その人にとっての「正解」を探す
患者と家族に寄り添う訪問診療
しばファミリークリニック
(宇都宮市/東武宇都宮駅)
最終更新日:2026/02/13
- 保険診療
医師が定期的に自宅を訪れて治療や体調管理を行ってくれる「訪問診療」は、高齢者やその家族が地域で暮らしていく上で欠かせない医療サービスだ。自宅まで来てくれる分、医師との距離が近く、病院に比べて質問や相談もしやすい。医師は患者本人や家族に寄り添った対応をしてくれる。「しばファミリークリニック」の柴野智毅院長は、開業当初からそんな訪問診療を実践。4年が経過した現在では、新たに明畠(みょうばたけ)良太先生、高橋和也先生を加え、常勤医3人、非常勤医4人、看護師4人のチームで訪問診療を行っている。「医療のハードルを下げ、どんな人でも相談できる世の中にしたいですね」と話す柴野院長。訪問診療を利用できるケースや利用の流れ、同院の訪問診療の特徴、在宅診療にかける思いなどについて3人の医師に話を聞いた。
(取材日2026年1月6日)
目次
「通院がつらい」「身近に信頼できる医師がほしい」というニーズに応え、地域での暮らしを支える訪問診療
- Q訪問診療はどんな場合に利用できるのでしょうか。
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A
▲外来と訪問診療どちらにも対応。スムーズな移行も可能
【柴野院長】何らかの理由で通院が難しい場合です。高齢で足腰が弱くなった、入院中だけれど自宅に帰りたいなど、さまざまなケースがあります。特に多いのは、医療的に見れば入院しているほうがいいけれど、がんの末期で余命数ヵ月といった状態で帰宅を希望され、訪問診療を利用するケース。以前は、家での看護は難しいからとなかなか在宅復帰できませんでしたが、訪問診療や看護体制が整ってきたことで、可能なケースも増えてきました。高齢者のほか、障害のある方も訪問診療の対象となります。特に、先天性の障害がある子どもたちの場合、大人になって病院を出た後の受け皿が十分でないのが現状なので、当院では開業当初から力を入れています。
- Q訪問診療を受けるまでの流れはどのようになりますか?
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A
▲気になることがあれば気軽に相談してほしいという
【柴野院長】入院中で帰宅を希望されるようなケースでは、まずご本人やご家族が病院の医療者に希望を伝え、そこから病院の地域連携室や地域のケアマネジャーを通して訪問診療を依頼という流れになります。ただ、医療者の中でも、訪問診療でどこまで診られるのかが浸透していないことがあるため、「この状態での帰宅は厳しい」と判断されてしまうことも現実としてあります。そこは僕たちにとってとても歯がゆく、このギャップの解消こそが訪問診療の一番の課題だと感じているところ。ですので、在宅復帰が難しいと判断された場合は、患者さんご本人やご家族が訪問診療を行っているクリニックに直接問い合わせてみるのも、一つの方法だと思います。
- Qこちらで行っている訪問診療の特徴を教えてください。
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A
▲訪問診療に取り組む原点について語る柴野院長
【柴野院長】僕と明畠先生、高橋先生の3人に、非常勤の先生4人と看護師4人という体制で患者さんを診ています。下野市や真岡市のクリニックとも必要に応じて連携していますね。訪問診療の内容としては、緊急対応を除けば、定期的に訪問して状態をチェックし、薬の処方を行って患者さんやご家族から話を伺います。血液検査や心電図検査、超音波検査なども可能です。僕たち3人は、全員が大学病院の外科出身で、その時、患者さんをなかなか自宅に帰らせてあげられないことにもどかしさを感じていたんです。だから、今度は逆の側から自宅に帰れるよう手伝いたいという想いがあるんです。それが、僕たちが訪問診療に取り組む原点となっています。
- Q訪問診療を行う上で大事にされていることは?
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A
▲チームで連携。自宅でも安心して医療を受けられるようサポート
【柴野院長】患者さんに寄り添うことです。専門うんぬんより、まずは全身を診るということは、僕だけじゃなく訪問診療チーム全体で大切にしているところです。訪問診療は、いわば患者さんのテリトリーに入っていくもの。クリニックでの外来以上に、患者さんのことがよく見えるので、そこが面白いところでもあります。一方、難しいのは、医療の常識が必ずしも正解とは限らないということ。例えば、緊急の状態で肺炎を起こして通常なら入院のところを、患者さん本人が「絶対入院したくない」と強く希望する場合、どうするべきなのか。本人も家族も納得できる道を探していくのが一番難しく大変ですが、やりがいがある部分でもあります。
- Q高橋先生、明畠先生の在宅医療にかける思いをお聞かせください。
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A
▲訪問診療を担当している、院長、高橋先生、明畠先生
【高橋先生】訪問診療では、一人ひとりの患者さんが何を求め、それを実現するにはどんな医療を提供すべきかを考え、実践することができます。患者さんの話を聞き、医学的観点を踏まえながら患者さんが納得する治療を一緒に考えられるのは、とてもやりがいを感じる部分ですね。
【明畠先生】「われわれが何か役に立てるなら、精いっぱい力になりたい」という思いで日々診療にあたっています。あとは、正解がない中で本人も家族も納得できる選択をみんなで探していきたい、最期を迎えた時に後悔だけはしてほしくないとの思いがあります。そして「この先生なら頼れる」と思ってもらえるような信頼関係を築くことも、常に意識しています。

