吉岡 有紀 先生の独自取材記事
吉岡医院
(京都市上京区/今出川駅)
最終更新日:2025/07/14

「吉岡医院」は今出川駅から市バスで約7分の場所にある。消化器内科・内科・外科・肛門外科・産婦人科を診療し、内視鏡検査や生活習慣病の外来まで展開する。院長は消化器内科のエキスパートである吉岡幹博先生。産婦人科は妻の吉岡有紀先生が診療を担当している。吉岡有紀先生は、周産期医療や婦人科がん手術、腹腔鏡手術、産科での専門的な経験など幅広い分野で研鑽を積み、豊富な経験を生かして患者に合わせた治療法を提案。まるで友達のように親しみやすく、相談しやすい雰囲気が特徴だ。婦人科というと女性特有のクリニックというイメージがあるかもしれないが、男性のパートナーと一緒に来院することも珍しくないという。吉岡有紀先生に、診療のモットーや若い女性に伝えたいことなどを聞いた。
(取材日2025年6月19日)
丁寧な診察・治療で婦人科特有の症状や不安の軽減を
これまでの主なご経歴を教えてください。

初期研修を経て、千船病院で周産期医療や産科・婦人科救急に携わり、神戸大学医学部附属病院、西神戸医療センターでは周産期医療、婦人科悪性腫瘍手術、腹腔鏡手術、子宮脱に対する膣式手術など幅広い診療経験を積みました。その後、京都に拠点を移し、足立病院では主に産科診療を担当しました。こうした経験は、病気の兆候を早期に見つけ、必要な治療へとつなげる今の診療にも生かされています。病気かどうか迷っている段階でのご相談から、手術が必要な場合の適切な高次医療施設への紹介まで状況に応じた対応が可能です。
どのような患者さんが来院していますか?
小学生から100歳を超えるお年寄りまで幅広く来院されます。その中でも最近は50歳前後の更年期の方と、近隣に大学があるため20歳前後の方が多い印象です。若い方では月経不順、生理痛、PMSといった月経に関するご相談が多いです。また、月経移動のご希望や、緊急避妊薬を求めて来院されるケースもあります。
月経痛やPMSで悩まれている女性に伝えたいことはありますか?

外来をしていると「生理痛はあるけれど、痛み止めを飲んで寝ていれば大丈夫です」とおっしゃる患者さんが少なくありません。多くの方が「生理痛はそういうものだ」と思い込んでいるように感じます。ですが、家で寝込んでしまうほどの痛みを「大丈夫」と受け止めてほしくありません。この先もその痛みを我慢し続けますか? 何もせずにいると、年々痛みが強くなることもあります。社会人になった時、その痛みに耐えながら仕事に集中できますか? 数年先のことを想像してみてください。現在では適切な鎮痛剤や、ホルモン治療によって他の人と同じように学校に行って授業を受けたり、仕事に行ったりできるかもしれません。月経痛やPMSで日常生活に支障を感じている患者さんには、「我慢」ではなく「治療」という選択肢があることを知っていただきたいのです。
低用量ピルの選択肢が増えてきた中で、どのような視点で処方をされていますか?
最近は低用量ピルがオンラインでも処方されるなど、より身近な選択肢になってきました。その一方で、「どのピルが自分に合っているのかわからないまま使っている」という患者さんも少なくありません。私は対面診療だからこそ患者さん一人ひとりの背景や体質に応じて、最適な方法を提案することが大切だと考えています。例えば、避妊を目的にされているのか、月経痛、過多月経などの治療が主な目的なのか。年齢や喫煙歴などリスク因子の有無。そして、毎日服用できる生活リズムかどうか――こうしたさまざまな視点から、その方に合った低用量ピルを慎重に選びます。また、お話を伺っていく中で、低用量ピルよりも他の治療法のほうが適している場合もあります。ホルモン療法や漢方、生活習慣の調整など、選択肢は一つではありません。患者さんの「困り事」を正しく理解し、医学的に安全かつ納得できる方法を一緒に探していきたいと思っています。
内科との連携により多角的な提案が可能
更年期世代の方に、特に伝えたいメッセージはありますか?

