河野 健 院長、河野 真紀子 副院長の独自取材記事
大和田内科・循環器科・胃腸科
(宇都宮市/雀宮駅)
最終更新日:2025/02/14

雀宮駅から徒歩7分の場所にある「大和田内科・循環器科・胃腸科」。循環器疾患を専門としつつ、地域のかかりつけ医として内科全般の診療を行うクリニックだ。副院長である河野真紀子先生の祖父の代から約60年続く歴史があり、世代を超えたつながりを大切にしている。院長の河野健先生は北里大学医学部を卒業後、アメリカでも研究に携わった。帰国後は虚血性心疾患や心不全の再発予防に力を注いできた。日本老年医学会老年病専門医の資格を持ち、高齢者特有の疾患や健康管理についての知識も深い。「患者さんとの対話を重視し、一方的な押しつけはしないようにしています」と朗らかな口調で語る河野院長と真紀子副院長に、診療時の心がけや地域医療の役割について詳しく話を聞いた。
(取材日2025年1月29日)
海外の医療知見を日本の診療に生かす
これまでのご経歴と、特に今の診療に役立っている経験についてお聞かせください。

【健院長】私は北里大学医学部を卒業後、循環器内科に入局しました。その後アメリカ・ネブラスカ州立大学メディカルセンターへ研究留学し、心不全の原因となる心筋症を引き起こすウイルスやタンパクの研究を中心に学びを深めました。帰国後は北里大学病院心臓二次予防センター長を拝命し、虚血性心疾患や心不全の再発予防に注力してきた経験があります。その後、自治医科大学に移籍し、大学での教育や臨床の研鑽を積みました。特に、今の診療で生かされているのは、急性循環器疾患の治療に多く関わった経験です。急性期を治療した後、再発を防ぐためのアフターフォローの重要性を学び、実際に現場で役立てています。
急性期循環器疾患の再発を防ぐフォローとは、具体的にどのようなことなのでしょうか?
【健院長】例えば、循環器疾患の患者さんには1次予防と2次予防があり、特に2次予防では疾患になった方の目標値設定や数値管理が厳しくなります。これを患者さんにしっかりと理解していただかないと、再度疾患が起こるリスクが高くなるんです。そこで、患者さんと二人三脚で症状や治療の進行状況をしっかりと共有し、「この薬はこの目標を達成するために必要です」というように、なぜ必要なのかをご理解いただけるよう説明しています。
予防医学も重視されていると伺いました。

【真紀子副院長】はい。予防医学に関しては、大学院時代の研究テーマが予防に関するものだったので、その経験も大いに生かされています。大学院卒業後には心臓二次予防センターの立ち上げに携わりました。そこでは急性期の治療を終えた患者さんを外来で定期的にチェックし、発症のリスクを見つけ出して再発症予防することの大切さを実感しました。予防に力を入れることは、最終的には患者さんの次の入院を防ぐことにつながると考えています。
患者が気軽に話せる診療をめざして
診療時はどのようなことを大切にしていますか?

【健院長】地域のかかりつけ医として内科全般を幅広く診る中で、患者さんが何か困ったことがあったとき、どんな些細なことでも相談しやすい雰囲気づくりを大切にしています。体調が悪いとき、患者さんはうまく症状や不安を言葉にできない方も多いです。ですので、緊張が少しでもほぐれるように接し、なるべくわかりやすく伝えるよう心がけています。
【真紀子副院長】患者さんの中には「今まで症状を伝えられなかったことが多かった」と言われる方もいらっしゃるんです。診療の中では、ご両親の具合が悪くなり施設に入所されたことや、友人には話せないような事情や悩みを抱えている方もいらっしゃいます。そういったお話もお聞きして、「話せて楽になった」と感じていただければうれしいですね。医療行為そのものではないかもしれませんが、コミュニケーションを通して寄り添うことも治療の一環だと考え、大切にしています。
なるほど。まずは傾聴を大切にされているのですね。
【健院長】そうですね。患者さんの声に耳を傾けるだけでなく、医療の専門家としての視点から適切なアドバイスをすることも心がけています。患者さんが考えている治療方法とは異なる方法が、より良い結果につながる場合もあります。ですので、単に患者さんの希望に沿うだけではなく、専門的な知識をもとに最善の治療方針を提案したいと考えています。
患者さんとコミュニケーションを取る際に配慮していることはありますか?

