堀尾 潤 院長の独自取材記事
ピーチベルクリニック
(安城市/北安城駅)
最終更新日:2025/05/14

交通量の多い愛知県道76号から住宅地に入った閑静な場所に立つ「ピーチベルクリニック」。前身は昭和に開業した産婦人科の「堀尾安城病院」で、地元住民の中には今も「堀尾さん」と親しみを込めて呼ぶ人もいるという。堀尾潤院長は愛知や岐阜の病院で経験を積み、2003年より同院にて勤務。先進の医療を取り入れつつ、地域密着型の病院として患者に寄り添う姿勢を大切にしている。「患者さんの中にはここで生まれた方も多く、うれしく思っています」と顔をほころばせる堀尾院長。産前産後だけでなく、生涯を通して女性の健康をサポートしていきたいと話す堀尾院長に、同院の診療体制や特色などについて聞いた。
(取材日2025年4月11日)
産婦人科、小児科、麻酔科の医師と連携
こちらのクリニックの歴史を教えてください。

当院は昭和の半ば、1970年に父が産婦人科の堀尾安城病院として開業したのが始まりです。当時、周囲は水田でのどかな環境でしたね。隣に自宅があり、父は夜中でもよくお産に呼ばれて出かけていきました。私は子ども心に、医者というのは大変な仕事だと思っていたものです。当時、大学病院から手伝いに来てくれる医師もいましたが、今思えば、20床ある病院でほぼ父1人で何もかもやっていて、相当忙しかったと思います。2003年、私が入職して2人体制に。父が患者さんにとても優しく接している姿を目の当たりにしました。家でも優しい人で、頼まれたことは何でも引き受けてしまうところがありました。父は現在91歳で、体は弱りましたが元気にしています。地元の方の中には今も当院のことを「堀尾さん」と呼んでくださる方もいらっしゃいますね。
先生はお父さまの影響を受けて産婦人科の医師になられたのですか?
はい、影響は大きいですね。ただ最初から絶対産婦人科と決めていたわけではなく、研修医としていろいろな科で経験して、最終的にやはり産婦人科だと心を決めた次第です。産婦人科は出産はもちろんですが、さまざまな婦人科疾患があって多方面からの治療・手術ができ、やりがいがあると感じました。所属していた野球部で、大変お世話になったある先輩が産婦人科だったというご縁もありましたね。大学卒業後は大垣市民病院、稲沢市民病院、名古屋大学医学部附属病院、安城更生病院で経験を積み、当院へ来て数年後に院長に就任。2020年に愛知県と岐阜県を中心に21のクリニックを展開する産婦人科グループ、医療法人葵鐘会・ベルネットの一員となりました。
診療体制や、産婦人科グループ『ベルネット』の一員である強みについて教えてください。

当院では私のほか、月曜と木曜は女性医師が外来を担当します。漢方を勉強されている先生なので、妊産婦さんはもちろん婦人科疾患の患者さんも安心して処方を受けていただけると思います。週3回は小児科の医師が赤ちゃんを診療しています。また、ハイリスクな分娩や無痛分娩の際は麻酔科の医師が麻酔を担当します。そうした医師がそろっていることも法人の一員である特色の一つですね。日々、法人内のガイドラインに沿った診療がしっかりとされるよう努めています。また、ベルネット内のクリニックで特殊な症例があったときは随時共有されますので、新しく、かつ幅広い情報をすぐに取り入れることができて、日々の診療にも生かせるのは強みです。
妊婦への負担軽減をめざす無痛分娩に対応
こちらでの無痛分娩についてお聞かせください。