更年期のご相談で来院される方の多くは、「もしかしたら更年期かも」という不安を抱えています。背景には、年齢を重ねることへの戸惑いや、老化への漠然とした恐れがあるように感じます。更年期は誰にでも訪れる自然な変化です。当院では血液検査でホルモン状態を確認し、今どの段階にいるのかを丁寧に説明しています。「もう少しで落ち着いてきますよ」と見通しを伝えるだけで、不安が軽くなる方もいらっしゃいます。症状に応じて、漢方やホルモン補充療法などの治療を提案することもありますが、大切なのはその先の健康管理です。当院の内科とも連携しながら、更年期をきっかけにその後の適切な健康管理をサポートさせていただきます。
医療の情報提供も積極的にされているそうですね。

はい。患者さんの年齢に合わせて、必要な医療情報をわかりやすくお伝えするようにしています。例えば、子宮頸がんワクチンの対象年齢の方には、その重要性や効果についてお話しすることがあります。また、高齢の方には肺炎球菌や帯状疱疹のワクチンについて案内をすることもあります。市の検診やクーポン制度についても対象の方には情報をお伝えしています。実際に「知っていれば受けたのに、知らなかったから受けそびれた」とおっしゃる方も多く、必要な情報が届いていないことへのもどかしさを感じることも少なくありません。情報提供に力を入れているのは、患者さんにとって最善の医療を届けたいという思いからです。医療費が高くなる傾向がある中でも、費用を抑えつつ、できるだけ質の高い医療を受けていただけるようサポートしたいと考えています。
気軽に相談できる雰囲気作りを大切に
診療時に特に意識されていることを教えてください。

特に意識しているのは、患者さんが安心して治療を選択し、続けられる環境を整えることです。まずは病気や治療についてできるだけわかりやすく説明するように心がけています。そして、患者さんの生活スタイルや薬の服用方法、通院の負担などを詳しく伺い、選択肢を提案して一緒に相談しながら治療方針を決めています。診察中の会話からその方が何に困り、どのような不安を感じているのかを丁寧にくみ取るよう努めています。
子宮頸がんワクチン接種を通じて伝えたいことはありますか?
意外に思われるかもしれませんが、20代前半の大学生でも検診で異常が見つかることがあります。がんではなくても、将来的にがんになるリスクのあるHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染しているケースです。もっと多くの若い世代に子宮がん検診を受けていただき、できるだけ早期の段階で異常を見つけたいと考えています。そして、もしワクチンを接種していれば、このような状態の防止につなげられたかもしれない。そんな思いからもワクチンの重要性を伝えています。ワクチンは小学6年生から接種可能なので、婦人科を受診するきっかけとして考えていただきたいと思っています。例えば月経移動や緊急避妊など、何か困ったときに気軽に相談できる「かかりつけ医」として今後もお役に立てればうれしいです。当院の婦人科外来は午前中のみですが、ワクチンや緊急ピルは17時以降でも対応可能ですので電話でご相談ください。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院は気軽に訪れていただける場所をめざしています。5階の待合室はカフェのような雰囲気にしているので、「今日はちょっと検診に行ってみようか」と気軽に立ち寄っていただけたらうれしいです。また、お子さま連れの方にもご来院いただけるよう、待合室ではお子さま向けのビデオを流すなど、楽しく過ごしていただけるよう工夫しています。当院は予約制ではありませんので、何か気になる症状があるときはいつでも気軽に受診してください。健康をサポートする身近な存在でありたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは内視鏡検査/胃:1万4500円、大腸:2万3000円
人間ドック/3万5000円~
緊急避妊薬/8800円、月経周期移動/4300円