が安心して健やかに過ごせる地域社会の実現」です。この思いを全員で共有し、日々の診療に取り組んでいます。長く通う施設だからこそ、特に重視しているのが接遇です。スタッフには「患者さまが自分の親だったらどう思うか」という視点で考えるよう伝え、丁寧に接することを大切にしています。接遇講師による指導も受けながら、患者さまには常に思いやりを持って寄り添う心を大切にし、あいさつも欠かさないよう伝えています。当院が大切にするホスピタリティーの精神は、スタッフだけでなく患者さまにも自然に広まっているようです。
ホスピタリティーの実践とこれからのビジョン
患者さまのためにさまざまな取り組みをされているそうですね。

入院患者さまにとっては、人生の最後を過ごす場所になる可能性があるため、「先々の楽しみ」を持ってもらいたいと考えて6階に屋上庭園を作りました。春には花が咲き、秋には紅葉する木々を植え、菜園ではスタッフが患者さまと一緒に苗植えから収穫まで行い、採れた野菜は厨房で調理して「○○さんが採った大根です」と提供します。季節の行事も大切にしていて、お花見には100人規模で集まり、クリスマスには私がサンタクロースになって各部屋を回ります。節分にはスタッフが鬼になって豆まきもしますよ。管理栄養士が3人在籍し、制限食でもおいしく食べられる工夫や季節の特別メニューを提供していることも特徴です。患者さまから「やっぱりここの食事はおいしいね」と言っていただけたら、本当にうれしいですね。
今後のビジョンを教えてください。
腹膜透析の導入を計画しています。おなかに透析液を入れて24時間かけてゆっくり透析する方法で、ご高齢の患者さまの負担を大幅に軽減できます。あるノンフィクション書籍を読み、終末期の透析患者さまが血液透析でつらい思いをされている現実を改めて認識したため、取り組もうと決めました。スタッフと勉強会にも参加するなど、準備を進めています。
最後に、地域の方々へメッセージをお願いします。

私たちのビジョンは「地域ナンバーワンのホスピタリティーを提供することで、奥田クリニックならではの付加価値を創造する」ということです。腎臓病に特化したクリニックとして、初期の段階から透析導入、そして看取りまで、患者さまとご家族に寄り添う医療の提供をめざしています。特に在宅血液透析という選択肢があることを多くの方に知っていただきたいですね。「透析治療を受けるためには通院するもの」というイメージがおありだと思いますが、条件が合えば自宅で治療ができる可能性もあります。興味がある方はお話だけでも大歓迎ですので、ぜひご相談ください。これからも時代に適応しながら、ホスピタリティーを軸に、地域の皆さまとともに歩んでいきたいと思っています。