無痛分娩を希望される方は増えており、安城市内はもとより市外から、遠くは知立市からも妊婦さんが来られています。一般的に無痛分娩は、陣痛時の痛みを軽減するために硬膜外麻酔を用います。陣痛に対する不安や恐怖心がとても強い方や、1人目の出産がつらかったという方などに向いていると思います。当院では、薬を少量ずつ投与しながら意識や血圧などを細かく観察することを徹底し、安全管理に努めています。一方でお産の平均時間が長くなる場合があるなど、無痛分娩のメリットやデメリットをきちんと事前に説明し、妊婦さんやご家族に相談していただく時間も大切にしています。
先生が普段、心がけていることはありますか?
十分できているかどうかはわからないのですが、丁寧に説明することを心がけています。こちらが説明したことと患者さんの受け止め方とで乖離があってはいけませんので、患者さんが本当に理解し納得されるように言葉を選んでお話ししています。不安を持って来られている方も多いのですが、インターネットでいろいろな情報に触れてしまうことも要因の一つかもしれません。何に対して不安なのか、どんな疑問をお持ちなのか、一つずつ聞いて解消していきたいと思っています。文字どおり「案ずるより産むが易し」のこともありますね。妊娠中は前期・中期・後期で助産師との面談がありますので、医師には言いにくいことも助産師にお話しし、安心していただけると良いですね。
スタッフの方々についても教えていただきたいです。

当院は前身の堀尾安城病院からのスタッフもいますので、助産師はベテランが多いかもしれませんね。若いスタッフも増えていますが、年齢、職種に関わらず皆仲が良いです。そのため院内は和やかで、患者さんにも良い雰囲気が伝わっているのではないでしょうか。仕事においてはチームワークも抜群。それも普段からコミュニケーションが取れているからでしょう。信頼できるメンバーがそろっていると思います。定期的な勉強会や緊急事態が起こったときのシミュレーションは医師とともに十分行っています。
産前産後を含め、生涯にわたり女性をサポート
産前から出産、産後まで、どのようにサポートしていますか?

産前には母親教室のほか、マタニティーヨガの教室があります。産後はエステのサービス、退院後は離乳食教室がありますね。19床の入院施設はすべて個室でシャワー、トイレ、テレビ、Wi-Fiなどの設備が備わっています。食事は管理栄養士の監修のもと、当院の厨房で作ってお出ししています。上のお子さんも一緒に泊まれる「ファミリー宿泊」もあり、配偶者の方からの希望で予約される方も。別料金にはなりますが、パートナーと沐浴指導を受けることができます。私が関わるのは産後の1ヵ月健診の前まで。かつては1ヵ月健診もしていたのですが、今は小児科の医師が担当し、私はお母さんの健診を行っています。
これまでを振り返って、産婦人科の医師としてのやりがいなどはありましたか?
研修医時代、たまたま患者さんの診察に立ち会っていたのですが、その日初めて妊娠されたことがわかりました。患者さんはもちろん主治医がとても喜んで、「今日は祝杯を挙げよう!」と私たちも飲みに連れていってくれたのです。産婦人科は病気の治療だけでなく喜びも大きい仕事だと感じた出来事でした。これまでを振り返れば、赤ちゃん誕生の感動や喜びもある反面、残念で悲しいことも、ああすれば良かったこうすれば良かったと思うこともありました。しかし長年この仕事をしてきて、「私はここで生まれました」という妊婦さんは珍しくありません。来院された方の母子手帳を見たら私の名前が記してあったことも。そうしたことはとてもうれしく、ありがたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

定期的に検診を受けていただきたい、ということをまずメッセージとして伝えたいです。婦人科疾患は検診でわかることも多く、特に子宮頸がんは初期の段階で見つかることが望めます。当院はお産が中心ですが、女性特有の疾患はたくさんあります。実際当院にも、月経困難症や子宮内膜症、子宮筋腫、更年期障害、子宮脱などで通う方は多いです。女性はライフイベントごとに体に変調を来すことが少なくなく、気をつけていただきたいと思います。当院も、産前産後だけでなく、生涯にわたって女性を総合的に診療、サポートしていきたいと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とはアフターピル処方/1万5000円~
※時間外、深夜休日により金額は変更となります。
人工妊娠中絶/14万8500円~
※上記は中期中絶価格ではありません。実施する曜日(土日祝)や週数(10週未満、または10週以降)により、金額は変更となります。また当院は経口中絶薬にも対応しています。詳しくはクリニックまでお問い合わせください。