【健院長】当院では一方的に押しつけることは絶対にしないようにしているんです。「自分が患者さんだったらどう思うのか」を考えながら対応しています。例えば、お薬が増えることに対して、嫌だと思う方は多いと思うんですよね。その場合、「こういう理由で必要なんです」と、医学的な根拠をわかりやすく説明して、納得していただけるように心がけています。また、必要に応じてガイドラインの表や数値を見せることで、視覚的に理解しやすくなるよう工夫もしていますね。時には一度の診察で結論を出すのではなく、何回かの診察を通じてコミュニケーションを取ることも大切にしています。
地域に根差し、世代を超えたつながりを大切にしたい
地域医療の役割についてはどのようにお考えですか?

【健院長】当院では、医療についてなんでも相談できる場所でありたいと思っています。この地域には近隣に2つの特定機能病院があり、高度な医療との連携がスムーズに行える環境です。ですので、当院で対応できる範囲内での診療は行い、より高度な専門医療が求められる場合は、適切な医療機関へ紹介する体制を整えています。
【真紀子副院長】当院は父の代から長年診療を続けていることもあり、患者さんとの関係性がとても深いんです。例えば、健康診断で異常が見つかり、30代で当院を受診された方が、ご高齢になられた今も通ってくださっているというようなケースも多いです。その方のお子さん、さらにはお孫さんが来てくれることもあって、本当にありがたいなと思っています。地域医療の役割として、こうした長い関係を築きながら、患者さん一人ひとりの健康を支えていきたいですね。
お忙しい日々の中で、休日はどのようにお過ごしですか?
【健院長】私は一人で音楽を聴きながら車を運転するのが好きですね。それから、旅というほど大げさなものではありませんが、特に目的もなく出かけるのも良いリフレッシュになります。
【真紀子副院長】休日は基本的にリラックスを優先しています。ただ、年齢を重ねるにつれて、やっぱり筋力が落ちるのは実感しているので、今後は意識的に運動を取り入れたいなとは思っています。あとは、ドラマや配信を見たりしてゆっくり過ごしています。
今後の展望を教えてください。

【健院長】私たちがめざしているのは、恒常性を保てる医療です。恒常性とは、常に同じ状態、変わらずにいられること、当たり前が当たり前であること。「患者さんたちの何事もない日常を守ること」が私たちの役目だと考えています。当院に通われている患者さんも私たちスタッフも、一年一年、年齢を重ねていきます。いつまでも変わらず健康でいられるように、これからも適切な医療を提供し続けたいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
【健院長】当院は、幅広い年齢層の方々にご利用いただいていますが、特にご高齢の方や健康に不安を感じている中高年の方にぜひお越しいただきたいと思っています。私は老年病専門医の資格も持っているので、高齢者特有の疾患や健康管理についての知識も生かして診療にあたっています。特に循環器系の疾患では、「心臓病にならないか不安」といった漠然とした悩みを抱えている方が少なくありません。また、当院では患者さんの話をじっくり聞く時間を確保するため、予約制にはしておりません。その分お待たせをしてしまうことがあり、とても申し訳なく思いますが、待っていただいたからこそ、しっかりお話を聞いて説明をし、良い診療をお届けしたいと考えております。これからも地域の皆さまとの末永いお付き合いを大切にしてまいります。ご不安なこと、お悩みのことがありましたら、まずはお気軽にいらしてくださいね。